全日病ニュース

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保険者の立場から2040年の医療需要と提供体制の課題を提言

保険者の立場から2040年の医療需要と提供体制の課題を提言

地域医療構想の推計方法に依拠。都道府県別2次医療圏別に示す

 経済産業省に設置された「将来の地域医療における保険者と企業のあり方に関する研究会」は、保険者に対する将来の医療提供体制と保健事業等に対する提言をまとめ、3月18日に公表した。
 提言は、昨年の医療法改正によって、医療計画の策定・変更時にあらかじめ意見を聴く対象に保険者協議会が追加されたこと、あるいは、地域医療構想調整会議の構成員に保険者が明記されたことをあげ、「これにより、地域医療、とりわけ病床のあり方に関して、保険者が都道府県に提言を行い、意思決定に貢献する制度的枠組みが整えられた」と評価。
 地域医療構想の策定は医療計画の変更にあたることから、策定時の意見聴取に対応すべきとして、地域医療構想における将来の医療需要と病床必要量の推計を参考に、将来の医療提供体制に対する保険者の視点と見解を確立するとともに、保険者として地域の医療に貢献していく保健事業等のあり方を検討するのが今回の提言の目的だ。
 その結果、2040年を見据えた将来の医療需要を2次医療圏ごとに推計し、現在の医療提供体制と対照させて地域ごとの医療の需給ギャップを可視化。
 それをもとに、医療保険者や企業が地域医療のあり方へ提言していく方策を整理した。
 将来の医療需要の推計は、地域医療構想策定ガイドラインに採用された推計方法に依拠している。ただし、医療機能別の需要推定に際して平均在院日数を指標としている点で、NDBにもとづく出来高点数を使っている地域医療構想策定GLと異なっている。
 その上で、全国の2次医療圏別に独自に医療需要の推計を行ない、そこから都道府県別の医療提供体制の課題を抽出、構想区域の設定を含む医療提供体制の提言を2次医療圏別に提示するとともに、医療需要に影響を与える可能性がある保険者事業の方策を提言。
 その内容を、都道府県と2次医療圏別のデータと提言集として資料化した。