全日病ニュース

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大学病院型、地方センター病院型、診療所型からなる研修基幹施設

大学病院型、地方センター病院型、診療所型からなる研修基幹施設

【総合診療科の専門研修プログラム整備基準】
専門研修Ⅰ・Ⅱを各6ヵ月。内科6ヵ月、小児・救急各3ヵ月含む計18ヵ月の専門研修

 日本専門医機構は、総合診療科にかかわる専門研修プログラム作成の指針となるプログラム整備基準をまとめ、8月27日に附属資料ともども発表した。
 総合診療科の専門研修プログラム整備基準は同機構の今年4月の理事会で基本了承された後、総合診療専門医に関する委員会の手で精査が加えられてきたが、同機構の「研修プログラム研修施設評価・認定部門研修委員会」による審査・認定を終え、公表にいたったもの。
 公表されたのは、専門研修プログラム整備基準のほかに専門研修カリキュラム、指導医マニュアル、プログラムの施設体制など附属資料12点。その中で、専門研修施設の認定基準を別掲のとおり示した。
 総合診療専門医に関する委員会は、引き続き、整備基準に基づいたモデルプログラムの作成と整備基準に盛りこまれていない事項に関するQ&Aの作成を進めており、プログラム申請関連情報とともに10月半ばをめどに発表する予定だ。

