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ホーム全日病ニュース(2022年)第1007回/2022年4月15日号看護職員処遇改善に向けた調査・分析は分科会で議論へ

看護職員処遇改善に向けた調査・分析は分科会で議論へ

看護職員処遇改善に向けた調査・分析は分科会で議論へ

【中医協総会】入院医療等分科会の所掌分野には外来医療が加わる

 中医協(小塩隆士会長)は3月23日の総会で、10月から実施予定の診療報酬による看護職員の処遇改善の仕組みについて「入院・外来医療等の調査・評価分科会」(尾形裕也分科会長)で議論することを了承した。ただ、分科会では、必要な調査・分析にとどめ、仕組みはあくまで総会で議論し、決定することを確認した。
 看護職員の処遇改善では、2月から9月までは補助金により看護職員1人当たりの収入を1%程度(月額4千円程度)引き上げる対応を講じており、10月以降は診療報酬により3%程度(月額1万2千円程度)引き上げるための対応を行う。2022年度診療報酬改定のプラス0.43%の財源のうち、0.2%分を充てることになっている。
 制度設計は、介護・障害福祉の処遇改善加算の仕組みを参考にする。
 現在の補助金対応の対象者は、すべての看護職員ではなく、地域でコロナ医療や救急医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象としている。看護職員以外の他の医療従事者の処遇改善にも充てられるよう、柔軟な対応を可能としているが、医療機関への補助金の額は変わらず、その分看護職員に充てる額は少なくなる。
 同日の中医協では、診療報酬による制度設計の難しさを指摘する意見が相次いだ。
 日本医師会常任理事の城守国斗委員は、「診療報酬でどのように評価するか。基本診療料の上乗せか加算か。新たな評価の新設か。いずれにしろ、診療報酬の対応であれば、患者数の変動による収入の増減の影響を受ける。介護報酬の処遇改善加算等との違いを含めさまざまな課題がある」と述べた。
 健康保険組合連合会理事の松本真人委員も、城守委員と同様に、看護職員の人数に応じて決まる処遇改善の財源を患者数に応じて決まる診療報酬で確保するため、「過不足が生じる」ことへの対応が論点になると指摘した。
 日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員は、「介護職員への処遇改善と異なり、看護職員の処遇改善は、対象が限定されるため、看護職員の差別化につながりかねない。大臣折衝で決定されてしまっているので、中医協で議論できない論点かもしれないが、結果的に(公的・公立病院に急性期病院が多いため)官民格差も広がる可能性がある」と懸念を示した。
 日本看護協会常任理事の吉川久美子専門委員は、「看護職員の処遇改善に確実に反映される仕組み」とすることを求めた。
 また、「入院・外来医療等の調査・評価分科会」は、これまで「入院医療等の調査・評価分科会」の名称であったが、「外来」を加えることを同日の総会で了承した。2022年度診療報酬改定で、「外来データ提出加算」が新設され、外来患者の診療内容に関するデータを継続的に把握できる体制が整うことが期待できることなどを踏まえた。
 「外来」の詳細な分析については、分科会の下の「診療情報・指標等作業グループ」で行うとした。松本委員は、「外来医療の専門家を必要に応じて追加してほしい」と要望した。

 

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