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14年度改定基本方針の検討を開始。数回の議論でとりまとめか

14年度改定基本方針の検討を開始。数回の議論でとりまとめか

【医療保険部会・医療部会】
重点項目に「医療・介護の連携推進」の声多数。医療従事者の負担軽減を求める意見も

 2014年度診療報酬改定基本方針をめぐる議論が社会保障審議会で開始された。議論は、10月11日の医療部会で先行して始められ、医療保険部会も10月23日の会合で初回の議論を始めた。
 社保審は例年、7月頃に改定基本方針の検討に着手しているが、今年は一体改革に関連した改定方針の議論が先立ったため、本来の改定方針議論は大幅に遅れることになった。
 一体改革に関連した改定方針は「次期診療報酬改定における社会保障・税一体改革関連の基本的な考え方について」としてまとめられ、9月25日の中医協総会に報告されている。

■医療部会における議論
 10月11日の医療部会で、厚労省保険局の宇都宮医療課長は、一体改革関連の方針と基本方針との関係について、「最終的には合体させることになるが、これからまとめる改定基本方針でその論点を回避する必要はない。一体改革関連の改定方針は両論併記が多い。議論の過程で一致する点が出れば、その方が望ましい」と説明した。
 次期改定では「一層の重点化と効率化が求められる」と唱える高智委員(健保連)は、病床の機能分化と連携推進における急性期受皿確保の必要を述べるとともに、社会的入院の解消、必要度の低い長期頻回・重複受診の是正などを重点課題とすべきとした。
 菊池委員(日看協副会長)は、「医療従事者の負担軽減と在宅医療の推進を引き続き重点課題とすべき」とした上で、充実が求められる分野に「がん医療、精神科入院の機能分化と地域移行、周産期、小児医療」をあげた。
 連合の花井委員は、従事者の負担軽減に加えて、認知症対策、後発品の使用促進、レセプト電子化などの取り組みを求めた。また、3人の委員が明細書発行の促進を訴えた。
 これに対して、医療側委員は、「精神科医療の評価を高める必要がある」「入院と在宅における多職種連携を取り上げるべき」などの意見を表明したが、初回ということもあり、本格的な論戦にはいたらなかった。
 永井部会長(自治医科大学学長)は「12月初旬にはまとめたい。意見がある方は文書で出してほしい」と要請。
 事務局による骨子案づくりへ協力を求めた。

■医療保険部会における議論
 10月23日の医療保険部会で、遠藤部会長(学習院大学教授)は、「次回に骨子案が出る」ことを明らかにした。
 菊池委員(日看協副会長)は、次期改定も、前改定で重点課題とされた「医療従事者の負担軽減」と「医療介護の連携」に「特に取り組んでほしい」とした上で、医療従事者に関して「夜勤看護など現在の基準を後退させてほしくない」と強調した。
 後段の発言は医療部会でも行なわれた。
 前改定で重点課題となった「医療と介護の連携体制の強化等」に関しては、複数の委員が「改定内容は不十分であった」と批判、14年度改定でも最優先課題とするべきとした。岩村委員(東大大学院教授)は「診療報酬の中に地域包括ケアをしっかり位置づけなければならない」との問題意識を明らかにした。
 負担軽減や医療・介護の連携に加えて「機能分化と連携の推進」を取り上げ、「この3本柱に集中してほしい」との意見(日経連の委員=参考人)も出た。
 協会けんぽの小林委員は「緩やかなフリーアクセスの制限」を課題にあげた。
 また、複数の委員が、ICT普及による重複受信のチェック等医療情報活用を促進するべきとの意見を示した。連合の委員(参考人)は明細書の無料発行、後発品の使用促進、レセプト電子化、平均在院日数の短縮などの個別課題を並べた。
 そうした中、医療側の鈴木委員(日医常任理事)は、「前2回とも急性期大病院中心であった。高度急性期ばかりで高齢社会は支えられない」として、地域密着の医療機関とかかりつけ医の評価を、また、在宅医療における他職種連携の推進を求めた。
 一方、武久委員(日慢協会長)は、「高齢者の慢性期救急と急性期救急のトリアージが必要」など、「高齢者慢性疾患への対応をしっかり構築すべき」と主張した。