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ホーム全日病ニュース(2021年)第989回/2021年7月1日号第8次医療計画の作成に向け検討会が初会合

第8次医療計画の作成に向け検討会が初会合

第8次医療計画の作成に向け検討会が初会合

【厚労省・医療計画等検討会】新興感染症等に関する医療提供体制を追加

 厚生労働省は「第8次医療計画等に関する検討会」の初会合を6月18日に開催した。2024年度からの第8次医療計画に向けた今後の検討のスケジュールなどを確認した。新型コロナの感染拡大を踏まえた改正医療法により、医療計画に新興感染症等に関する医療提供体制に関する事項が加わった。今後、同検討会で広範な見直しの議論が始まる。また、2022年度の外来機能報告制度の施行に向け、新たなワーキンググループを設置し、具体的な報告事項などの検討を開始する。
 座長には、「医療計画の見直し等に関する検討会」と同じく、遠藤久夫・学習院大学経済学部教授が選任された。座長代理には、田中滋・埼玉県立大学理事長が指名された。
 医療計画は、厚生労働大臣の基本方針に基づき都道府県が作成する。計画期間は6年間で、現行の7次医療計画の期間は2018~ 2023年度介護保険事業計画と見直し時期を合わせている。第8次医療計画は2024年度から。
 医療計画は、病床規制を主な目的に、二次医療圏ごとの病床数や病院の整備目標、医療従事者の確保などを定めるため、1985年に導入された。2006年の医療法改正で、疾病・事業ごとの医療連携体制を記載することになり、2016年の医療法改正で、地域医療構想が明示された。2018年の医療法改正では、「医師確保計画」と「外来医療計画」が加わった。
 5月21日に改正医療法が成立したことにより、新型コロナの感染拡大を踏まえ、「新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項」を医療計画に位置付けることになった。これまでの5事業(救急医療、災害時における医療、へき地の医療、周産期医療、小児医療)に追加し、6事業となる。その結果、5疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患)・6事業および在宅医療に関する事項が計画に記載されることになる。
 「第8次医療計画等に関する検討会」は、第8次医療計画などをまとめるための、親会議としての役割を果たす。このため、同検討会は、各計画の具体的な内容を議論する複数のワーキンググループを構成する。具体的には、「地域医療構想及び医師確保計画に関するワーキンググループ」、「外来機能報告等に関するワーキンググループ」、「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」が同検討会にぶらさがる形になる。地域医療構想等WGと在宅医療等WGは役割を一部見直しつつも、従来から設置されているWGだが、外来機能報告等WGは新設である(下の図表を参照)。
 全日病副会長の織田正道委員は、「各WGは相互に強く関連しているので、異なるベクトルで議論が行われることのないよう、各WGの進捗を適時報告するなど、全体の整合性をとりながら議論を進めてほしい」と要請した。
 「新興感染症等の感染拡大時における医療提供体制の確保に関する事項」は、感染症対策に関する検討の場で議論される予防計画との整合性が重要になる。医療計画を所管するのは医政局、予防計画を所管するのは健康局で、局をまたぐため、委員からは、緊密な連携を求める意見が相次いだ。
 そのほか、委員からは、「地域医療構想は医療資源配分の効率化を目指すものだが、新興感染症のパンデミックへの備えは、ある程度の余力を必要とする。相反する課題がある」、「新型コロナでは感染症、呼吸器内科の医師が不足した。ベッドがいくらあっても、医療従事者の人材確保が極めて重要だ」などの問題意識が示された。

外来機能報告制度施行に向け議論
 外来機能報告等に関するWGでは、改正医療法により、2022年度から医療資源を重点的に活用する外来を担う医療機関を位置付けるための外来機能報告制度の創設に伴い、制度設計に向けた具体的な事項を議論する。スケジュールは上の図表のとおりだ。来年度の施行のため、年内にはとりまとめを行う。
 検討事項としては、◇医療資源を重点的に活用する外来の具体的な項目◇外来機能報告の報告項目等◇地域における協議の場◇医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関の基準等◇紹介・逆紹介の推進、診療科ごとの外来分析等─がある。
 織田委員は検討事項をふまえ、「医療資源を重点的に担う外来はどちらかと言えば、大病院の問題だが、それに対して、かかりつけ医機能については、無床診療所の報告が任意となった。しかし、在宅医療やオンライン診療など、かかりつけ医機能が見える化されることも重要だ。特に、在宅医療の機能が外来機能報告制度に結び付くとわかりやすくなると思う」と述べた。

 

全日病ニュース2021年7月1日号 HTML版

 

 

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    日、新興・再興感染症に対応できる医療提供体制を ... 精神疾患─。5事業は◇
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  • [2] 新興感染症等の感染拡大時の医療を5事業の記載事項に追加|第976 ...

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    してきた。 ... 心筋梗塞等の心血管疾患」、「糖尿病」、「精神疾患」、「救急
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  • [4] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年4月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/170401.pdf

    2017年4月1日 ... 遠藤久夫. 座長)に、地域医療構想調整会議の具. 体的な議論の進め方の案を示し
    た。厚. 労省が、2017年度の調整会議のスケジ. ュールを示した ... グループで議論
    し、2018年度の病床機 ... 同 WG は、昨年8月に初会合を開.

  • [5] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年12月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/161201.pdf

    2020年12月1日 ... に関する検討会」(遠藤久夫座長)は11. 月9日、2018年度からの第7次 ... 僻地
    や離島の医療機関へ定期的に医療. スタッフを派遣し、2014年8月に ... 用
    ワーキンググループ」の報告があり、. 質疑が行われた。 ○報告書等 ...

  • [6] 全日病ニュース・紙面PDF(2020年10月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2020/201015.pdf

    2020年10月15日 ... 進に関する検討会(遠藤久夫座長)は. 9月30日、働き方改革に伴い2024 ... 療◇
    へき地の医療◇周産期医療◇小児. 救急医療を含む小児医療─である。 ... の3
    つのワーキンググループがある。 このため、「在宅医療、医療・ ...

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