全日病ニュース
かかりつけ医機能の制度整備を進める
かかりつけ医機能の制度整備を進める
【全世代型社会保障構築会議】今後の社会保障改革の方向示す報告書
政府の全世代型社会保障構築会議(清家篤座長)は12月16日、報告書をとりまとめた。人口減少の流れを止めるために少子化対策を推進する考え方や、超高齢社会に対応する医療・介護サービス提供体制を確立する方向を示している。かかりつけ医機能が発揮される制度整備については、基本的な考え方が示された。
岸田文雄首相は同日の全世代型社会保障構築本部で、「政府としては本報告書に基づき、改革を進めていきたい」と述べた。報告書に盛り込まれた医療提供制度や医療保険制度の課題については、次期通常国会に向けて法案作成を進めるよう厚生労働省に指示した。少子化対策の財源については、「来年度の骨太の方針に、こども予算の倍増を目指していくための当面の道筋を示す」と述べている。
報告書では、少子高齢化・人口減少社会に対応するために舵を切る歴史的転換期にあると指摘。子育て費用を社会全体で分かち合い、安心して子育てができる環境を整備することが何より重要とした。今後も超高齢社会が続くことから、社会保障給付については「負担能力に応じて、全ての世代で、公平に支え合う仕組みを早急に強化する」との考え方を示した。さらに、医療・介護ニーズの増大に応える人材の確保・育成、働き方改革に力を注ぐとしている。
医療機関・患者の「手挙げ方式」
報告書は、かかりつけ医機能が発揮される制度整備の基本的な考え方を示した。かかりつけ医機能の定義は、現行の医療法施行規則に規定されている「身近な地域における日常的な医療の提供や健康管理に関する相談等を行う機能」をベースに検討すべきとしている。
かかりつけ医機能を複数の医療機関が緊密に連携して実施する際には、地域医療連携推進法人の活用も考えられるとした。
かかりつけ医機能の活用については、「医療機関、患者それぞれの手挙げ方式」、すなわち患者がかかりつけ医機能を担う医療機関を選択できる方式を提案。患者が医療機関を選べるように、医療機能情報提供制度を拡充するとともに、かかりつけ医機能を医療機関が自ら都道府県に報告する制度を創設する方向を示した。また、地域で、かかりつけ医機能に対する改善点を協議する仕組みを導入すべきと指摘している。
今後の改革の工程において、かかりつけ医機能を発揮するための制度整備は、直近の課題に位置付けられた。
かかりつけ医機能の実現に向けて、今回の制度整備を「第一歩」とみなし、2023年には具体化の検討を早急に進めるべきとしている。
全日病ニュース2023年1月1・15日合併号 HTML版
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