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ホーム全日病ニュース(2023年)第1029回/2023年4月1日号ゾコーバ錠の薬価は1治療単価で5万1,852円に

ゾコーバ錠の薬価は1治療単価で5万1,852円に

ゾコーバ錠の薬価は1治療単価で5万1,852円に

【中医協総会】市場規模3千億円を超えた場合の市場拡大再算定も用意

 中医協総会(小塩隆士会長)は3月8日、新型コロナ治療薬であるゾコーバ錠(塩野義製薬)の薬価収載を了承した。算定薬価は125㎎1錠で7,407.40円。1治療単価では5万1,851.80円となる。市場規模はピーク時(2年度)で、投与患者数が37万人、販売金額が192億円と予測。予測を超えて販売金額が増えた場合に薬価を下げる仕組みである市場拡大再算定については、3千億円を超えた場合の措置を新たに設けた。3月15日の収載となっている。
 ゾコーバ錠は日本発の新型コロナの治療薬であり、高額な薬価が設定されて、投与患者数が増えると、医療保険財政に与える影響が懸念されることから、中医協総会において事前に、薬価算定の方法を決めた。中医協総会が決めた方法に則って、薬価算定組織で薬価算定が行われ、同日報告された。

複数の類似薬を選定し薬価算定
 薬価算定の方法では、類似薬効比較方式(Ⅰ)を用いた。
 中医協総会は、「対象疾患の類似性」と、「投与対象患者の類似性」のどちらを優先するかによって、算定薬価が大きく変動することから、類似薬の中から複数の比較薬を選定するとの考えを示していた。ゾコーバ錠は新型コロナの治療薬ではあるが、重症化抑制効果が確認されておらず、重症化リスク因子のない軽症・中等症患者の症状を軽減する効果が確認されている。
 これを踏まえ、比較薬は、新型コロナ治療薬のラゲブリオカプセル200㎎と、インフルエンザ治療薬のゾフルーザ錠20㎎の2つが選定された。両比較薬の類似性の程度をみると、効能・効果、薬理作用、投与形態などにおいて、同等の類似性が認められた。類似性を同等とみなし、2剤の1 治療薬価の平均値を求め、1 錠7,054.80円となった。
 これに有用性加算(Ⅱ)Aの5%を加算した。ラゲブリオ、ゾフルーザのいずれとの比較でも、「薬理作用発現のための薬剤の標的分子が既収載品目と異なる」に該当したためだ。
 市場規模はピーク時で、投与患者数37万人、販売金額192億円を予測している。第9波以降もこれまでと同様の新規陽性者が発生すると仮定し、第8波の陽性者数推計が1,200万人であることを踏まえ、陽性者の1.2%にゾコーバ錠が投与されると推計して、算出した。なお、2023年1月16日時点では、陽性者の0.2%に投与されており、潜在的な投与患者数を勘案した。
 ゾコーバ錠に対しては、特例的な市場拡大再算定のルールを適用することとしている。通常の市場拡大再算定では、年間販売額が予想販売額の一定倍数を超えた場合に適用対象となるが、新型コロナでは感染拡大が短期間で急拡大するため、通常のルールに従うと、対応が遅くなってしまう。このため、新型コロナの患者発生状況やゾコーバ錠の出荷量を推計し、確定値を待たずに迅速に対応できるようにする。
 年間販売額を四半期ごとに推計し、市場規模が巨額になった場合に備え、3段階の市場拡大再算定を準備した。年間市場規模が1,000億円超~ 1,500億円以下の場合と1,500億円超になった場合の再算定は、既存ルールを適用する。さらに、3,000億円を超えた場合には、3分の2の薬価を引き下げる(▲66.7%)。厚生労働省は、これについて「万が一の措置」であるとの考えを示した。
 委員は、中医協総会で決定した考え方に則って薬価が算定されたため、薬価算定案を了承した。ただ、支払側委員からは、「かなり高い価格に薬価が設定された印象」(松本真人委員・健康保険組合連合会理事)との意見が出た。

入念な禁忌の対象者確認求める
 妊娠または妊娠している可能性のある女性に対して、ゾコーバ錠は「禁忌」となっている。厚労省は、投与対象については最新のガイドラインを参考にすることを含め、改めて留意事項通知を発出し、注意喚起を行う。厚労省ホームページに「妊娠と薬」の頁を新たに設ける。特に、医療機関に、患者が「妊娠していない」「妊娠する可能性がない」を入念に確認するよう求める。

 

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