全日病ニュース

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病院機能評価受審に向けて

病院機能評価受審に向けて

医療法人社団翔嶺館 札幌優翔館病院 院長 北川真吾

 当院は、北海道の札幌市にある病院です。「札幌市」といっても皆さんが想像するようなテレビ塔が高くそびえ立つ街中ではなく、北端に位置する茨戸という地域にあります。
 茨戸は発寒川、創成川、伏籠川が茨戸川へと流れ込む合流地点にあり、平地に畑などがある土地です。開拓地時代は、石狩川にはいくつもの川が流れ込み河口には沼が点在し、その中に茨戸があったそうです。茨戸は石狩と水陸交通の中継地点となり、漁村であり、農村であり宿場町のような趣もある活気にあふれていた地域だったようです。昭和6年には石狩川の一部の湾曲部分が切り離され茨戸川となり、宿場町としての役割を終え農村となりました。
 一転し、昭和31年から茨戸では畑地で油田開発が行われ、最盛期には北海道内産油量の91%を占める油田となったそうです。しかし、徐々に産油量が減少し、昭和46年に原油の生産を中止し油田を閉じ、その後は畑地に戻り牧歌的な風景の茨戸になりました。
 現在の当院の周りには、広大な平地に畑と民家、そして特別養護老人ホーム、老健、グループホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など多岐に渡る介護施設が存在しています。また、地域住民の方たちがだんだんと高齢化してきており、当院では高齢者に特化した急性期〜慢性期〜在宅、そしてお看取りまで切れ目のない医療サービスを提供し、自然豊かな茨戸において高齢者医療の理想郷たることを目指しております。
 2021(令和3)年6月1日に当院院長を拝命し、この10カ月、病院機能の転換を行ってまいりました。従前から提供しておりました高齢者医療の慢性期と在宅に加え、急性期の高齢患者を受入れ治療をし、リハビリを行って在宅へ帰ってもらうという一連の医療を提供すべく急性期患者の受入れに力を注ぎました。その結果として、2020年度平均新入院人数17人/月が2022年3月単月で71人、2020年度全身麻酔の手術件数0件が2021年度40件、2020年度救急車受入件数6件が2021年度116件と一定程度の数字的な成果を出せました。
 次に行うべき目標として、①患者様満足度の向上、②職員満足度の向上の2つを考えました。患者様満足度については、今よりも良いケア、今よりも質の高い医療を提供し満足度を向上したいと考えております。もう1つの目標である職員満足度については、業務の改善を行い「よく働きよく遊べる職場」を作り、同時に業績を上げていくということです。その2つの目標達成をするためには、業務の標準化と平準化、客観的視点による自己評価と改善が必要であると考えました。その手段を具体的に落とし込んだものが病院機能評価受審であると捉え、受審することを決定いたしました。
 しかしながら、病院機能評価受審をゼロから経験したことがある者が院内にはおらず、最初の一歩をどのように進めればいいのかという不安と戸惑いが院内の雰囲気としてありました。そんな時、たまたま全日本病院協会の「病院機能評価受審支援相談事業 認定率向上キャンペーン」のお知らせを拝見し、経験豊富なアドバイザーがサポートしてくださる事業だと知り、これだ!と申込みをしました。申込みから約1カ月後、落選したのだろうと諦めかけていたとき、選定の連絡をいただきました。この選定のお知らせは、真っ暗な道を前に最初の一歩を踏み出せないでいる私たちに、遠くから一筋の光が差し込み、最初の一歩を示してくれたかのように感じました。選定いただいたことを本当に感謝しております。
 これから、札幌優翔館病院は職員一同、一意奮闘し病院機能評価の認定を勝ち取りにいきたいと思います。当院の奮闘ぶりを定期的に本紙へ投稿する機会を頂戴しております。恐らく、一歩進んで二歩または三歩下がる・・・のような歩みになるかと思いますが、当院の病院機能評価認定までの道のりをご笑覧いただき、受審病院が増えるような取り組みに繋がれば幸甚です。

 

全日病ニュース2022年5月15日号 HTML版

 

 

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