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かかりつけ医機能の制度整備や医師の働き方改革
かかりつけ医機能の制度整備や医師の働き方改革
【厚労省・全国医政関係主管課長会議】2023年度の医療提供体制関連の取組みを説明
厚生労働省医政局はこのほど、全国医政関係主管課長会議を開催し、2023年度の医療提供体制などに関わる政策について、都道府県担当者などに向け、説明を行った。現在国会で審議されている健康保険法等一部改正法案に盛り込まれているかかりつけ医機能の制度整備や、第8次医療計画の策定、紹介受診重点医療機関の決定、医師の働き方改革などに対する取組みが示された。
かかりつけ医機能の制度整備
現在、健保法等一部改正法案が国会で審議中だが、医療提供体制に関連する項目に、「医療・介護の連携機能及び提供体制等の基盤強化」がある。「かかりつけ医機能について、国民への情報提供の強化や、かかりつけ医機能の報告に基づく地域での協議の仕組みを構築し、協議を踏まえて、医療・介護の各種計画に反映する」ことや、医療法人の経営情報データベース構築、医療法人制度の見直しがある。
医政局担当者は、「在宅を中心に入退院を繰り返し、最後は看取りを要する高齢者を支える」ために、かかりつけ医機能が発揮される制度整備が必要と指摘。医療機関の機能分化を進めている中で、一方に、「高度な手術が必要な患者、重症の救急患者等の確実な受入れ」を担う医療機関があり、他方に、身近な地域における医療・介護の連携体制を構築する地域包括ケアシステムの「結節点」となる医療機関を位置づけ、それをかかりつけ医機能を担う医療機関とする考えが示された。
そのための改革として、「医療機能情報提供制度の刷新」(2024年4月施行)と「かかりつけ医機能報告の創設」(2025年4月施行)の2本柱がある。
「医療機能情報提供制度の刷新」では、かかりつけ医機能を定義した上で、国民・患者が医療機関を適切に選択できるように、医療機能情報提供制度の充実・強化を図る。医政局担当者は、「報告する項目を抜本的に見直し、見せ方についても、現状では各都道府県でまちまちであるので、全国統一化し、誰でもどこでもいつでも適切な医療機関を探すことのできるシステムを作りたい」と述べた。
「かかりつけ医機能報告の創設」では、慢性疾患を有する高齢者などを地域で支えるために必要なかかりつけ医機能を、医療機関が都道府県に報告する。都道府県知事はそれを地域の協議の場に報告するとともに、公表する。地域の協議の場では、例えば、在宅医療や介護との連携など、地域で不足するかかりつけ医機能を確保するための協議を行い、具体的方策を公表する。それを医療計画や介護保険事業計画に反映させる。
具体的なかかりつけ医機能や、協議の場での協議事項などは、法案成立後に有識者による会議で、議論されるとした。
医療法人の経営情報のデータベース構築では、すべての医療法人から損益計算書等の経営情報を報告してもらい、それをデータベース化し、収集した情報をわかりやすくする属性などに応じて、グルーピングした分析結果を公表する。医政局担当者は、「特に、医療従事者の給料を把握し、最終的には処遇改善につなげたい」と述べた。
地域医療連携推進法人は、「個人立医療機関・介護事業所等の参加を可能とする仕組みを導入」する。「現在、地域医療連携推進法人は全国に33法人あり、従業員や許可病床のやり取りや高額医療機器の共同購入、共同出資などヒト・モノ・カネの融通が可能となっている。ただ、個人立医療機関等は個人資産と法人資産の経理区分が困難であるため、「カネの融通を除いた地域医療連携推進法人を創設する」と、医政局担当者は説明した。
持分の定めのない医療法人の移行計画認定制度の延長等も法案に盛り込まれている。医療法人については2007年度以降、非営利性を徹底する観点から、「持分あり医療法人」を新設できない。しかし、それまでに現存していた医療法人であれば、解散するまで「持分あり」が認められている。一方、「持分なし医療法人」への移行を計画する厚生労働大臣が認定した医療法人は、優遇税制を受けられ、その期限が2023年9月30日までとなっていた。
見直しでは、この認定医療法人制度を2026年12月31日まで延長するとともに、さらなる移行促進のため、認定から3年以内の移行期限を、認定から5年に緩和する。
医政局は、かかりつけ医機能の制度整備と関連する医療機能情報提供制度の状況も説明した。同制度は2007年4月から運用されており、提供している医療情報は約600項目に及ぶ。一方で、「都道府県ごとに機能や公表方法が異なる」、「複数の都道府県の同時検索ができない」などの指摘があり、公表情報の「粒度」や正確性の確保への対応も求められている。
