全日病ニュース

【医療保険部会】

2018年度からの第３期医療費適正化計画の基本方針案を了承

　厚労省の社会保障審議会・医療保険部会（遠藤久夫部会長）が３月24日に開かれ、第３期医療費適正化計画の基本方針案を概ね了承した。
　「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づく医療費適正化計画は各都道府県によって５年ごとに策定され、現在第２期（2013年度〜17年度）が実施されている。医療費目標と医療費適正化の取り組みが主な記載事項で、後者に関しては、現在、特定健診・保健指導実施率と平均在院日数短縮の各目標が設定されている。
　この医療費適正化計画は、昨年５月に成立した医療保険制度改革関連法において、①医療費目標は病床機能の分化・連携推進（地域医療構想）の成果をふまえたものとする、②医療費適正化の取り組みに後発医薬品の使用促進等を追加する、③上記を反映した第３期計画（計画期間６年＝2018年度～23年度）を策定するが、計画を早期に策定した都道府県は2017年度から前倒し実施する、という見直しを図った。
　2017年度からの前倒し実施を行う都道府県が、2016年度内に計画を策定できるように、国は基本方針（大臣告示）を2015年度末までに示す必要があり、このほど基本方針案を示した。
　基本方針案は、主に①都道府県が医療費目標を推計する算定式②都道府県が推進する医療費適正化の取り組み（数値目標）からなる。このうち①については、内閣官房の専門調査会が決定する算定式をもってこの夏をめどに告示するため、2015年度末の基本方針は、入院と外来の各医療費を適正化する取り組みが中心になる。
　そのうち入院医療費については、概ね地域医療構想に沿った取り組みとその成果をふまえた目標が記載されることになるが、外来医療費に関して厚労省は、次の２段階にわたる取り組みを盛り込む方針だ。
（1 ）2013年度の実績推計を延長した2023年度の医療費に対して医療費適正化の取り組みの効果を反映した目標とする。
（2 ）その効果の反映は次の２段階で行う。
①第１段階
　2023年度に向けた、①特定健診・保健指導実施率の全国目標の達成（特定健診70％以上、保健指導45％以上）、②後発医薬品使用割合の全国目標（80％以上）等の達成に向けた取り組みを推進。全国目標が達成された場合の医療費の縮減額を反映する。
②第２段階
　その上で、なお残る１人当たり医療費の地域差について、保険者等と連携しつつ、以下のような取り組みを推進した場合の縮減額を反映する。
・民間事業者も活用したデータヘルスの推進
・ヘルスケアポイントの実施等健康づくりへのインセンティブ対策の強化
・糖尿病重症化予防の推進
・重複投薬の是正等
・このほか、都道府県の独自の取り組みおよび国として追加する取り組みなお、第３期計画には、第２期まで記載が求められた平均在院日数縮減に関する目標値がなくなるという大きな変化がある。
　第３期計画の基本方針案に対して、医療費の地域差を問題とする考え方は疑問とする意見があったが、総じて反対意見はなく、基本的に了承された。
　このほか、この日の医療保険部会には、2018年度から都道府県が財政運営の責任主体となる国民健康保険制度に関して、国と地方の協議の場（国保基盤強化協議会）で検討され、合意された改革の全体像が報告された。