全日病ニュース

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院内調査の結果「遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない」

院内調査の結果「遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない」

【医療事故調査制度の省令・通知事項】
個人責任追及目的の否定を随所に明示。医療事故の定義も厳格に解釈

医療事故調査制度の施行に係る検討会「医療事故調査制度の施行に係る検討について」

1. 医療事故の定義について
医療事故の定義(医療法) 「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」
1)医療に起因又は起因すると疑われるもの【通知】
・「医療」の範囲に含まれるものとして、手術、処置、投薬及びそれに準じる医療行為(検査、医療機器の使用、医療上の管理など)が考えられる。
・施設管理等の「医療」に含まれない単なる管理は制度の対象とならない。
・医療機関の管理者が判断するものであり、ガイドラインで判断の支援の考え方を示す。
□「医療に起因する(疑いを含む)」死亡・死産の考え方
●「医療」(下記に示したもの)に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産-①
・診察
・検査等(経過観察を含む)
・治療(経過観察を含む)
・その他(以下のような事案は、管理者が医療に起因し、又は起因すると疑われるものと判断した場合)療養に関連するもの、転倒・転落に関連するもの、誤嚥に関連するもの、患者の隔離・身体的拘束/身体抑制に関連するもの
●①に含まれない死亡又は死産―②
上記以外のもの
<具体例>
・施設管理に関連するもの(火災等に関連するもの、地震や落雷等天災によるもの、その他)
・併発症(提供した医療に関連のない偶発的に生じた疾患)
・原病の進行
・自殺(本人の意図によるもの)
・その他(院内で発生した殺人・傷害致死等)
※1 医療の項目には全ての医療従事者が提供する医療が含まれる。
※2 ①②の該当性は疾患や医療機関における医療提供体制の特性・専門性で異なる。
(2)当該死亡又は死産を予期しなかったもの【省令】
○当該死亡又は死産が予期されていなかったものとして、以下の事項のいずれにも該当しないと管理者が認めたもの
一 管理者が、当該医療の提供前に、医療従事者等により、当該患者等に対して、当該死亡又は死産が予期されていることを説明していたと認めたもの
二 管理者が、当該医療の提供前に、医療従事者等により、当該死亡又は死産が予期されていることを診療録その他の文書等に記録していたと認めたもの
三 管理者が、当該医療の提供に係る医療従事者等からの事情の聴取及び、医療の安全管理のための委員会(当該委員会を開催している場合に限る)からの意見の聴取を行った上で、当該医療の提供前に、当該医療の提供に係る医療従事者等により、当該死亡又は死産が予期されていると認めたもの
【通知】
○省令第一号及び第二号に該当するものは、一般的な死亡の可能性についての説明や記録ではなく、当該患者個人の臨床経過等を踏まえて、当該死亡又死産が起こりうることについての説明及び記録であることに留意すること。
○患者等に当該死亡又は死産が予期されていることを説明する際は、医療法第一条の四第二項の規定に基づき、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めること。

