全日病ニュース

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北波課長「2025年の需要への対応を話し合い、皆で共有する場が調整会議」

北波課長「2025年の需要への対応を話し合い、皆で共有する場が調整会議」

【全日病経営セミナー「地域医療構想」】
地域医療構想はデータと目標からこの10年の経営計画を医療機関自ら考えるためにある

北波課長

厚生労働省・北波孝地域医療計画課長講演(「地域医療構想策定の意義」)の要旨 「2025年に生き残るための経営セミナー」(3月1日)から※4・5面を参照

 病床機能報告制度は、今回、定性的な定義に基づいて機能を選択していただいたが、何回かの報告で中身を精査し、できるだけ具体的な基準を検討していくことになる。来年度からそうした検討を始めたいと考えている。
 さて、地域医療構想には、地域ごとの、将来の医療需要と、あるべき医療提供体制が書き込まれる。医療需要は2025年の患者数を疾患ごとに推計する。医療資源投入量の多寡などからそれぞれの区分に振り分け、最終的に病床数で設定する。
 こうして設定された10年後(2025年)の病床の必要量については、直ちにこれに合わせて病床数を削減してほしいという話ではない。大切なことは、10年後の医療需要がどうなるのかを地域の皆さんで共有していただくということである。
 つまり、高齢者が増え、疾病構造が変化する10年後の医療需要がどうなるかをまずは推計し、その結果を関係者が共有して、今の病棟の構成など医療提供の体制と比べていただくということが一つの大きな目的である。
 その中で、地域の医療が、2次医療圏を基本に設定される構想区域で完結しているかどうかなどを点検し、あるべき提供体制に向けた課題をみつけていただく。その上で、将来の医療需要に対応できるよう、機能分化・連携をより一層進めるために必要な方策を考えていただく。10年間の経営戦略を立てていただくということではないかと考える。
 実は、将来のあるべき提供体制は、10年後の2025年がゴールではなく、その先にある2040年まで見据える、つまり、高齢者の人口も減少に転じて需要が大きく減ることにどう対応していくかということも考えていく必要がある。
 いずれにしても、地域医療構想というのは、10年後の地域の医療需要の姿を共有し、それに向けた分化・連携を医療機関の自主的な取り組みで進めていくというのが大きな特徴であり、そのために、構想区域ごとに、協議していただく場として地域医療構想調整会議が設けられる。
 目標を立てたからといってすぐに変われるものではない。大切なことは、医療介護総合確保基金も活用しながら、この10年間でどのような道行きにすれば患者・住民の医療ニーズに合わせた提供体制を整えることができるのかを、医療機関の皆さんに自ら考えていただくということである。
 調整会議の運営は2つのパターンが考えられる。一つは、毎年度の病床機能報告の集計結果に合わせて定期的に開催し、当該地域における病床機能の分布状況、病床機能過不足の実態、必要量との比較、それらから導かれる分化・連携の課題などを話し合っていただく。こうした議論は、市町村や保険者を含む幅広い人たちが参加して行なわれることだろう。
 もう一つは、具体的に解決が求められる問題で随時開催される、関係する病院などによる話し合いである。こうした個別協議によっても合意に至らないケースがあることだろうが、まずは皆で共有するというところから始めることが大切と考える。そういう中で、自院はどういう対応をするかを考えていただくことになる。特に、建て替えや医療機器更新の時期が10年間のどこでくるのかを考えながら、自院はここらあたりでリハ室を整理しようとか、この年には地域連携の拠点をつくろうといった、医療資源を再構築していく戦略をつくっていただくことが大切である。
 したがって、2025年の必要量が出たからといって、すぐに何かを変えるという話ではなくて、10年後のニーズを見てどうしていくかという段取りを決める。それを、みんなで共有するということである。
 そうすることによって将来の医療ニーズに適切に対応していっていただきたい。ニーズにかけ離れた医療提供体制であれば経営上も苦しくなっていくわけなので、それにどううまく合わせていこうかという考え方で臨んでいただく。地域医療構想をこのように理解していただくようお願いしたい。