全日病ニュース

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【資料】介護医療院の施設基準と介護報酬を設定

【資料】介護医療院の施設基準と介護報酬を設定

【2018年度介護報酬改定】基準を緩和し、療養病床からの転換に配慮

 社会保障審議会・介護給付費分科会(田中滋分科会長)は1月26日、加藤勝信厚生労働大臣から諮問された2018年度介護報酬改定案について了承し、同日答申した(前号既報)。厚労省は改定案について2月24日までパブリックコメントを実施し、3月中旬の告示を予定している。
 全体の改定率はプラス0.54%。団塊の世代が75歳以上となる2025年に向け、地域包括ケアシステムの構築を進める。
 なお、基準省令は1月17日に諮問・答申され、同18日に公布された。答申から、介護医療院に関係する内容をまとめた。
2つのサービスを導入
 昨年の介護保険法の改正により、介護療養病床等の受け皿として4月から介護医療院が創設される。介護療養病床(療養機能強化型)相当のⅠ型療養床と、介護療養型老健施設相当のⅡ型療養床の2つのサービスが導入される。
 人員配置(表1)は、長期療養を主目的としたサービスを提供する観点から設定され、Ⅰ型では、医師48:1(施設で3以上)、看護職員6:1、介護職員5:1とされている。また、リハビリ専門職・栄養士・放射線技師等は施設全体として配置することを念頭に設定される。
 施設基準(表2)をみると、療養室は定員4名以下、1人当たり床面積8.0㎡以上とし、4名以下の多床室でもプライバシーに配慮した環境とすることに努めることとされている。
 運営基準は、介護療養病床と同様。
 医師の宿直は求めるが、一定の条件の下で配慮することとしている。
 医療機関と併設する場合は、宿直の医師を兼任できるようにするなど人員基準を緩和するとともに、設備の共用を認める。
手厚い基本報酬を設定
 基本報酬は、表3のとおりである。
 Ⅰ型・Ⅱ型ともそれぞれに相当する療養機能強化型や介護療養型老健施設よりも手厚い報酬が設定された。例えば、Ⅰ型介護医療院サービス費(Ⅰ)について相当する療養機能強化型Aと比較すると、各要介護度でそれぞれ25単位高くなっている。厚労省は、介護療養型医療施設より療養環境が充実することなどを理由にあげている。なお、療養環境の基準を満たさない場合には25単位の減算となる。
 基本報酬の算定要件をみると、Ⅰ型は相当する療養機能強化型の要件と同様であり、Ⅱ型も一部を除き、同様である。
介護医療院への転換支援
 介護療養型医療施設または医療療養病床からの転換に当たり、療養室の床面積や廊下幅などの基準を緩和し、配慮する。
 療養室の床面積は、大規模改修までの間、1人当たり床面積6.4㎡以上で可とするほか、廊下幅も大規模改修までの間、1.2m以上(中廊下1.6m以上)で可とする。
移行定着支援加算を新設
 転換支援として「移行定着支援加算」(93単位/日)が新設される。介護療養型医療施設や介護療養型老健のみならず医療療養病床からの転換でも算定できる。
 算定要件は転換後、介護医療院を開設した旨などを地域の住民に周知するとともに、入所者やその家族等への説明に取り組んでいることである。さらに入所者及びその家族と地域住民等との交流が可能となるよう、地域の行事や活動に積極的に関与することを求めている。
 介護療養型医療施設で評価されている加算等は、引き続き算定できる。名称は必要に応じて変更し、例えば「特定診療費」は「特別診療費」とする。
 緊急時の医療は、「緊急時施設診療費」として評価する(緊急時治療管理、511単位/日)。
 なお、介護医療院が提供できる居宅サービスは、通所リハ・訪問リハ・短期入所療養介護の3サービスである。
認知症への対応を評価
 重度の認知症疾患への対応については、精神保健福祉士や看護職員の手厚い配置に加え、精神科病院との連携等を「重度認知症疾患療養体制加算」として評価する。看護職員の配置等により、加算(Ⅰ)と(Ⅱ)を設定し、加算(Ⅰ)では要介護1・2で140単位を算定できる。
 施設サービスで評価されている「認知症専門ケア加算」「若年性認知症患者受入加算」「認知症行動・心理症状緊急対応加算」も設定される。
身体拘束の適正化を推進
 身体拘束の適正化を推進する観点から、介護医療院に「身体拘束廃止未実施減算」を設定する。これまで介護療養型医療施設では5単位/日減算だったが、10%/日減算となる。なお、居住系サービスでは新設する。
排せつ支援加算を新設
 排泄障害等のため、排泄に介護を要する入所者に対して支援した場合の評価として、「排せつ支援加算」(100単位/月)を新設する。多職種が共同して支援計画を作成し、その計画に基づき支援し、排泄に係る要介護の改善に向けた取組みを評価する。
 低栄養リスクの改善に対する「低栄養リスク改善加算」(300単位/月)や施設入所者が医療機関に入院し、施設入所時と大きく異なる栄養管理が必要となり、対応した場合の「再入所時栄養連携加算」(400単位/回)が新設される(再入所時栄養連携加算は、介護療養型医療施設は除く)。
 栄養マネジメント加算の要件を緩和し、常勤の管理栄養士1名以上の配置に関する要件について、同一敷地内の他の介護保険施設(1施設に限る)との兼務の場合にも算定を認めることとする。
療養食加算は1日単位に
 療養食加算について、1日単位で評価を行っている現行の取扱いを改め、1日3食を限度とし、1食を1回として、1回6単位の評価とする。
 ユニット型準個室について、その名称を「ユニット型個室的多床室」に変更する。
処遇改善加算の見直し
 介護職員処遇改善加算(Ⅳ)及び(Ⅴ)は、報酬体系の簡素化の観点を踏まえ、廃止する。要件の一部を満たさない事業者に対し減算された単位数での加算を認める区分であることや、当該区分の取得率の低さが廃止の理由となっている。ただし、一定の経過措置期間を設ける。
 その間、介護サービス事業所に対してはその旨の周知を図るとともに、より上位の区分の取得について積極的な働きかけを行う。
介護療養型医療施設は従来どおり
 介護療養型医療施設は2024年3月31日まで6年間延長される。基本報酬は従来どおりだ。ただし、介護療養型老健施設の要件を踏まえ、一定の要件を満たす入院患者の数が基準を満たさない場合の減算が新設される。所定単位の100分の95となる。なお、減算が適用となった場合、一部の加算の算定が認められなくなる。