(3)死産の定義(略)
(4)医療事故の判断プロセス【通知】
○管理者が判断するに当たっては、当該医療事故に関わった医療従事者等から十分事情を聴取した上で、組織として判断する。
○判断する上での支援として、センター及び支援団体は医療機関からの相談に応じられる体制を設ける。
○相談を受けたセンター又は支援団体は、記録を残す際等、秘匿性を担保すること。
2.医療機関からセンターへの事故の報告
(1)センターへの報告方法 (略)
(2)センターへの報告事項(略)
(3)センターへの報告期限
【通知】
○個別の事案や事情等により、医療事故の判断に要する時間が異なることから具体的な期限は設けず、「遅滞なく」報告とする。※「遅滞なく」とは、正当な理由無く漫然と遅延することは認められないという趣旨であり、当該事例ごとにできる限りすみやかに報告することが求められるもの。
3.医療事故の遺族への説明事項等について
(1)「遺族」の範囲 (略)
(2)遺族への説明事項
【省令】
医療事故の日時・場所・状況、制度の概要、院内事故調査の実施計画、解剖又は死亡時画像診断(Ai)が必要な場合の解剖又はAiの同意取得のための事項
【通知】
○「センターへの報告事項」の内容を遺族にわかりやすく説明する。
○遺族へは以下の事項を説明する。
医療事故の日時・場所・診療科、医療事故の状況(疾患名・臨床経過等、報告時点で把握している範囲-調査により変わることがあることが前提であり、その時点で不明な事項については不明と説明する)、制度の概要、院内事故調査の実施計画、解剖又はAiが必要な場合の解剖又はAiの具体的実施内容などの同意取得のための事項、血液等の検体保存が必要な場合の説明
4. 医療機関が行う医療事故調査について
(1)医療機関が行う医療事故調査の方法等
【省令】
○医療事故調査を行うに当たっては、以下の調査に関する事項について、当該医療事故調査を適切に行うために必要な範囲内で選択し、それらの事項に関し、当該医療事故の原因を明らかにするために、情報の収集及び整理を行うことにより行う。
診療録他の診療に関する記録の確認、当該医療従事者のヒアリング、その他関係者からのヒアリング、解剖又はAiの実施、医薬品、医療機器、設備等の確認、血液、尿等の検査
【通知】
○本制度の目的は医療安全の確保であり、個人の責任を追及するためのものではないこと。
○調査の対象者は当該医療従事者を除外しないこと。
○調査項目は以下から必要な範囲内で選択する。※調査の過程では可能な限り匿名性の確保に配慮すること。(略)
○医療事故調査は医療事故の原因を明らかにするために行うものであること。※原因も結果も明確な誤薬等の単純な事例であっても、調査項目を省略せずに、丁寧な調査を行うことが重要であること。
○調査の結果、必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること。
○再発防止は可能な限り調査の中で検討することが望ましいが、必ずしも再発防止策が得られるとは限らないことに留意すること。
5.支援団体の在り方について(略)
6.医療機関からセンターへの調査結果報告について
(1)センターへの報告方法 (略)
(2)センターへの報告事項
【省令】
○病院等の管理者は、院内調査結果の報告を行うときは次の事項を記載した報告書を医療事故調査・支援センターに提出して行う。(略)
○当該医療従事者等の関係者について匿名化する。
【通知】
○本制度の目的は医療安全の確保であり、個人の責任を追及するためのものではないことを、報告書冒頭に記載する。
○報告書をセンターへの提出及び遺族への説明以外の用途に用いる可能性については、あらかじめ当該医療従事者へ教示することが適当である。
○センターへは以下の事項を報告する(抜萃)。
・医療事故調査の項目・手法及び結果調査の概要(調査項目・調査の手法)、臨床経過(客観的事実の経過)、原因を明らかにするための調査の結果(必ずしも原因が明らかになるとは限らないことに留意すること)、調査において再発防止策の検討を行った場合管理者が講ずる再発防止策は記載する、当該医療従事者や遺族が報告書の内容に意見がある場合等はその旨を記載する
○医療上の有害事象に関する他の報告制度については厚労省から医療機関に提示する。
○当該医療従事者等の関係者について匿名化する。
○医療機関が報告する医療事故調査の結果に院内調査の内部資料は含まない。
7. 医療機関が行った調査結果の遺族への説明について
(1)遺族への説明方法
【通知】
○遺族への説明については、口頭(説明内容をカルテに記載)又は書面(報告書又は説明用の資料)若しくはその双方の適切な方法により行う。
○調査の目的・結果について、遺族が希望する方法で説明するよう努めなければならない。
(2)遺族への説明事項(略)
8.医療事故調査・支援センターの指定(略)
9.センター業務① 院内事故調査結果の整理・分析とその結果の医療機関への報告 (略)
10.センター業務②
(1)センターが行う調査【通知】
○院内事故調査終了後にセンターが調査する場合は院内調査の検証が中心となるが、必要に応じてセンターから協力を求められることがあるので病院等の管理者は協力する。(略)
(2)センターが行った調査の医療機関と遺族への報告【通知】
○センターは以下事項を記載した調査結果報告書を医療機関と遺族に交付する。(略)
○センターが報告する調査の結果に院内調査報告書等の内部資料は含まない。
10.センター業務② センターが行った調査の結果の取り扱い【通知】
○センターは、個別の調査報告書及びセンター調査の内部資料は法的義務のない開示請求に応じないこと。※証拠制限などは省令が法律を超えることはできず、立法論の話である。
○医療事故調査・支援センターの役員若しくは職員又はこれらの者であった者は、正当な理由がなく、調査等業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
11~18 (略)