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ホーム全日病ニュース(2023年)第1031回/2023年5月1日号コロナの診療報酬特例の見直しで疑義解釈を示す

コロナの診療報酬特例の見直しで疑義解釈を示す

コロナの診療報酬特例の見直しで疑義解釈を示す

【厚労省・事務連絡】高齢者施設等からの入院等における特例の詳細など

 厚生労働省は4月17日、「新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて」にかかる疑義解釈を事務連絡した。5月8日以降に、新型コロナの感染症法上の位置づけが5類になることに伴い、5月8日から新型コロナ対応の特例的な診療報酬の取扱いが見直される。厚労省は、3月31日の事務連絡でその取扱いを示していた。今回、疑義解釈が出たため、医科関連の内容を紹介する。

外来で300点を算定できる対応
 外来について、院内トリアージ実施料(300点)を算定できる「受入患者を限定しない外来対応医療機関」には、受入患者を限定しない形に、2023年8月末までの間に移行する外来対応医療機関を含めるとされている。算定開始時点で受入患者を限定している医療機関は、どのように2023年8月末までに移行する旨を示せばよいのかという質問があった。
 その回答は、「受入患者を限定しない形での受入れを開始する時期(2023年〇月から)を示した文書を院内に掲示すること」となっている。
 院内トリアージ実施料(300点)または特定疾患療養管理料の「許可病床数が100床以上200床未満の病院の場合」の点数(147点)を算定する場合に必要な感染予防策とは何かという質問があった。
 回答では、「『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き・第9.0版』および一般社団法人日本環境感染学会の『医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド第5版』等に示す内容に沿って、院内感染防止等に留意した対応を行うこと」としている。

感染対策向上加算の施設基準
 感染対策向上加算1の施設基準における「新興感染症の発生時等に、都道府県等の要請を受けて感染症患者を受け入れる体制」について、新型コロナの感染症法上の類型変更後において、どのような保険医療機関が該当するかという質問があった。
 回答では、現時点においては、2023年1月1日以降に重点医療機関の指定を受けていたことがある医療機関のうち、過去6カ月以内に新型コロナ感染症患者(院内クラスターにより感染した患者など入院後に新型コロナであると判断された患者を除く)に対する入院医療の実績がある医療機関が該当するとしている。
 感染対策向上加算2の施設基準における「新興感染症の発生時等に、都道府県の要請を受けて…疑い患者を受け入れる体制」について、新型コロナの感染症法上の類型変更後において、どのような保険医療機関が該当するかという質問があった。
 回答では、現時点においては、地域の診療所からの要請等に応じて新型コロナを疑う患者を救急患者として診療し、新型コロナと診断する場合に、必要に応じて、当該患者の受入れが可能な体制を確保した上で、過去6カ月以内に新型コロナ患者(院内クラスターにより感染した患者など入院後に新型コロナと診断された患者を除く)に対する入院医療の提供の実績がある医療機関が該当するとしている。
 なお、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(2022年3月31日・厚労省保険局医療課事務連絡)の問9は廃止した。
 初診料の注11および再診料の注15に規定する外来感染対策向上加算ならびに感染対策向上加算3の施設基準における「新興感染症の発生時等に、都道府県等の要請を受けて…発熱患者の診療等を実施する体制」について、新型コロナの感染症法上の類型変更後は、どのように考えればよいかとの質問があった。
 回答では、現時点においては、外来対応医療機関(「新型コロナの感染症法上の位置づけの変更に伴う医療提供体制の移行及び公費支援の具体的内容について」(2023年3月17日付け厚労省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡)において示す発熱患者等の診療に対応する医療機関をいう)であって、その旨を公表している医療機関のうち、受入患者を限定しない、または受入患者を限定しない形に2023年8月末までに移行することとしているものが該当するとしている。
 なお、「疑義解釈資料の送付について(その1)」(2022年3月31日・厚労省保険局医療課事務連絡)の問10は廃止した。

入院調整の評価について
 新型コロナ患者について、入院調整を行った上で、入院先の医療機関に対し、診療情報を示す文書を添えて患者の紹介を行い、診療情報提供料1を算定する場合、救急医療管理加算1(950点)を算定できる。当該医療機関が入院調整を行わず、各都道府県・保健所設置市・特別区、医療関係団体、他医療機関、あるいは外部事業者等が入院調整をした場合に算定は可能かとの質問があった。
 「算定は不可」との回答であった。
 新型コロナに感染した(疑いがある場合を含む)医師が無症状であり、自宅等で療養を行っており、その医師が、患者に対して電話や情報通信機器を用いた診療を行う場合、診療報酬を算定することは可能かとの質問があった。
 回答は「可能」であった。ただし、情報通信機器を用いた診療を実施する場合は、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(2018年3月(2023年3月に一部改訂))に示される医師の所在に関し、最低限遵守する事項を遵守することが求められた。なお、初診料、再診料または外来診療料注1ただし書きに規定する点数を算定する場合は、情報通信機器を用いた診療を実施した場所について、事後的に確認可能な場所であることが求められた。
 介護医療院、介護老人保健施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人福祉施設に入所する者が新型コロナに感染した場合で、「往診ではなく、看護職員とともに施設入所者に対してオンライン診療を実施した場合は、救急医療管理加算1(950点)を算定できる」とされている。看護職員とは、「介護医療院等または介護老人福祉施設の看護職員またはオンライン診療を実施する医療機関の看護職員のどちらが対応してもよいのか」との質問があった。
 回答は、「そのとおり」であった。なお、当該医療機関の看護職員が当該施設に赴いて対応する場合、在宅患者訪問看護・指導料、同一建物居住者訪問看護・指導料および精神科訪問看護・指導料は別に算定できない。

高齢者施設からの受入れの評価
 高齢者施設等における施設外への入院等に係る特例について、「リハビリテーション・介護サービスとの連携が充実した病棟」の要件として「ニ 感染管理やコロナ患者発生時の対応について、地域の介護保険施設等と連携していることが望ましいこと」とある。介護保険施設等とは具体的にどのような施設を指すかとの質問があった。
 回答では、介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設、認知症対応型共同生活介護事業所、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、短期入所生活介護事業所及び短期入所療養介護事業所が該当するとしている。
 高齢者施設等における施設外への入院等に係る特例について、同様に、地域の介護保険施設等との連携について、具体的にどのような体制を想定しているのかとの質問があった。
 回答では、以下が示された。
◇介護保険施設等からの電話等による相談への対応ができること
◇介護保険施設等に入所する者が新型コロナに感染した場合について、当該患者またはその看護に当たっている者から新型コロナに関連した訴えについて往診を緊急に求められ、速やかに往診しなければならないと判断した場合に往診を実施できること
◇やむを得ない理由により上記往診の実施が難しい場合において、オンライン診療ができること
◇介護保険施設等に入所する者が新型コロナに感染し、往診またはオンライン診療を実施した際に入院の要否の判断および必要に応じた入院調整(当該医療機関以外への入院調整も含む)ができること
 新型コロナの感染症法上の位置づけの変更に伴う新型コロナの診療報酬上の特例の取扱いについて、2023年5月8日から変更することになった。2023年5月7日以前より入院している患者における2023年5月8日以降の特例の算定について、どのように考えればよいかとの質問があった。
 回答では、「2023年5月31日までの間は、変更前の特例に基づいて算定する。なお、2023年6月1日以降は、当該患者の入院日にかかわらず、変更後の特例に基づいて算定すること」となっている。

 

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