全日病ニュース

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民間病院と公的病院の適切な役割分担求める

民間病院と公的病院の適切な役割分担求める

【社保審・医療部会】医療法等改正法案の概要も明らかに

 厚生労働省は1月24日、地域医療構想に関するワーキンググループがまとめた「地域医療構想の進め方に関する議論の整理」を社会保障審議会の医療部会(永井良三部会長)に報告した。
  委員からは、民間病院と公立・公的病院との関係をめぐって、補助金などで公民に格差がある中で、両者が競合し民業圧迫とならないよう適切な役割分担を求める意見が出た。
 「地域医療構想の進め方に関する議論の整理」は地域医療構想に関するワーキンググループ(尾形裕也座長)がまとめた。地域医療構想の実現に向け、調整会議で公民の病院が適切に役割分担し、地域の医療ニーズに合った医療機能の必要量を整備するのが目的だ。
 日本医療法人協会会長の加納繁照委員は、「都会で民間病院が担える分野に、一般会計繰入れや補助金をもらっている公立・公的病院が、急性期病床を回復期病床や慢性期病床に転換する現象が進んでいる」ことを問題視した。
 「議論の整理」では、公立・公的病院に期待する役割として、①民間医療機関の立地が困難な過疎地等における一般医療②不採算部門に関わる医療③県立がんセンター等の高度・先進医療④広域的な医師派遣の拠点としての機能─をあげている。
 これに関し、猪口雄二委員の代わりに出席した全日病副会長の神野正博参考人は、加納委員の発言を踏まえた上で、「①〜④の役割を果たしていない公立・公的病院が、急性期病床の稼働率が悪いといって、回復期や慢性期に病床転換することに対しては、国がきちんと指導してほしい」と要請した。
 これに対し、厚労省は、「国が直接指示をするのではなく、考え方を通知する。あとは地域の調整会議で関係する医療機関同士で議論してほしい」と述べ、「議論の整理」の内容を関係者に通知する考えを示した。
厚労省が医療法等改正案を説明
 厚労省が医療法等改正案を説明した。法案は3月上旬に閣議決定し、今国会に提出する見通しが示された。「地域間の医師偏在の解消等を通じ、地域における医療提供体制を確保するため、都道府県の医療計画における医師の確保に関する事項の策定、臨床研修病院の指定権限および研修医定員の決定権限の都道府県への移譲等の措置を講ずる」ことが改正法案の趣旨だ。
 具体的には、①医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設②都道府県における医師確保対策の実施体制の強化③医師養成過程を通じた医師確保対策の充実④地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応―を講じる。
 その他で、地域医療構想の達成を図るための医療機関の開設・増床の都道府県知事の権限を新たに創設する。
 医師少数区域等で勤務した医師を評価する制度の創設について日本医師会の委員は「医師少数区域をどのように決めて、どのような規模になるかがわからないことが一番大きな問題だ」と指摘し、関係者による議論を求めた。
 医師養成過程を通じた医師確保対策の充実として、専門研修において国から日本専門医療機構や学会に対して必要な研修機会を確保するよう要請する権限の創設を盛り込むことに対し、神野参考人は、「プロフェッショナルオートノミーといいながら、専門医機構のガバナンスが効いていない。法的な措置を講じたほうが今後の専攻医の偏在対策にも有効だ」と述べ、法制化に賛意を示した。

全日病ニュース2018年2月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 慢性期の医療について(PDF)

    https://www.ajha.or.jp/guide/pdf/070911.pdf

    病院の医療機能を大きく分けると下の3つのようになります。 急性期医療. 急性期病院.
    回復期リハ. ビリテーシ. ョン病院. 療養型病院. 亜急性期病床. 【医療療養】. 【介護療養】
    . 亜急性期医療. 慢性期医療. 慢性期医療を提供する病院は、病気の治療をし、
    リハビリテーションに. より自立支援をする場です。高齢者が暮らす生活空間とは違い
    ます。現在、 ... 1993 年(平成 5 年) 「療養型病床群」の創設(第二次医療法改正)~
    定額制. 1996 年(平成 8 年) 「介護保険制度案大綱」(老人保健福祉審議会). 「…施行
    後一定の期間 ...

  • [2] 第6章 診療報酬体系:「病院のあり方に関する報告書」(2015-2016年版)

    https://www.ajha.or.jp/voice/arikata/2016/06.html

    入院医療の病棟機能別診療報酬体系. 2014 年より開始された病床機能報告制度では
    病床機能を「高度急性期機能」「急性期機能」「回復期機能」「慢性期機能」の4分類で
    病棟毎に報告することとなった。 全日病は、本報告書等において、入院医療は病棟単位
    での機能分化が望ましいとしてきた。医療法では、一般病床・療養病床に区分されて
    いるが、今後はその機能から急性期病棟・亜急性期(回復期)病棟・慢性期病棟に区分
    することが妥当とした。病棟別機能と望ましい支払方式について表6-1に示す。 表6-1
    病棟 ...

  • [3] 2つの検討会で亜急性期をめぐる議論|第803回/2013年6月15日号 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20130615/news01.html

    2013年6月15日 ... 2つの検討会で亜急性期をめぐる議論|第803回/2013年6月15日号 HTML版。21
    世紀の医療を考える「全日病ニュース」は、全日本病院協会が毎月1日と15日に発行
    する機関紙です。最新号から3ヶ月前まではヘッドライン版を、3か月前以前は紙面PDF
    を ... 亜急性期をめぐる議論は、2014年度診療報酬改定だけでなく、医療法改正を介
    した病床・病棟の整理再編においても大きな意味をもつだけに、その成り行きが注目され
    る。 (入院医療分科会は前号で既報。また、こちら にその議論内容を掲載。

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