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ホーム全日病ニュース(2022年)第1007回/2022年4月15日号最近の循環器病対策の動向に関し報告を受ける

最近の循環器病対策の動向に関し報告を受ける

最近の循環器病対策の動向に関し報告を受ける

【厚労省・循環器病対策推進協議会】支援センターモデル事業の進捗や2022年度診療報酬改定

 厚生労働省の循環器病対策推進協議会は3月30日、厚労省から、脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業の進捗や2022年度診療報酬改定での循環器病対応など、最近の循環器病対策の動向に関して報告を受けた。また、厚生労働科学研究班の研究結果が示された。協議会長には、永井良三・自治医科大学学長が再任された。
 2022年度の循環器病対策の予算は、新規の脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業(2億円)や厚労科研研究費等補助金(14億円)など約18億円。支援センターモデル事業は、患者・住民への循環器病に関する情報提供などを中心的に担う医療機関に支援センターを設置するもので、まずは全国に10都道府県程度において先行的に実施するとしている。
 厚労省は、現在28都道府県から申請があり、これから10都道府県程度に絞り込むと説明した。委員からは、予算制約上、絞り込みが必要であることには理解を示しつつ、「選定から漏れた都道府県に対しても、情報提供を行うなど一定の関与を求めるべき」との要望があった。
 また、本事業になってからは全都道府県への設置が想定されるが、人口や面積の大きい都道府県には、複数の支援センターを設置することも検討してほしいとの意見があった。
 2022年度診療報酬改定での循環器病に関連する項目の報告もあった。
 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する病棟に入院する患者の「回復期リハビリテーションを要する状態」に、「急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患または手術後の状態」が追加された。委員からは、循環器病に対するリハビリの重要性が認識される中で、診療報酬での対応が図られたことを歓迎する一方で、疾患の範囲がまだ不明確との指摘があった。
 地域包括診療料・地域包括診療加算の対象患者には、「慢性心不全」が追加された。これについては、委員から慢性心不全の患者への対応は、脂質異常症や高血圧症とは異なるので、かかりつけ医の対応能力の向上を図る対策が必要との指摘があった。
 厚労科研研究事業では、複数の報告があったが、その中に、新型コロナの感染拡大による受診控えなどの状況を踏まえた循環器病の医療提供体制の構築に向けた研究の報告があった。
 それによると、新型コロナの感染拡大が生じた2020年1~3月において、それ以前と比較して循環器急性疾患の入院治療は16%減少したという。心臓手術後の外来リハビリテーションの日数も有意に減少していた。
 これに関して、「循環器病の発症率が下がったのか」それとも「循環器病が発生したにもかかわらず、医療機関での受入れができなかったのか」との質問があった。
 回答では、「科学的なエビデンスは得られていない」としつつ、「医療機関の機能は、新型コロナの感染拡大により、低下したが、受入れ機能は保ったので、受入れができなかったということはきいていない。軽症患者が受診を抑制した影響はあると思う」との説明があった。

 

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