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診療科・都道府県別のシーリングの問題点を協議し、年内に結論

診療科・都道府県別のシーリングの問題点を協議し、年内に結論

【日本専門医機構】今年度募集は予定どおり9月目指す

日本専門医機構の寺本民生理事長は8月26日の会見で、「専攻医養成数に関する検討協議会」の結論を年内に出す見通しを示した。協議会は、専攻医募集で今年度から導入する診療科別の都道府県上限設定(シーリング)の問題点を議論している。協議会の結論を出した上で、12月の医師・歯科医師・薬剤師調査の結果に基づき、1月に2020年度募集のシーリングを決定する。
 昨年度の募集までは、大都市のある5都府県(東京、神奈川、愛知、大阪、福岡)だけに一律にシーリングを設定していた。今年度から、診療科別の都道府県別上限設定を導入する。厚労省が医師偏在対策を議論する中で、医師の働き方改革による時間外労働の上限を反映させた将来の必要医師数を推計し、現状の医師数との過不足を示したため、それをシーリング設定に活用することにしたためだ。
 新たな推計では、神奈川や愛知が医師多数県ではないことも明らかになり、きめ細かなシーリングが行われることになる。
 しかし、厚労省の示した当初案は、特定の診療科や都道府県にとっては激変を伴うものだった。寺本理事長は、「例えば、東京の内科だと100人ぐらい減らす必要がある。これは難しいということで、(医師少数都道府県での研修期間を半分程度設ける)連携プログラムを設定するなど、緩和策を講じた」と説明。従来のシーリングと比べ、激変になることを避けた。
 一方で、厚労省の推計に対し「実感と異なる」との不信も根強くあった。このため機構に、「専攻医養成数に関する検討協議会」を設置。厚労省推計の技術的な問題点を議論することになった。協議会は8月中に2回開催し、9基本診療領域の話をきいた。1回目は脳神経外科、外科、産婦人科、小児科、精神科の5基本診療領域、2回目は内科、皮膚科、整形外科、眼科の4基本診療領域を対象とした。
 協議会では、厚労省推計に対し、「大学病院で教育・研究を行う人員の配慮がなされていない」、「美容医療など自由診療が推計に含まれていない」、「入院と外来の比率はどうなっているのか」などの指摘があったという。
 また、外科や産婦人科などシーリング対象外の基本診療領域についても、「一向に専攻医が増えない」(寺本理事長)との問題があることから、シーリングとは別に診療科偏在を解決する手法を考えていく意向も示した。
 協議会は、9月に2回、10月に地方自治体の意見をきいた後に、全体会議を開催し、12月に結論を出す。12月に足元の医師の従事場所や診療科の状況がわかる三師調査の結果が公表されるので、その数字を反映させ、来年1月に2020年度募集のシーリングを決定したい考えだ。
 寺本理事長は、足元の数字の変化に応じた調整は行うものの、現場の混乱を避けるため、「シーリングの基本的な考えは当面変えるべきではないと厚労省に伝えてある」と述べた。
 なお、今年度の専攻医募集については、予定通り、医道審議会の了承を得た上で、9月の実施を目指す。

 

全日病ニュース2019年9月15日号 HTML版

 

 

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  • [1] 全日病ニュース・紙面PDF(2018年10月15日号)

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    2018年10月15日 ... 改革の問題を解いていくということ。 働き方改革の結果、 ... 都道府県知事宛てに発出
    した通知につ. いて、都道府県に ..... 東京への集中やシーリングの超過に懸念の声.
    厚生労働省は9 .... 厚労省は EMIS の問題点を、①シ. ステムの操作性 ...

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2019年6月1日号)

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