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ホーム全日病ニュース(2023年)第1031回/2023年5月1日号診療報酬改定実施の後ろ倒しの時期を今夏に決定

診療報酬改定実施の後ろ倒しの時期を今夏に決定

診療報酬改定実施の後ろ倒しの時期を今夏に決定

【厚労省・医療DX令和ビジョン2030】診療報酬改定DX対応方針案を了承

 厚生労働省の「医療DX令和ビジョン2030」推進チームは4月6日、診療報酬改定DX対応方針案を了承した。デジタル技術を最大限活用し、医療機関などの負担の極小化を目指すというゴールに向け、医療DX工程表に基づき、2024年度から段階的に実現する。診療報酬改定の施行時期の後ろ倒しをいつから実施するかについては、中医協の議論を経て、今夏に決定する。
 診療報酬改定DXでは、4つのテーマを設定している。具体的には、◇共通算定モジュールの開発・運用◇共通算定マスタ・コードの整備と電子点数表の改善◇標準様式のアプリ化とデータ連携◇診療報酬改定施行時期の後ろ倒し─などがある。
 2年に1度の診療報酬改定では、4月の実施に間に合わせるため、短期間の集中的な対応があり、医療機関やベンダなどに大きな負担が発生する。4月1日の患者負担金の計算に間に合うように、ソフトウェアを改修する必要があり、ソフトウェアのリリース後も、4月診療分のレセプトの初回請求(5月10日)までに、国の解釈通知などに対応しなければならない。
 これらの負担を軽減するため、各ベンダが行っている作業を一つにまとめることが考えられ、その方法として、診療報酬算定・患者の窓口負担金計算を行うための全国統一的な電子計算プログラム(共通算定モジュール)の開発がある。
 共通算定モジュールは、①共通算定マスタ②計算ロジック③データの標準化④提供基盤(クラウド原則)の4つの要素で構成される。開発範囲は調査研究事業を踏まえ、関係者で検討するとしている(下図参照)。
 なお、ここでいうマスタとは、プログラムがデータ処理をする際に参照する基本ファイルであり、ロジックとは、プログラムがデータ処理する際の手順・内容である。マスタについては、ベンダ各社の創意工夫による競争の要素があることが留意される。
 導入効果が高いと考えられる中小病院を対象に提供を開始し、徐々に拡大する。費用対効果を勘案して、取組みを加速化する。ベンダに生じる負荷軽減効果は、運用保守経費などを通じて、医療機関に確実に還元されるようにする。財政効果については、関係団体に要請するための確固たる根拠づくりのため、今夏までに精査・検証するとしている。
 また、診療所向けには、一部の計算機能よりも、総体的なシステム提供による支援のほうが、コスト削減効果が高いと考えられる。このため、現在、検討を進めている標準型電子カルテと一体型のモジュールを組み込んだ標準型レセコンをクラウド上に構築して、利用可能な環境を提供することも検討している。
 厚労省は、診療報酬改定DXについて、各取組みを国主導のもと着実に実施。関係者間で調整の必要が生じた事項については、国において調整するとともに、最大限の財政支援・人的支援を実施する姿勢も明確にしている。
 今年度からは、診療報酬改定DXタスクチームを拡大し、関係者を構成員とするオープンな議論の場を設置するとともに、開発・運用主体を支援する。
 開発・運用主体である社会保険診療報酬支払基金に、共通算定モジュールの仕様や開発後の運用体制などの検討チームを設置。一方、地方単独事業公費マスタの作成や運用ルールについての検討は、検討チームのもとに、自治体や国保連合会を主な構成員に含む作業チームを設置し、事務局を国保中央会が担う。
 このような取組みを進め、診療報酬DXの最終ゴールに向けて、段階的に取組みを検証する柔軟で機動的な組織体制も早急に整備するとしている。

 

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