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ホーム全日病ニュース第811回/2014年11月1日号外国人医師・看護師の規制緩和と...

外国人医師・看護師の規制緩和と保険外併用の拡充を法に明記

外国人医師・看護師の規制緩和と保険外併用の拡充を法に明記

【国家戦略特区】
臨時国会に国家戦略特区関連法案。病床特例は政治判断、医学部新設は先送りか

 

 

 政府の日本経済再生本部は10月18日に国家戦略特区として取り上げる規制緩和項目の「検討方針」を決定、これを受けて政府は国家戦略特区関連法案の作成に着手した。11月上旬に閣議決定の上、臨時国会に提出、成立を図る考えだ。
 「検討方針」には、医療に関しては、(1)国際医療拠点における外国医師の診察、外国看護師の業務解禁、(2)病床規制特例による病床の新設・増床の容認、(3)保険外併用療養の拡充をそれぞれ可能とする特例措置を特区関連法案に盛り込むことが明記された。
 このうち、「外国医師の診察」については「全国における制度改革として臨床修練制度を拡充する」ことを明記、外国看護師ともども一定条件の下で診療行為と看護の実施を認める方針だ。
 その一方で、産業競争力会議の「当面の実行方針」(10月1日)に書き込まれた病床規制特例に関しては「統合推進本部の構成やその在り方と併せて検討する」と記され、法案へどう盛り込むかを今後の政治判断に委ねた。
 また、国家戦略特区の第1次提案募集(8月12~9月11日。242団体から197件の提案)で成田市・国際医療福祉大学と静岡県から申請のあった医学部新設についても「検討する」と表記、継続課題とされた。
 法案には、特区対象地域と規制緩和項目の指定案を決める国家戦略特区諮問会議の設置が盛り込まれる。
 諮問会議の議員は首相、官房長官、特区担当大臣(総務大臣)、経済財政大臣の4閣僚と民間有識者等で構成され、関係する厚生労働大臣や農林水産大臣は必要なときにオブザーバーとして意見を述べる役割に限定する方向で検討されている。
 諮問会議の方針にしたがって具体的計画を策定する国家戦略特区会議が特区ごとに設置されるが、同本部も、特区担当大臣、当該地域の首長、民間事業者と有識者等で構成され、厚労大臣や農林水産大臣は外される方向だ。
 国家戦略特区関連法が成立後、政府は国家戦略特区担当大臣を任命するとともに、国家戦略特区を発足させ、特区対象地域の選定を急ぐ方針だ。2014年に3~5ヵ所ほど指定される見込みだ。
 国家戦略特区について、政府は「内閣総理大臣主導で我が国の成長戦略を実現するための先導プロジェクト」と位置づけ、日本再興戦略を後押しする有力な政策手段として、大きな期待を寄せている。
 4月の産業競争力会議で民間議員から提案され、「日本再興戦略」( 6月14日閣議決定)で創設が認められた国家戦略特区の特徴は、政府主導で緩和項目を決め、対象地域を指定する点にある。
 地方や事業者からの手上げにもとづいていた小泉政権の構造改革特区と、この点で大きく異なる。
 したがって、完全なトップダウンかつ少数者による決定で臨むとともに、具体的計画も国・地方自治体・民間が三者一体で策定する、国の関与した方針を徹底させる体制づくりを目指している。