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ホーム全日病ニュース(2023年)第1029回/2023年4月1日号新型コロナの医療提供体制・公費支援の見直し

新型コロナの医療提供体制・公費支援の見直し

新型コロナの医療提供体制・公費支援の見直し

【資料】2023年3月10日・新型コロナウイルス感染症対策本部決定

1.位置づけ変更に伴う医療提供体制の見直し

(1)基本的な考え方
▶新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」)上の位置づけが5類感染症に変更され、医療提供体制は入院措置を原則とした行政の関与を前提とした限られた医療機関による特別な対応から、幅広い医療機関による自律的な通常の対応に移行していくことになる。
▶このため、新型コロナウイルス感染症対策にこれまで対応してきた医療機関に引き続き対応を求めるとともに、新たな医療機関に参画を促すための取組を重点的に進める。そして、暫定的な診療報酬措置を経て、2024年4月の診療報酬・介護報酬の同時改定を通じて新型コロナウイルス感染症対応を組み込んだ新たな診療報酬体系による医療提供体制に移行させる。
 この間、感染拡大が生じうることも想定し、感染拡大への対応や医療提供体制の状況等を検証した上で、その結果に基づき、必要な見直しを行う。
▶その際、各都道府県による「移行計画」の策定、設備整備等の支援を通じて、冬の感染拡大に先立ち、対応する医療機関の維持・拡大(外来の拡大や軽症等の入院患者の受入れの拡大)を強力に促す。
▶入院調整についても、冬の感染拡大に先立ち、「移行計画」などに基づき、まずは軽症等の患者から医療機関間による調整の取組を進める。秋以降は、その進捗を踏まえつつ、重症者等の患者について医療機関間による調整の取組を進めることを基本に対応する。これにより、病床確保を含む行政による調整から、他の疾病と同様に入院の要否を医療機関が判断し、医療機関間での調整を基本とする仕組みに移行する。
▶上記の取組を推進するため、「地域包括ケア病棟」等での受入れの促進、医療機関間で病床の状況を共有しやすくする仕組みの普及など必要な支援を行うとともに、現行の支援策について必要な見直しを行う。

(2)外来
【2023年3月上旬から着手する取組】
①感染対策の見直し
▶感染対策について、これまでの学会等のガイドライン(以下単に「ガイドライン」)の範囲内で最大限安全性を重視した対応から、ガイドラインに沿いつつ安全性だけではなく、効率性も考慮した対応へ見直す。
▶新たに対応する医療機関における感染対策のために必要となる設備整備や個人防護具の確保等に対して、必要な支援を行う。
②応招義務の整理
▶医師等の応招義務について、新型コロナウイルス感染症にり患又はその疑いのみを理由とした診療の拒否は「正当な事由」に該当しない取扱いになることを明確化する。(注1省略)
③医療機関や地方自治体への周知(省略)
【位置づけ変更に伴うさらなる取組】
▶各都道府県において、定期的に対応医療機関数(2023年2月時点で、全国で約4.2万)を把握しつつ、広く一般的な医療機関(全国で最大約6.4万)での対応を目指し、医療機関数の維持・拡大を促す。国は、都道府県を通じてその進捗管理を行う。その際、都道府県は、受け入れる患者をかかりつけの患者に限定している医療機関に対して、地域の医師会等と連携の上、患者を限定しないよう積極的に促す。
▶対応医療機関について、各都道府県において医療機関名等を公表する仕組みを当面継続する。
▶国及び都道府県は、対応医療機関の維持・拡大に向けて、位置づけ変更を待たずに、積極的に取組を行う。
(注2、注3、注4省略)