このため、全国統一的な検索サイトの構築への作業が進んでおり、運用開始は2024年が予定されている。かかりつけ医機能報告に基づく情報提供については、その後の対応となる。さらなる追加項目の議論も行われている。
2025年以降の地域医療構想
2024年度から始まる5疾病6事業および在宅医療で構成する第8次医療計画の国の方針が概ねまとまり、2023年度中に、各都道府県が計画を策定することになっている。
第8次医療計画ではコロナ禍を踏まえ、「新興感染症発生・まん延時における医療」が新たに追加される。医政局担当者は、「都道府県の策定に、十分対応できる時間を確保できるよう、基本方針等を示す。それに基づいて2024年度からの第8次医療計画の策定作業をお願いしたい」と述べた。その際に、医師確保計画、外来医療計画にもかかわる計画策定の基本となる二次医療圏については、「優先的に議論を行う」ことを求めた。
地域医療構想については、昨年末に第8次医療計画に関する検討会が意見のとりまとめを行っている。2025年までは、病床の必要量の推計や考え方など基本的な枠組みは維持し取組みを進める。データの特性だけでは説明できないほど、病床数と必要量に差が生じている構想区域については、要因の分析・評価を行い、結果を公表するとともに、必要な方策を講じるべきであるとしている。
地域医療構想の中長期的課題は今後2年で検討し、2024年度に各都道府県が2026年度からの新たな地域医療構想を策定する予定としている。
次期医師確保計画も2024年度からであり、現在、医師偏在指標の精緻化など医師確保計画ガイドラインの改正が行われる。その際に、二次医療圏の設定が、医師偏在指標と密接にかかわるので、優先的な議論が求められた。医師の働き方改革や地域医療構想の取組みと一体的に推進する必要性も強調された。
予算は、地域医療介護総合確保基金が中心となる。そのほか、「キャリア形成プログラム」、「医師少数区域等で勤務した医師の認定制度」、「妊産婦モニタリング支援事業」などがある。
2023年度から、地域枠学生などに、キャリア形成卒前支援プログラムを適用することになっており、都道府県のキャリアコーディネーターを対象とした統一的なマニュアルを作成するとともに、全国のキャリアコーディネーターなどからの相談受付や研修などを行う予算も計上されている。
「医師少数区域等で勤務した医師の認定制度」は、2020年度から運用されている。医師少数区域などで一定期間、診療や保健指導に従事したことを厚生労働大臣から認定された医師は、地域医療支援病院の管理者として評価される。認定医師が勤務する医師少数区域などの医療機関に対し、研修受講料や旅費などを補助している。
「妊産婦モニタリング支援事業」では、周産期母子医療センターにおいて、地域の分娩取扱施設の妊産婦・胎児を、ICTを活用して遠隔でモニタリングし、適切な助言を行う体制のための補助事業を、2023年度も引き続き実施する。
地域医療介護総合確保基金は、2023年度予算案で1,736億円(公費)を確保した。このうち1,029億円が医療分となっている。
事業区分ごとの配分をみると、地域医療構想関連が200億円で、それとは別に、地域医療構想を達成するために、病床減少を伴う病床機能再編や医療機関の統合などを支援するための195億円がある。在宅医療や医療従事者の確保に関する事業には491億円、勤務医の労働時間短縮のための体制の整備に関する事業には143億円を充てる。
これまで各都道府県に配分された分の未計画額についても、2023年度計画で積極的に活用できるとの考えも示された。ただ、医療機関支援のソフト事業に関して、医療機能の分化・連携と一体的に行われる事業に限定されることや、事業の適切性の重点的なヒアリングを事前に行うことが指摘された。
紹介受診重点医療機関を報告
2020年度に始まった外来医療計画も、2024年度から見直しとなる。2023年度においては、外来多数区域における新規開業者が、地域で不足する医療機能を担うことの合意が得られた事項を、都道府県と医師会、市町村が情報共有しフォローアップを行うことや、医療機器の共同利用を進める方針が示された。
また、2022年度に外来機能報告が施行されたが、データ収集におけるプログラムに誤りがあり、医療機関からの報告が遅れている。医政局担当者は、今後のスケジュールについて、地域の協議の場を2023年5月から7月に開催し、結果をまとめ、紹介受診重点医療機関となる医療機関が決定した際には、速やかに報告することを求めた。
