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ホーム全日病ニュース第805回/2013年7月15日号「高齢化で2次救急は極めて重要。...

「高齢化で2次救急は極めて重要。診療報酬評価の充実が必要」

「高齢化で2次救急は極めて重要。
 診療報酬評価の充実が必要」

【救急医療体制等のあり方検討会】
加納常任理事 救急告示医療機関と2次救急医療機関の一元化を求める

 6月26日の「救急医療体制等のあり方に関する検討会」は、これまでの議論を踏まえて、救命救急センター、2次救急医療機関、初期救急、小児救急の各領域ごとに課題と論点を整理し、総括的な議論を行なった。
 事務局(厚労省医政局指導課救急・周産期医療等対策室)は「中間取りまとめ」の構成案を示し、意見集約を意識した議論を求めた。
 焦点となった1つは小児救急医療体制で、事務局は、①地域のMC協議会への参画、②救命救急センターの小児救命救急センター併設あるいは両センター間の連携強化、③高度な救命医療や専門医療を対象に都道府県の枠を超えたブロック別の拠点化を図る、などを論点にあげた。
 小児救急医療とともに焦点となった2次救急医療体制に関しては、①高齢者搬送は2次救急で対応するというコンセンサスと3次救急がバックアップする仕組みづくり、②2次救急医療機関を評価する指標の開発とその結果にもとづいた支援、③MC協議会に参画して実施基準の策定や実施に協力していくこと、などの必要をそれぞれ課題とした。
 この2次救急に関連して、(1)救急告示医療機関と2次救急医療機関の一元化、(2)救急患者の定義をめぐる議論が展開された。
 (1)は1997年12月の「救急医療体制基本問題検討会報告書」ですでに提起されている課題であるが、都道府県によって判断が違うこともあり、二重構造と化したまま現在にいたっている。
 この違いは、例えば、2012年度改定で新設された夜間休日救急搬送医学管理料では、「地域医療支援病院、救急告示病院又は救急告示診療所、病院群輪番制病院、病院群輪番制に参加している有床診療所又は共同利用型病院のいずれかで都道府県の医療計画に記載されている2次救急医療機関又は都道府県知事の指定する精神科救急医療施設であること」等が施設基準とされ、救急を担っているからといって届出できるとは限らないように、診療報酬算定の違いにも反映している。
 この点について、加納繁照構成員(加納総合病院理事長・全日病常任理事)は、「救急告示か2次救急かということで診療報酬が違ってくる。指定の有無で診療報酬に差がつくことがないよう、ぜひ、一元化の推進をお願いしたい」と注文した。一元化を求める声は他の構成員からもあがった。
 加納構成員は、これ以外にも、「今後は在宅診療、高齢者救急、がん治療がますます重要課題となり、いずれも患者は都会中心にあふれていく。増加する患者を2次救急で受け入れるシステムづくりが急務ではないか」「救急患者の90%以上は2次救急医療機関が対応している現状がある。診療報酬における評価を検討すべきである」などと発言。
 高齢化をたどる中で在宅に重点をおいた提供体制を構築する上で2次救急医療の整備は不可欠であるが、それは診療報酬評価の充実と不可分であるという主張を展開した。
 「積極的に救急対応を行っている病院に加点をしていく必要がある」など、他の構成員からも同様の意見が示された。
 加納構成員は、また、3次救急に対しても、「高齢者救急の切り分けができていないために、3次救急が看取り救急となってしまっている。医師数や患者数から、地域に必要な救命救急センターの数を逆算していく必要がある」「高齢化によって都会の人口構成が変化していく中、救命救急センターも集約化が求められていくのではないか」などと指摘。事務局の論点を支持するとともに補強した。
 救急患者の定義に関して、事務局は「通常の診療時間外および緊急的に医療を必要とする患者等」(97年12月の前出報告書)という従来解釈を示す一方、「救急車等によって救急搬送される患者」(2012年3月の救急医療の体制構築に係る指針)と搬送手段に触れている解釈もあることを紹介。一律に定義することの難しさを認めた。
 構成員からは、「急性期医療と時間外医療では対応が異なる。両者をどのように切り分けて対応していくかをしっかり議論する必要がある」「生活パターンの変化に伴って受診パターンも変化が起きている。こうした状況を捉えていくべきではないか」といった意見が出たものの、具体的な定義にはいたらなかった。