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ホーム全日病ニュース(2023年)第1029回/2023年4月1日号診療報酬特例や病床確保料の減額を伴う見直しを決定

診療報酬特例や病床確保料の減額を伴う見直しを決定

診療報酬特例や病床確保料の減額を伴う見直しを決定

【コロナ対策本部】コロナの感染症法上の位置付け変更に伴う措置

 政府は3月10日、新型コロナウイルス感染症対策本部を開催し、「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制及び公費支援の見直し等」を決定。加藤勝信厚生労働大臣は会見で、今後の感染拡大に備えて、新型コロナに対応する医療機関の拡大を求めるとともに、2024年度に向けては、医療提供体制を通常時に段階的に移行させる考えを示した。このため、診療報酬の特例や補助金は縮小する。これまでは全額公費負担だった患者負担は、一定の支援は継続させつつも、インフルエンザ並みの自己負担が生じる(4面参照)。
 5月8日から新型コロナの感染症法上の位置づけが5類になり、医療提供体制も通常体制に戻していく。2024年度の診療報酬改定では、コロナ対応を組み込んだ報酬体系を構築する方針であり、新型コロナ対応の医療提供体制を解消する時期として2024年度が念頭に置かれている。ただし、夏・冬には新たな感染拡大が生じる可能性がある。見直し内容は、その都度検証し、必要に応じて対応を図る。
 外来では、現状で約4.2万の対応医療機関を最大6.4万に増やすことを目指す。新型コロナ患者であることを理由にした診療拒否は応招義務の「正当な事由」ではないことが明確化される。一方で、設備整備や個人防護具を確保し、診療の手引きなどわかりやすい啓発資材も作成・周知するとしている。医療機関名公表は当面継続する。
 入院では、現状で約3千の対応病院から、すべての病院が対応する体制を目指す。約3千の重点医療機関等は重症・中等症Ⅱの患者に重点化する。これまで受入れ経験のある重点医療機関以外の病院に対しては、軽症・中等症Ⅰの患者の受入れを積極的に促す。特に、高齢者を中心に「地域包括ケア病棟」などでの受入れを推進する。
 入院調整は原則、医療機関間での調整となるが、円滑な移行に向け、行政による調整の枠組みを残し、病床逼迫時に支援する。病床状況の共有のため、各地域でこれまで構築してきたシステムの活用を推進するとともに、G-MISの入力項目の簡素化等の改良も行う。

ICU等の特例点数を半分に
 診療報酬については、同日、中医協を持ち回り開催し、見直しを了承した。見直しは5月8日からで基本的には9月末日までの取扱い。主な見直しは以下のとおりだ。

【外来・在宅医療】
 外来で、感染対策を講じた上でのコロナ疑い患者に対する診療で「院内トリアージ実施料」(300点)を算定できる特例は、「対応医療機関の枠組みを前提とし、院内感染対策に加え、受入患者を限定しない形に8月末までに移行」に該当すれば引続き算定できる。該当せず、院内感染対策を実施する場合は147点となる。一方で、発熱外来を公表している場合に算定できた二類感染症患者入院診療加算(250点)(3月は147点)の特例は廃止となる。
 初診を含めコロナ患者を診療する場合に、救急医療管理加算(950点)を算定できる特例は147点に減点される。ただし、入院調整を行った場合は引続き950点を算定できる。一方、抗体カクテル療法のロナプリーブを投与すると救急医療管理加算の3倍を算定できる特例は終了となる。
 在宅等への緊急往診で救急医療管理加算の3倍の2,850点が算定できる特例は1倍の950点になる。ただし、介護保険施設等への緊急往診に限り、引続き2,850点を算定できる。介護保険施設等において、看護職員とともに、施設入所者にオンライン診療を実施する場合も950点を算定できる。感染予防策を講じた上での疑い患者に対する往診等での300点の算定は継続する。

【入院】
 新型コロナ患者の重症者の特定集中治療室管理料など特定入院料については、通常の3倍の点数が算定できる特例が講じられてきた。これにより、通常の点数より8,448 ~3万2,634点の増点となっていたが、各点数の1.5倍の評価に変更し、2,112 ~ 8,159点の増点となる。中等症のコロナ患者への急性期一般病棟での入院医療において、救急医療管理加算の4~6倍の点数が算定できる特例も、2~3倍の点数に変更となり、1,900~ 2,850点となる。
 一方、新型コロナ患者に対する診療で、介護やリハビリ、退院調整の業務が増えていることや対応医療機関の拡大を目指していることを踏まえ、地域包括ケア病棟などでの受入れを促進するため、地ケア病棟などで新たに950点が算定できるようになる。
 新型コロナ回復患者への診療では、二類感染症患者入院診療加算の3倍(750点)の特例は継続するが、30日まで1,900点を上乗せできる特例等は廃止となる。14日目までは950点を上乗せできるが、750点の算定は60日で打ち切りとなる。
 また、感染対策を講じた診療や個室管理、リハビリテーションにおける特例も継続する。
 そのほか、さまざまな施設基準等の変更がある。2022年度改定で対応されている電話・オンライン診療などの特例も見直されることになる。

病床確保料も半分に減額
 病床確保料の補助単価の上限は、これまで診療報酬の特例の引上げに合わせて引き上げてきた。このため、診療報酬特例の見直しに連動させ、半額となる。
 具体的には、重点医療機関で特定機能病院等の集中治療室の補助上限額は43万6千円から21万8千円に下がる。重点医療機関で一般病院の補助上限額は30万1千円から15万1千円に下がる。一般の医療機関の補助上限額は9万7千円を維持する。ハイケアユニットやその他病床も減額となる。
 休止病床の補助上限数については、即応病床の場合で、現在1床あたり2床が上限だが、1床が上限となる。その他病床の上限は、4床が2床になる。
 患者負担も新たに発生することになるが、期限を区切った一定の公費支援がある。外来では、コロナ治療薬が公費となる。入院では、高額療養費の自己負担限度額から2万円を減額する(2万円未満の場合はその額)。これらの措置は9月末まで。検査費用の公費負担は終了する。これらの対応により、基本的には、インフルエンザでの自己負担と大差ない水準となる。
 例えば、外来で75歳以上だと、新型コロナ治療薬を用いた診療で、患者負担は1,240 ~ 1,390円、インフルエンザだと1,330 ~ 1,480円。新型コロナ治療薬に公費支援がなければ、1万670~1万820円となる。入院では、2万円が減額され、75歳以上で住民税非課税世帯だと、インフルエンザより低い。

 

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