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ホーム全日病ニュース第811回/2014年11月1日号プログラム法案を臨時国会に提出...

プログラム法案を臨時国会に提出

プログラム法案を臨時国会に提出

▲所信表明を行なう安倍首相(10月15日)

プログラム法案を臨時国会に提出

【臨時国会が開会】
介護、医療従事者確保、施設整備等も「財政支援制度」の対象に

 

 臨時国会(第185臨時会)が10月15日に召集された。会期は12月6日までの53日間が予定されている。
 安倍政権は同日の閣議で「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」(社会保障制度のプログラム法案)と「産業競争力強化法案」を決定、ともに臨時国会に提出した。さらに、国家戦略特区関連法案も提出される予定だ。
 これ以外にも、通常国会で継続審議となった、再生医療関連製品等の規制を盛り込んだ「薬事法等の一部を改正する法律案」と「再生医療等の安全性の確保等に関する法律案」が今国会に上程された。
 社会保障制度改革として政府が措置する事項と法改正等の実施時期を明記したプログラム法案は、医療制度改革の筆頭に「病床機能の分化・連携並びに在宅医療・在宅介護の推進」を掲げ、その具体的措置として、(1)病床機能情報報告制度、(2)地域の医療提供体制構想の策定と必要病床の適切な区分の設定および都道府県の役割強化、(3)新たな財政支援制度の創設、(4)医療法人間の合併・権利移転に関する制度等の見直し、の4点をあげている。
 病床の分化・連携以外では、「地域における医療従事者の確保と勤務環境の改善」「医療従事者の業務範囲と業務実施体制の見直し」を盛り込んでいる。
 その上で、上記措置は2017年度までをめどに順次講じるとし、必要な法律案を14年の通常国会に提出することを「目指す」としている。
 医療保険制度に関しては、(1)国民健康保険運営の都道府県への移管、(2)保険給付の対象となる療養の範囲の適正化などをあげ、「療養範囲の適正化」として、①70~74歳の一部負担金の取扱いと高額療養費の見直し、②外来に関する給付の見直し、③在宅療養との公平を確保する観点からの入院に関する給付の見直しの2点を掲げた。
 これら医療保険制度改革については、14年度から17年度までをめどに順次講じるとし、必要な法案を15年の通常国会に提出することを「目指す」とした。
 いずれも、8月21日閣議決定の「『法制上の措置』の骨子」のとおりであるが、プログラム法案では、「地域医療ビジョンの策定」が「地域の医療提供体制の構想の策定」と言い換えられているほか、「新たな財政支援制度」について、①病床機能の分化・連携等に伴う介護サービスの充実、②医療従事者の確保と医療機関の施設整備等の推進の2点も対象となることが明記された。
 後者に関しては、消費税増税分を財源とする「新たな財政支援制度」の対象が、病床機能分化の推進だけでなく、関連した介護サービスの充実、医師派遣等医療従事者の確保対策、医療機関の施設整備等にも向けられることになり、都道府県の裁量で幅広い領域に投入される可能性が強くなった。
 「産業競争力強化法案」には、企業の競争力を底上げするための規制緩和として、企業が健康分野など新事業の適法性をあらかじめ国に確認できる「グレーゾーン解消制度」や、特例的に企業ごとに規制を緩和する「企業実証特例制度」の創設が盛り込まれている。