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検証調査結果 緊急往診や看取りがゼロの機能強化型在支診・在支病も

検証調査結果
緊急往診や看取りがゼロの機能強化型在支診・在支病も

【中医協総会】
厚労省 往診や看取り実績を重視した在支診・在支病評価を提起

 6月26日の中医協総会は、2014年度改定に向けた課題として在宅医療を取り上げ、(1)在支診・在支病、(2)特定施設・高齢者住宅における在宅医療をテーマに議論した。
 在支診・在支病の届出数(12年7月1日)は、在支診が1万3,758、在支病が746(従来型344、連携強化型264、強化型138)と、とくに在支病は、強化型を新設した12年改定によって1.7倍になった。1医療機関あたり担当患者数も、12年改定を挟んで、在支診が46.9人から65.8人へ、在支病は96.3人から134.9人へと、ともに40%増加している。
 事務局(厚労省保険局医療課)は、改定検証調査(12年4月~9月)の結果から、前改定で導入した機能強化型の在支診・在支病に、①緊急往診がゼロの施設がある、②看取りゼロの施設があると指摘。
 従来型の在支診・在支病については、①緊急往診5回以上という施設がある、②看取り2回以上という施設がある、③機能強化型へ移行するに当たって常勤医3名以上の配置と定期的カンファレンスがハードルになっている、という状況を示した。
 さらに、機能強化型を含む在支診・在支病に関して、①「緊急入院を要する際に連携先で病床が確保できなかった経験が複数回ある施設」が一定数あること、②「主治医ではない患者に対する緊急往診は一部に限られている(ほとんどの緊急往診は主治医が行なっている)」、という実態を明らかにした。
 その上で、事務局は、(1)在支診・在支病評価における往診や看取りの取り扱い、(2)機能強化型における医療機関連携のあり方、(3)緊急時入院先を増やすための評価の仕方、を論点にあげた。
 事務局が実態報告の論拠とした検証調査は12年度上半期を対象としたもので、したがって、12年度改定の効果を測るには十分なものとはいえない。
 診療側西澤委員(全日病会長)はこうした事実を指摘し、より長期な動向把握が必要と発言。「この7月1日の届出数を踏まえた上で、さらに検討を続けるべきである」と述べ、他の診療側委員とともに、正確な実態と課題を踏まえた議論とするべく、新たなデータを踏まえて慎重に考察する必要性を提起した。