□「専門研修プログラム整備基準」から

●専門研修基幹施設の認定基準
1. 次に示す総合診療専門研修Ⅰまたは総合診療専門研修Ⅱの施設基準を満たすこと。大学病院は研修全体の統括組織としての役割を果している場合はその限りではない。
【総合診療専門研修Ⅰ】
診療所または地域の中小病院(以下の要件を満たせば病床数では規定しない)で、外来診療(学童期以下が5%以上、後期高齢者が10%以上)、訪問診療(在宅療養支援診療所・病院またはこれに準じる施設)および地域包括ケアの研修が可能な施設。総合診療専門研修指導医を、その部署で同時に研修する専攻医3名あたり1名以上置くこと。
【総合診療専門研修Ⅱ】
総合診療部門を有する病院(以下の要件を満たせば病床数などで規定しない)で、一般病床を有し救急医療を提供し、臓器別でない病棟診療(高齢入院患者や心理・社会・倫理的問題を含む複数の健康問題を抱える患者の包括ケア、癌・非癌患者の緩和ケア等)と臓器別でない外来診療(救急も含む初診を数多く経験し、複数の健康問題をもつ患者への包括的ケアを経験等)の研修が可能な施設。総合診療専門研修指導医を、その部署で同時に研修する専攻医3名あたり1名以上置くこと。
2. プログラム統括責任者が常勤で勤務し、コーディネーターとしての役目を十分果たせるように時間的・経済的な配慮が十分なされていること。(以下略)
●専門研修連携施設の認定基準
 総合診療専門研修プログラムは、「専門研修施設群の構成要件」(後出)に示す複数診療科のローテート研修を前提としており、科別に施設の認定基準を以下のように設定する。
 なお、総合診療専門研修はⅠとⅡで構成されるが、Ⅰについては診療所や地域の中小病院における外来診療や在宅診療を中心とした総合診療の経験、Ⅱは一定規模の病院における病棟診療や救急診療を中心とした総合診療の経験を積むことを目的としている。また、内科・小児科・救急科研修においては総合診療カリキュラムを基盤としながら各領域での豊富な臨床経験を積むことを目的としている。
【総合診療専門研修Ⅰ】
診療所または地域の中小病院(以下の要件を満たせば病床数では規定しない)で、外来診療(学童期以下が5%以上、後期高齢者が10%以上)、訪問診療(在宅療養支援診療所・病院またはこれに準じる施設)および地域包括ケアの研修が可能な施設。総合診療専門研修指導医を、その部署で同時に研修する専攻医3名当り1名以上置くこと。
【総合診療専門研修Ⅱ】
 総合診療部門を有する病院(以下の要件を満たせば病床数などで規定しない)で、一般病床を有し救急医療を提供し、臓器別でない病棟診療(高齢入院患者や心理・社会・倫理的問題を含む複数の健康問題を抱える患者の包括ケア、癌・非癌患者の緩和ケア等)と臓器別でない外来診療(救急も含む初診を数多く経験し、複数の健康問題をもつ患者への包括的ケアを経験等)の研修が可能な施設。総合診療専門研修指導医を、その部署で同時に研修する専攻医3名あたり1名以上置く。
・内科/(1)基幹型または協力型臨床研修病院である、(2)内科病床数が50床以上、(3)内科常勤医が5名以上在籍、(4)内科指導医が3名以上在籍、(5)内科専門研修プログラムに参加している、の5つを満たす施設。研修にあたっては内科指導医が指導する。
・小児科/常勤の小児科指導医がいる病院で外来・救急・病棟の(日常的によく遭遇する疾患を中心とした)研修が行える施設。研修にあたっては小児科専門医等が指導する。
・救急科/救命救急センターもしくは救急科専門医指定施設もしくは救急科専門医等が救急担当として専従する一定規模の医療機関(救急による搬送等1,000件以上/年)。なお、研修にあたっては救急科専門医あるいは救急に専従する医師が指導すること。
・その他の領域別研修としてプライマリ・ケアと関連の深い診療領域(一般外科・整形外科・精神科・産科婦人科・皮膚科・眼科・耳鼻科など)の研修を行える病院または診療所。各領域の専門科指導医を1名以上置くこと。
●専門研修施設群の構成要件
 総合診療専門研修プログラムは、複数の連携施設の協力体制が基盤となり、その中にある基幹施設が研修全体をコーディネートするスタイルとなる。その施設群の構成要件として3年以上の研修期間において、以下の基準を満たさなければならない。
(1)総合診療専門研修は診療所・中小病院における総合診療専門研修Ⅰと病院総合診療部門における総合診療専門研修Ⅱで構成され、それぞれ6ヶ月以上、合計で18ヶ月以上の研修を行う。
(2)必須領域別研修として、内科6ヶ月以上、小児科3ヶ月以上、救急科3ヶ月以上の研修を行う。
(3)その他の領域別研修では、研修目標の達成に必要な範囲で外科・整形外科・産婦人科・精神科・皮膚科・眼科・耳鼻咽喉科などの各科での研修を行う。
●専攻医受入数についての基準
・プログラム全体での、専攻医の年間受入数の上限は、総合診療専門研修Ⅰ及びⅡを提供する施設で指導にあたる総合診療専門研修指導医の総数の2倍とする。
・ローテートする各診療科が同時期に受け入れできる専攻医の数は、指導を担当する医師1名に対して3名までとする。
●診療実績基準(基幹施設と連携施設)
・総合診療専門研修Ⅰ 延外来患者数400名以上/月、延訪問診療件数20件以上/月
・総合診療専門研修Ⅱ 延外来患者数200名以上/月、入院患者総数20名以上/月
・内科研修入院患者総数40名以上/月
・小児科研修延外来患者数400名以上/月
・救急科研修救急による搬送等の件数1000件以上/年
・複数の研修施設によって各診療領域の研修施設群を構築することで上記の基準を満たすことも可能であり、その場合は施設単位で必ずしも上記基準を満たさなくても良い。また、各研修施設についてはそれぞれ経験が望ましい経験目標があるので、資料を参考にしながら十分な経験が可能となるように配慮する。

□「専門研修施設群の構成要件」から

●プログラムの施設体制
プログラム統括責任者が在籍する専門研修基幹施設の種別により、(1)大学病院基幹型、(2)地方センター病院基幹型、診療所基幹型の3つに分類
●プログラムの施設体制の基準
<必須>
・総合診療専門研修Ⅰ/診療所・中小病院
・総合診療専門研修Ⅱ/病院の総合診療部門
・内科/内科領域の研修病院
・小児科/小児科領域の研修病院
・救急科/救急科領域の研修病院
<オプション>
・その他(整形外科、産婦人科、精神科等)/総合病院あるいは専門クリニック等