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ホーム全日病ニュース(2023年)第1033回/2023年6月1日号実績に基づく急性期入院医療の評価を提案

実績に基づく急性期入院医療の評価を提案

実績に基づく急性期入院医療の評価を提案

【財務省】看護配置ではなく患者の重症度などを評価

 財務省は5月11日の財政制度等審議会財政制度分科会に、医療提供体制に対する考え方を示した。医療機関の役割分担を進めるため、看護配置に依存した診療報酬体系から実績を反映した体系への転換や、地域医療構想の進捗に向けた法制的対応を提言した。
 地域医療構想の状況をみると、推計上の2025年の病床必要量と「病床機能報告」による現状の医療機能別の病床数の比較で、急性期が減少しておらず、回復期が増加していないことなどから、「進捗は、はかばかしくない」と指摘。「急性期・回復期をはじめとする病床の役割分担が進まないと、今後、各地域で治療に長い期間を要する高齢者が増える中で、質の高い急性期医療、回復期における適切なケアの提供ができなくなる」と主張した。
 次に、「病床機能報告」と診療報酬の関係をみると、機能が急性期であると報告している病棟の多くが、看護配置7対1(急性期一般入院料1)の入院料を算定している。財務省は、「7対1といった看護配置に過度に依存した報酬体系から、患者の重症度、救急受入れ、手術といった『実績』をより反映した体系に転換すべき」との考えを示した。その上で、急性期の入院基本料の基本である10対1といった看護配置の要件は廃止することを提案した。
 特定集中治療室などが分散していることも問題視し、集約化を求めた。
 地域医療構想の実現に向けては、さらなる制度整備の必要性を主張した。
 医療法では地域の会議の協議が整わない場合に、不足している病床機能を提供するよう、病院に指示・要請できるとの規定がある。しかし、ほとんど発動実績がないことを指摘。「進捗の遅さを踏まえれば、2025年以降の確実な目標実現を見据え、例えば、各医療機関に地域医療構想と整合的な対応を行うよう求めるなど、もう一歩踏み込んだ法制的対応が必要」と主張した。

診療所開設への対応を提案
 医療機関の偏在についての意見も提示した。近年、総患者数は伸びていないが、診療所数は増加の一途をたどっている。2020年に始まった「外来医療計画」に基づき、「外来医師多数区域」における取組みが行われているものの、全体の診療所数の増加は止まっていないと指摘。現状のままでは、大都市部で、医師や診療所数が過剰になり、地方では減少するという傾向が続くと主張した。
 このような状況に対し、日本と同様に公的医療保険制度を採用しているドイツやフランスでは、診療科別・地域別の定員を設ける仕組みがあることを踏まえ、日本でも、診療所の新規開設について、「もう一歩踏み込んだ対応が必要ではないか」と提案した。

 

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    「地域包括ヘルスケアシステム」は、これまでの活動の発展形の提言であり、この実現に取り組んでいく。 65 地域一般病棟:地域(主として一次医療圏・生活圏)の医療を ...

  • [2] 病院のあり方に関する報告書 (2011年版)

    https://www.ajha.or.jp/voice/pdf/arikata/2011_arikata.pdf

    労働省も医師そのものの偏在に加え診療科別医 ... 「高度医療病棟」と現行病床の大部分を占める「急 ... 加の一途を辿っており、施設ケア、在宅ケアを.

  • [3] 2019.4.1 No.937

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2019/190401.pdf

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