(3)入院
【令和5年3月上旬から着手する取組】
①地方自治体による移行計画の策定
▶各都道府県において、冬の感染拡大までの間、新たな医療機関による軽症・中等症Ⅰ患者の受入れを進めること、医療機関間による入院調整を進めること等を内容とする9月末までの「移行計画」を4月中に策定する。
(【再掲】省略)
【位置づけ変更に伴うさらなる取組】
①新たな医療機関による受入れの促進
▶全病院(約8,200)で対応することを目指し、重点医療機関等以外で受入れ経験がある医療機関(全国で約2,000)に対して、新たな軽症・中等症Ⅰ患者の受入れを積極的に促す。特に、高齢者を中心に、「地域包括ケア病棟」や「地域一般病棟」等の受入れを積極的に推進する。(注5省略)
▶また、受入れ経験がない医療機関に受入れを促す。
▶位置づけ変更前に確保病床を有していた医療機関(全国で約3,000)は、重症者・中等症Ⅱ患者の受入れへと重点化を目指す。
▶「移行計画」には、各都道府県において、直近のオミクロン株の流行時における入院者数を想定した上で、冬の感染拡大に先立ち、9月末までの期間で、これまで確保病床で受け止めてきた軽症・中等症Ⅰの入院患者について、位置づけ変更後、受入れ経験がある医療機関や「地域包括ケア病棟」等においてどの程度受入れを行うか、重点医療機関等で引き続きどの程度受け入れるか等、具体的な患者像を念頭に置きつつ、新たな医療機関による受入れの具体的な方針や目標等を記載する。
▶国及び都道府県は、対応医療機関の維持・拡大に向けて、位置づけ変更を待たずに、積極的に取組を行う。
(注6省略)
②病床確保料の見直し
▶診療報酬特例の見直し((6)診療報酬の取扱い)に連動して病床確保料の補助単価の見直しを行う。
▶また、通常の医療提供体制への移行を目指す中で、病床を効果的に活用する観点から、休止病床の範囲の見直しを行う。
▶病床確保料について、上記の形で9月末までを目途とした措置とし、その後の対応については「移行計画」に基づく冬の感染拡大に先立つ軽症等の患者に対応する医療機関の拡充や入院調整を医療機関間により行う取組の進捗状況等を踏まえ、必要な見直しを行う。(注7省略)
③救急医療(省略)
④臨時の医療施設の取扱い(省略)
⑤医療人材の確保(省略)

(4)入院調整
【2023年3月上旬から着手する取組】
(【再掲】省略)
【位置づけ変更に伴うさらなる取組】
▶外来で新型コロナウイルス感染症の陽性が確定した患者の入院先の調整について、冬の感染拡大に先立って、原則、医療機関間による調整への移行を促すため、以下の取組を行う。
・病床の状況を共有するため、G-MISやこれまで各地域で構築してきたシステムなど IT の活用を推進(好事例の周知、G-MIS について入力項目の簡素化等、より使いやすくするための見直し等)する。その際、個々の外来医療機関における対応を支援するため、地域の医師会等と連携した取組を進める。
・円滑な移行のため、都道府県の取組の実情に応じて、当面、「入院調整本部」等の枠組みを残すことを可能とする(病床ひっ迫時等に支援)。
▶各都道府県において、冬の感染拡大に先立って、「移行計画」で定めた方針などに基づき、まずは軽症・中等症Ⅰの患者から医療機関間による調整の取組を進める。秋以降は、その進捗を踏まえ、重症者・中等症Ⅱ患者について医療機関間による調整の取組を進めつつ、病床確保にかえて重症者・中等症Ⅱ患者向けの対応を行った医療機関へ支援を行うことなどを検討する。
▶妊産婦、小児、透析患者については、都道府県における既存の調整の枠組みへの移行を進める。
▶入院調整については、現行でも、医療機関間による調整の取組が進められているところであり、地域の実情に応じて、位置づけ変更を待たずに、医療機関間による調整の取組を積極的に進める。

(5)自宅療養者への対応(省略)

