全日病ニュース

全日病ニュース

病院機能評価受審の取り組み

病院機能評価受審の取り組み

医療法人社団尚志会 福山城西病院 看護部長 森田恵美子

 私が当院に着任して2年が経とうとしています。1月の新年互例会で、「コロナ禍であっても目先の業務に追われることなく目標や希望、そして誇りを持って医療に携わって欲しい」との理事長からのメッセージとともに、「病院機能評価受審支援モデル病院」に選定されたとの報告を受けました。
 兼ねてから受審すると噂に聞いていた機能評価が決まり、期待のワクワク感とその反面不安も抱きました。そのように思っていた矢先にスタッフから「大変な業務の上に、また大変になる」と胸の内を打ち明けられました。私の正直な気持ちもスタッフと同様で、「(公立病院勤務時代の)あの大変な機能評価をまた受けるのか‥」と思いました。
 しかし、ここまで来たら前向きに考えないといけませんので、当時はなぜ苦しく、今も嫌な思いしか心に残っていないのか内省しました。前回は機能評価受審の半年前から急ピッチで準備し、やみくもに指示されたマニュアル作りに専念し、計画性の無さとやらされ意識が関係していたと考えました。
 今回の機能評価受審は全日病からのアドバイスがあり、あるべき病院の姿に向けて方向性を導き出しつつ、関わって頂け、計画性をもって受審できる点が前回とは異なります。また看護部長として赴任し、毎日のように問題が勃発する度に「何故、この問題が生じたのか」を考えるとマニュアルの整備不足に原因があると思いいたりました。日々生じる問題をモグラ叩きのように対応していても病院の基本となる部分が弱い。では何をどのようにすべきなのかと悩んでいた最中で、「病院機能評価 受審支援モデル病院公募」はチャンスだと前向きに考えることができました。
 実際の全日病からのサポートですが、最初に自己評価調査票、現況調査票の作成依頼がありました。記入方法が細かく示された用紙に当院の状況を客観的に記入していきます。その内容は、なぜ問題なのか、だから何が必要なのかを順を追って記入する指示でその通り行うと思考の整理がつき、現状が精査され、記入しながら現状の不足な点が理解できました。この作業をスタッフ間で行うと士気が上がると考え、共に自己調査票を記入しスタッフ同士の会話が増し、全員で目標をもち、顔を突き合わせた(コロナ禍なので距離をとりながらですが)関係も深まりました。
 次は提出した書類を基に他の施設との交流をもちながら、全日病主催の機能評価受審支援セミナーを受講しました。機能評価受審が初めて、また2回目の病院もあり、Web上ですが他施設の方の思い、困っている部分を伺うことができ共感が得られ、交流していくうちに機能評価の受審のイメージがつき、やる気も段々と湧いてきました。
 当院の看護部では一人一人は患者様に寄り添い、歩んでこられた人生に敬意をはらいつつ、心を込めたケアに徹しておりますが、立ち話的なカンファレンスが多く、記録に残っていないため、何も行っていないことと同じとの指摘もあり、記録の不備も明らかになりました。後日、自己評価調査票には、アドバイザーからの丁寧なアドバイスが細かく記載されており、考える視点が明確になりました。コメントの内容は厳しく記載されている点もあり、更に吟味する必要性を感じ身が引き締まる思いでした。
 やみくもに作業を行い、後日方向性を修正するのは労力が伴い、良いのか悪いのか分からないまま進むのは不安があります。また、自分達が当たり前と感じている考え方の間違いを指摘して頂けることは非常に有難いです。早速、入院時のカンファレンスを行う時期を変更し記録の整備を行うなど、指摘を受けた点を改善するよう取り組んでいます。機能評価受審に向けスタッフの向上心を燃え上がらせることができるよう、誇り高い病院を目指せるよう全力を尽くし、新しい病院の基盤が整うことを楽しみに取り組みたいと思います。

 

全日病ニュース2021年6月1日号 HTML版