医療法人の経営情報データベース
健保法等一部改正法案に盛り込まれた医療法人の経営情報データベース構築や、医療法人制度の見直しの説明もあった。また、医療法人の事業報告書等については、2020年3月に医療法施行規則を改正し、G-MISへのアップロードによる届出が可能となり、都道府県がインターネットなどの方法により、閲覧に供する対応が2023年4月から始まっている。
来年度から医師の働き方改革施行
医師の働き方改革による医師に対する時間外労働規制が2024年度から施行される。
医政局担当者は、施行に向け、「医療機関における適正な労務管理の徹底を促した上で、労働時間短縮に向けた取組み(タスク・シフト/シェアやICTの活用など)の促進・支援や医師確保、診療体制の見直しを含めた地域の医療機関の役割分担の見直しに取り組むとともに、医療勤務環境改善支援センターなどを通じた勤務環境改善支援のさらなる強化を図っていただきたい」と都道府県に求めた。
特に、連携B・B・C水準の医療機関の指定に向けては、これまで3回実施した準備状況調査に基づき、長時間労働の医師がいる医療機関に対して、必要な水準の指定申請を促すとともに、2024年4月までに労働時間の短縮がなされるように勤改センターを中心に、個別支援を行うことが都道府県に要請された。
その際、「宿日直許可取得の有無が労働時間や勤務シフトなどとの関係で、重要な要素になることが考えられるため、許可基準に照らし適合する場合には、取得に向けた支援をお願いする」とした。その上で、指定申請受付から指定までのスケジュール、指定に関する体制の整備などの確認を促した。
2023年度の地域医療介護総合確保基金でも、勤務医の労働時間短縮に向けた事業が用意されており、診療報酬の地域医療体制確保加算の対象とならない連携B・B水準相当の医療機関に対して補助される2022年度分の繰り越し財源が活用できるとされた。
都道府県知事が指定する連携B・B・C水準の医療機関の評価は、日本医師会が担う医療機関勤務環境評価センターが行う。2022年10月から評価センターの受付けが始まっている。申請した医療機関の労働時間の実績と労働時間短縮に向けた取組みを評価センターが評価し、都道府県と医療機関に評価結果を通知する。評価結果を受けた医療機関は、都道府県に申請。都道府県は医療審議会の意見をきいた上で、指定を行うという手順になっている。
このように、医師の働き方改革における都道府県の役割は大きいが、勤務環境の改善においては、特に勤改センターの役割が期待されている。厚労省担当者は、その留意点として、次のようなことを指摘した。
◇医療経営アドバイザー関連経費を含む運営経費は地域医療介護総合確保基金を活用できる◇医療労務管理アドバイザー関連経費は労働局委託事業となっているが、2023年度はこれが強化されるため、従前以上に労働局との連携を図り、勤改センターによる個々の医療機関への積極的な訪問支援を実施してほしい◇勤改センターの重要性が大きくなるので、運営協議会を半期ごとに開催し、運営協議会を構成する団体から、さらなる協力を得ることに努めてほしい。
全日病ニュース2023年5月1日号 HTML版
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[1] 事 務 連 絡 令和4年7月 19 日 公益社団法人全日本病院協会 御中 ...
https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2022/220721_5.pdf
2022/07/19 ... 新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針の変更等について(周知依頼) ... Medical Information System:G-MIS)やレセプトデータ等を活用し.
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[2] 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連通知、事務連絡一覧 ...
https://www.ajha.or.jp/topics/novel_coronavirus/pdf/200508_3.pdf
2020/04/06 ... 要介護認定について、コロナ禍の臨時的な取扱いについては、原則として、 ... 5月 G-MISを活用した、非滅菌手袋の購入希望調査の回答締め切り。
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