全日病ニュース

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ホーム全日病ニュース第811回/2014年11月1日号報告/2013年度厚労省多職種協働に

報告/2013年度厚労省多職種協働によるチーム医療推進事業「職種横断的質向上チームの構築と推進人材の育成」の受託について

報告/2013年度厚労省多職種協働によるチーム医療推進事業「職種横断的質向上チームの構築と推進人材の育成」の受託について
厚労省の委託事業に全日病の研修等企画案が採用

「職種横断的質向上チームの構築と推進人材の育成」で研修を4件実施

医療の質向上委員会委員長 飯田修平

 

 全日本病院協会は医療の質向上委員会が主体となり、平成25年度厚生労働省多職種協働によるチーム医療推進事業「職種横断的質向上チームの構築と推進人材の育成」を受託したので紹介する。

1. 事業の目的

 高度化・複雑化する医療を安全かつ円滑に遂行するために、多職種からなるグループで、総合的質経営(TotalQuality Management:TQM)の考え方に基づいた研修等を実施し、職種横断的質向上チームの構築と推進人材を育成し、共通の理念・方針に基づいて協働するチーム医療の基盤を整備すること、が当事業の目的である。

2. 事業実施の背景

 病院では、制度の制約、また、各部署や専門職種が職務分掌や専門性を理由に、縦割り(部署)・横割り(機能)の壁を作り、部分最適は目指すが、全体最適を図ることが困難である。
 組織構造や意識の壁を取り払って組織横断的に連携する必要があるが、これを促進する教育研修プログラムは不十分である。

3. 研修の企画・実施体制

 医療の質向上委員会とTQMを実践している会員病院が中心となり、研修を企画、プログラムを開発・試行し、推進人材の育成を図る。
 チーム医療に必須の知識である組織管理、質管理(特にTQM)、業務改善(業務分析と業務フロー)、業務革新、さらにチーム医療の結果として重要な安全管理、データ管理に重点を置く。
(1)研修内容
①チーム医療実施の事例研究と事例発表・グループワーク(GW)
②チーム医療実践に必要な多職種間のコミュニケーション能力の向上
③多職種の相互理解を深化するGWによる事例研究
④チーム医療実践医療施設見学実習
⑤全日病が独自に行うチーム医療に関する研修等
(2)対象者
組織管理、チーム医療促進の仕組みづくりに従事する中間管理職以上、および安全管理者、データマネジャー等を想定する。
(3)研修計画
●病院経営者・管理職等対象のTQM合宿研修
テーマ:TQM(総合的質経営)の医療への適用―医療と社会と法
目的と概要:社会の変革の中、医療機関経営者には的確な情勢判断と意思決定が求められており、ぶれない物事の基
本的考え方が必須である。
DRG・TQM合宿研修会(2002)では、「質」を切り口に病院経営を考えることを目的に、ドン・ヒンドルNSW大学客員教授、長谷川友紀東邦大学医学部社会医学講座教授、飯塚悦功東京大学工学部教授(役職は当時)を講師にお迎えしてGWを実施した。
本研修の目的は、基本的考え方の検討である。講義の後、GWで課題の問題点と解決方法を考え、合意形成し、グループ間で討議することにある。
日時:2013年9月14日~9月16日
会場:愛媛県県民文化会館(ひめぎんホール)
参加者数:28名
プログラム:講義とグループワーク
①組織管理・TQM、ものごとの考え方・論理思考(飯田修平)
②社会とは(長谷川友紀)
③法とは(宮澤潤)
*①②③の単元毎にGWを実施した。
●職種横断的質向上チームの構築と推進人材育成研修
テーマ:業務フロー図作成講習会
目的と概要:業務改善には現状分析、業務の洗い出しとその妥当性の確認が必要である。業務フローの検討が必須であるが、業務フロー図を書こうとすると、書けないのが実情である。
参加病院には、事前課題を提示し、自院の薬剤に関する業務フローを洗い出して、講習会では、自院の業務フローに基づいて業務フロー図を作成する。
日時:2013年11月22日~23日(応募病院数が70となり、2014年3月8日~9日に追加講習会を開催予定)
会場:全日病大会議室
参加予定病院:39病院(151名)
プログラム:講義と演習
講義の内容
①事業概要説明、他職種チーム医療(飯田修平)
②TQMとは(飯田修平)
③チーム医療とは(長谷川友紀)
④業務工程図とは(永井庸次)
⑤ダブルチェックとは(藤田茂)
⑥業務フロー図作成のコツ(小谷野圭子)
演習の内容
①事前課題で作成した自院の薬剤業務(入院)フロー図修正と発表・討議と再修正
②詳細フロー図作成と発表・討議と再修正
●チーム医療実践医療施設見学(2013年12月~2014年3月)
①公益財団法人東京都医療保健協会練馬総合病院(東京都練馬区)2013年12月14日
②日立製作所ひたちなか総合病院(茨城県ひたちなか市)未定
●組織管理・質管理、業務改善・業務革新の考え方と手法研修
テーマ:「医療のTQM七つ道具」の考え方と使い方を学ぶ
目的と概要:組織管理・質管理、業務改善・業務革新の考え方と手法の習得は容易ではない。講師らが品質管理学会の“医療経営の総合的質研究会”で出版した「医療のTQM七つ道具」を用いて具体的事例で研修する。
日時:2014年2月11日
会場:全日病大会議室
募集予定数:150名
プログラム:講義とミニ演習(検討中)
①QC七つ道具
②医療のTQM七つ道具
業務工程(フロー)図、QFD(品質機能展開)、FMEA(故障モード影響解析)、5W1Hメリット・デメリット表、RCA(根本原因分析)、対策発想チェックリスト、まぁいいか(不遵守)防止ツール