全日病ニュース

2016年度改定のポイントを解説

【支部長・副支部長会】
猪口副会長が中医協の議論を振り返る

　全日病の支部長・副支部長会が３月26日に開かれ、中医協委員である猪口雄二副会長が中医協における議論をまじえて2016年度診療報酬改定のポイントを解説した。猪口副会長は、昨年の10月末に中医協委員に就任。７対１入院基本料や「重症度、医療・看護必要度」の見直しをめぐって厳しい交渉に当たった。
　焦点の７対１入院基本料については、７対１を減らすために「重症度、医療・看護必要度」の基準を厳しくすることになり、該当患者割合は25％となった。中医協では、25％では45％の病院が基準を満たせなくなるという試算が出たが、このときは対応に苦慮したという。
　「重症度、医療・看護必要度」の評価項目の見直しにより、Ａ項目に救急搬送（２日間）が入る一方、Ｂ項目を簡素化し、Ｃ項目が加わった。Ｃ項目は、主に手術が対象となり、救命に係る内科的治療が入ったほか、骨の手術に下肢・骨盤の骨接合術が入り、「足の手術がカウントできるようになった」。Ｃ項目は手術をするとカウントできるので、「外科系が有利になる」（猪口副会長）。
　また、７対１から10対１に移行する病院に対して、病院群単位の届出制が２年間の経過措置として導入された。
　一時的な仕組みと説明されているが、「２年後になくなるかどうかはわからない」と猪口副会長。10対１を届け出た病院が多い場合は「制度の存続を主張しなければならない」と述べた。
　病棟群単位の届出は、日病協でも一番にあげていた要望事項だが、「少しやりづらくなった」と述べた。届出を１回しか出せない上に、１年後には７対１の病床を60％以下にすることが求められる。
　また、７対１と10対１の間では、原則として転棟できないこととなっているが、通知では、やむを得ず７対１から10対１に転棟した場合、および、逆の場合は入院期間を通じて10対１入院基本料を算定することになり、「入り口の段階で分けなければいけない規制がついた」。
　地域包括ケア病棟入院料は、手術・麻酔が出来高で算定できるようになり、点数は変わらなかった。猪口副会長は、「包括点数であり、薬価が下がる中で点数は下がるだろうと思っていた。条件がよくなったのは、７対１から移行しやすくするためではないだろうか」と述べた。
　療養病棟については、介護療養病床が法的に廃止される2018年３月までの動きが重要になる。中医協では、療養病棟入院基本料２の医療区分２・３の割合をどうするかが議論になったが、「結局、５割で落ち着いた」。ただ、医療区分２・３の患者が５割を下回り、なおかつ看護職員の配置基準が30対１であれば95％の点数が算定できることになった。猪口副会長は、「2018年３月をにらんでいることは間違いない」とコメントした。
　最後に猪口副会長は、経過措置が35もある上に、それぞれ期限が異なることから、「間違わないようにしてほしい」と注意喚起。また、改定の影響をみるには時間がかかるとし、「７対１の状況などは年末にならないとわからない」と述べた。