(6)診療報酬の取扱い
▶新型コロナウイルス感染症の位置づけ変更に伴い、5月8日以降、外来等及び入院における診療報酬特例について、以下のとおり見直す。
▶また、冬の感染拡大に先立ち、今夏までの医療提供体制の状況等を検証しながら必要な見直しを行う。その上で、2024年4月の診療報酬・介護報酬の同時改定において、恒常的な感染症対応への見直しを行う。
①外来等
▶外来については、感染対策を一定程度評価しつつ、事務負担の軽減等に伴い新型コロナウイルス感染症患者の診療に係る特例措置は見直していく。一方で、位置づけの変更に伴い必要となる入院調整等の業務を新たに評価する。
・位置づけ変更後も必要となる、空間分離や時間分離に必要な人員、PPE等の感染対策については引き続き評価した上で、受け入れる患者を限定しないことを評価する仕組みとする。
・コロナ患者の診療に係る特例措置については、届出の簡略化といった事務負担の軽減等に伴い、見直しを行う。
・一方で、位置づけ変更に伴い、今後は原則、入院調整等は各医療機関が実施することになることを踏まえ、これらの業務に対する評価を行う。
・また、入院の必要性が低い場合に施設内での療養を支援する観点から、介護保険施設等に対する緊急往診は引き続き評価する。
②入院
▶入院については、人員配置の効率化が図られている実態等を踏まえ、重症・中等症患者等に対する特例措置は見直していく。一方で、介護業務の増大等を踏まえ、「地域包括ケア病棟」等での患者の受入れを新たに評価する。
・重症・中等症患者等に対する特例措置、例えば救急医療管理加算4~6倍などは、入院患者の重症化率低下、看護補助者の参画等により、業務・人員配置の効率化が図られている実態や、高齢患者増に伴う介護業務への対応の実態を踏まえ、見直す(4~6倍→2~3倍など)。
・介護業務の増大等を踏まえ、リハビリテーションや入退院支援体制が充実した病棟(「地域包括ケア病棟」等)での患者の受入れを新たに評価する。
・入院医療においても、リハビリテーション実施時も含め、必要な感染対策は引き続き評価する。

2.高齢者施設等における対応
▶高齢者施設には重症化リスクが高い高齢者が多く生活していることを踏まえ、入院が必要な高齢者は、適切かつ確実に施設から入院できる体制を確保しつつ、施設における感染対策の徹底、医療機関との連携強化、療養体制の確保等の各種の政策・措置は、当面継続する。(注8、注9省略)
▶その上で、高齢者施設における感染対策、介護従事者の訓練、医療機関との連携強化などの取組を推進するためのさらなる方策を検討する。(以下省略)

3.患者等に対する公費支援の取扱い
▶位置づけ変更による急激な負担増を回避するため、医療費の自己負担等に係る一定の公費支援について期限を区切って継続する。

(1)外来医療費の自己負担軽減
▶新型コロナウイルス感染症治療薬の費用(薬剤費)の公費支援については、夏の感染拡大への対応としてまずは9月末まで措置し、その後の本措置の取扱いについては、他の疾病との公平性に加え、国の在庫の活用や薬価の状況も踏まえて冬の感染拡大に向けた対応を検討する。(注10省略)
▶新型コロナウイルス感染症治療薬以外の外来医療費については、他の疾病との公平性を踏まえて、自己負担分の公費支援は位置づけの変更により終了する。

(2)入院医療費の自己負担軽減
▶新型コロナウイルス感染症患者の入院医療費に関しては、他の疾病との公平性も考慮し、医療費や食事代の負担を求めることとなるが、急激な負担増を避けるため、今夏の感染拡大への対応として、まずは9月末まで、高額療養費制度の自己負担限度額から2万円を減額する措置を講ずる。なお、その額が2万円に満たない場合にはその額を減額する。
▶その後については、感染状況や他の疾病との公平性を考慮しつつ、その必要性を踏まえて検討する。
▶入院する新型コロナウイルス感染症患者の新型コロナウイルス感染症治療薬の費用については、外来医療費と同様、公費支援を実施する。

(3)検査の自己負担
▶発熱等の患者に対する検査については、抗原定性検査キットが普及したことや他の疾病との公平性を踏まえ、自己負担分の公費支援は位置づけの変更により終了する。
▶引き続き、重症化リスクが高い者が多く入院・入所する医療機関、高齢者施設、障害者施設における陽性者が発生した場合の周囲の者への検査や従事者への集中的検査を地方自治体が実施する場合には、行政検査として取り扱う。【一部再掲】

(4)相談窓口機能(省略)

(5)宿泊療養施設(省略)

4.その他(省略)

 

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