全日病ニュース

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【資料】一般病棟入院基本料の評価体系見直しの概要

【資料】一般病棟入院基本料の評価体系見直しの概要

【2018年度診療報酬改定】基本的医療の評価部分と診療実績に応じた評価部分の組み合わせで評価

2月7日の中医協資料から

 中医協(田辺国昭会長)は2月7日、2018年度の診療報酬改定について了承し、加藤勝信厚生労働大臣に答申した。団塊の世代が75歳以上となる2025年とそれ以降の社会経済の変化に対応するため、医療機能の分化・連携や地域包括ケアシステムの構築を進め、質が高く効率的な医療提供体制を整備する。
 特に入院医療については、評価体系を全面的に組み換える大幅な改定となった。
改定率はプラス0.55%
 診療報酬の改定率は表1のとおりで、技術料に当たる診療報酬本体はプラス0.55%となり、前回改定の0.49%を上回った。薬価・材料価格の引下げ(▲1.74%)と合わせた全体の改定率はマイナス1.19%である。このほかに、いわゆる大型門前薬局に対する評価の適正化の措置を講ずる。
入院医療の評価の基本的考え方
 入院医療の評価の基本的考え方として、個々の患者の状態に応じて、適切に医療資源が投入され、より効率的・効果的に質の高い入院医療が提供されることが望ましい。患者の状態や医療内容に応じた医療資源の投入がなされないと、非効率な医療となるおそれや、粗診粗療となるおそれがある。
 入院医療の評価体系は、基本的な医療の評価部分と診療実績に応じた段階的な評価部分の二つの評価を組み合わせた新たな評価体制に再編・統合する。
 再編の対象となるのは、一般病棟入院基本料、地域包括ケア病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料、療養病棟入院基本料である。
一般病棟入院基本料の見直し
 一般病棟入院基本料(7対1、10対1、13対1、15対1)について再編し、急性期一般入院基本料と地域一般入院基本料とする。
 現行の7対1入院基本料と10対1入院基本料は、急性期一般入院基本料に再編する(図1)。
 現行の7対1と10対1の中間の評価を設けることにより、全体で7段階の評価となる。最も高い急性期一般入院料1は1,591点で現行の7対1と同じ点数だ。一方、急性期一般入院料7は1,332点で現行の10対1と同じ点数である。現行の10対1入院基本料の看護必要度加算1~3の点数も維持し、急性期一般入院料4~6とする。
 新たに設ける中間的な評価の急性期一般入院料2は1,561点、急性期一般入院料3は1,491点となった。
 急性期一般入院料2は現行の7対1の1,591点に近い1,561点になっている。これまで7対1と10対1の点数差が大きいことが、7対1からの転換を妨げていたと考えられることから、その差を小さくすることで、7対1からの転換を促す考えがあるとみられる。
 なお、急性期一般入院料2と3を届け出るためには、急性期一般病棟1の届出実績が必要であり、急性期一般入院料4~7から急性期一般入院料2または3に直接届け出ることはできない(2018年3月31日時点で、7対1を届け出ている病棟は2年間の経過措置がある)。
DPCデータによる評価を導入
 急性期一般入院基本料は、「重症度、医療・看護必要度」を満たす患者の割合が要件として設定される。「重症度、医療・看護必要度」は、認知症・せん妄の患者を該当しやすくするなどの見直しを行った上で、7対1相当の急性期一般入院料1の該当患者割合は「25%以上」から「30%以上」になり、条件が厳しくなった。
 また、DPCデータの診療実績データを「重症度、医療・看護必要度」の代わりに用いることができるようになった。従来の「重症度、医療・看護必要度」は、「重症度、医療・看護必要度Ⅰ」となり、DPCデータによる判定は「重症度、医療・看護必要度Ⅱ」となる。
 病院は、いずれの判定方法を採用してもよいが、DPCデータによる測定では該当患者割合の基準は3~5%低くなる。なお、7対1相当の急性期一般入院料1からしか移れない急性期一般入院料2と3は、診療実績データのみの患者判定となる(200床未満の病院は、2年間はどちらの判定方法を用いてもよい経過措置が設けられた)。
 現行の13対1入院基本料と15対1入院基本料は、地域一般入院基本料となる(図2)。看護職員配置15対1を基本として、13対1相当の実績や「重症度、医療・看護必要度」の測定を評価して3段階の評価となっている。地域一般入院料1は1,126点となり、現行の13対1と必要度評価加算を合わせた点数と同じである。
地域包括ケア病棟入院料で中小病院を評価
 地域包括ケア病棟入院料は、200床未満の病院だけが算定できる入院料1と入院料2が新設された(図3)。いずれも地域包括ケアに関する実績部分が加わり、従来よりも高い点数が設定されている。13対1の看護配置を基本に、現行の入院料1と2の間に在宅復帰率や室面積の評価による実績評価部分が加わる。実績評価部分は「自宅等から入棟した患者割合が1割以上」、「自宅等からの緊急患者の受入れが3月で3人以上」、「在宅医療等の提供」「看取りに対する指針」があり、地域包括ケアを担う中小病院を評価する内容となっている。
回復期リハ病棟に実績指数を導入
 回復期リハビリテーション病棟入院料は15対1の看護職員およびPT2名・OT1名の配置を基本に、一定の体制と実績による評価が加わった。さらにリハビリテーションの「実績指数」が組み込まれた(図4)。「実績指数」は、現行のリハビリテーション充実加算の要件である、リハビリテーションの実績指数(1日当たりのFIM得点の増加を示す指数)を用いる。
 入院料1(2,085点)の場合、実績部分は「日常生活機能評価10点以上の重症者割合3割以上」「重症者における退院時の日常生活機能評価で3割以上が4点以上改善」「自宅等に退院する割合が7割以上」であり、さらに実績指数37点以上が要件となる。
療養病棟は20対1に統一
 療養病棟入院基本料の看護職員配置は20対1に一本化するとともに、医療区分2・3の該当患者割合に応じた2段階の評価に見直すことになった(図5)。
 療養病棟入院料1の医療区分2・3の該当患者割合は「8割以上」、療養病棟入院料2は「5割以上」が要件となる。その上で、各患者の医療区分・ADLの状況で点数に差がつく。点数は基本的に現行と同じ。20対1または医療区分2・3の「5割以上」を満たせない場合の経過措置が設けられている。25対1は経過措置1、25対1を満たせない30対1は経過措置2として扱い、経過措置1は1割、経過措置2は2割の減算となる。
 25対1の経過措置1については、最終的な経過措置の終了時期は次期改定時に改めて検討することとし、経過措置期間は「まずは2年間」と設定されている。療養病床再編全体の動向にあわせて、介護医療院と同様に6年間となる見込みだ。なお、30対1の経過措置2は「2年間」とされている。
在宅復帰率の要件の見直し
 在宅復帰率の指標について、医療機関間の連携や在宅復帰の機能をより推進する観点から、指標の定義等の見直しを行った(図6)。急性期一般入院料1の在宅復帰率は、「在宅復帰・病床機能連携率」に名称を変更。居住系介護施設等に介護医療院を含めることとしたほか、療養病棟と有床診療所、介護老人保健施設は加算を算定していた施設に限定していたしばりをなくした。
 地域包括ケア病棟では、療養病棟と介護老人保健施設への退棟を分子に算入できなくなったほか、有床診療所については、介護サービスを提供している施設に限ることとした。