全日病ニュース

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都道府県は必要に応じて地域医療構想を見直すべし

都道府県は必要に応じて地域医療構想を見直すべし

新しい人口推計も取り入れ、3年後の2018年度を目途に見直しを検討すべき

「医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会」第1次報告(概要) 6月15日

Ⅱ. 医療機能別病床数の推計及び地域医療構想の策定に当たっての基本的考え方
○必要病床数等の将来推計に当たっては、人口推計等、全国統一のルールで行う必要がある。地域の実情を勘案するに当たっても、人口構造の違いなど、客観的に説明可能なものの範囲にとどめるべきである。医療提供体制については、地域差の是正をはじめとして、病床の機能分化や効率化を着実に進める必要がある。その上で、解消しきれない地域差については、当該都道府県に、その要因等の公表も含め、説明責任を求め、更なる是正の余地がないか、チェック・検討できるような枠組みを構築することが重要である。
○地域の医療ニーズの実態に即した将来推計が行われること、さらには地域医療構想のような中長期的なビジョンに沿って政策が推し進められていくことは、医療機関にとって、推計結果を盛り込んだ地域医療構想を踏まえ、将来における地域の医療ニーズに即した病棟・病床のあり方を検討することが可能となり、経営上の見通しを立てる上で有用である。
○2025年までに残された期間を踏まえると、都道府県は、2018年度からの次期医療計画の策定を待たず、早急に地域医療構想を策定するようにすべきである。次期医療計画の策定時には、今回の地域医療構想の策定の際に明らかとなった課題なども踏まえ、都道府県は、必要に応じ、地域医療構想の見直しを行うことが考えられる。
○2018年度からの次期医療計画の策定に当たっては、医療情報等を活用し、現行の二次医療圏について見直し・再編も含めて検討を行い、構想区域と一致させた上で医療提供体制の構築を図るべきである。
Ⅲ. 医療機能別病床数の推計方法及び推計結果の概要等
○2025年における全国の医療機能別病床の推計結果の概要は以下のとおり。
・高度急性期に対応する必要病床数は13.0万床程度となる。
・急性期に対応する必要病床数は40.1万床程度となる。
・回復期と在宅医療等の境界点(C3)は、医療資源投入量として225点とした上で、在宅復帰に向けた調整を要する幅をさらに見込んで175点で推計するとともに、回復期リハ病棟入院料を算定した患者数(療養病床も含む)を加えた患者を回復期で対応するとした結果、37.5万床程度となる。
・現在の療養病床の入院患者のうち、一定の患者(医療区分1の患者の70%)は、2025年には介護施設や高齢者住宅をはじめとする在宅医療等で受け止めることが適当。加えて、入院受療率地域差の2025年までの解消を目指すべきである。入院受療率の地域差解消として、都道府県は構想区域ごとに、①全ての構想区域の入院受療率を全国最小値(県単位で比較した場合の値)にまで低下させる(パターンA)、②構想区域ごとに入院受療率と全国最小値(県単位)との差を一定割合解消させるが、その割合は全国最大値(県単位)が全国中央値(県単位)にまで低下する割合を一律に用いる(パターンB)、③パターンAからBの範囲内で定めた入院受療率目標の達成年次を2025年から2030年とする(パターンC=2025年は2030年から比例的に逆算した入院受療率を目標とする)、のいずれかで目標を定める。これを踏まえて2025年の必要病床数を推計すると、(1)パターンAの目標を全ての二次医療圏で採用した場合は24.2万床程度、(2)パターンBの目標を全ての二次医療圏で採用した場合は27.5万床程度、(3)パターンBを前提に要件が該当する全ての二次医療圏でパターンCの目標を採用した場合は28.5万床程度となる。
・以上から地域ごとに推計した値を積み上げると、2025年の4つの医療機能を担う必要病床数の合計は115~119万床程度となる。この推計結果は、現在の一般病床と療養病床の合計が134.7万床であることを踏まえれば、近年減少傾向となっている病床数の動向とも整合する。
○人口の動向等によっては、病床数の増加が必要な地域も発生することに留意する必要がある。また、病床機能の報告結果と比較すると、4つの医療機能ごとに病床の大幅な増減を伴う、調整が必要な地域が発生することも考えられるが。調整の過程で、全体として病床数が増加して、かえって非効率なものとならないようにする必要がある。
○病床機能の2014年度の報告結果は、各医療機関が定性的な基準で医療機能を選択、今回の推計の考え方等が示されない中で報告された。今後は、本調査会の検討成果と整合的なものとなるよう病床機能の定量基準の検討を進め、報告制度の機能別病床数が推計で示された姿に収れんしていくよう取り組みを進めていくべきである。
○介護施設や高齢者住宅さらには外来医療を含めた在宅医療等の医療・介護ネットワークによる対応が追加的に必要になると想定される患者は、2025年で29.7~33.7万人程度と見込まれる。
○今回の改革は、今後、10年程度かけて、介護施設や高齢者住宅を含めた在宅医療等の医療・介護ネットワークの構築と併行して進めていくものであり、直ちに現在の療養病床の急激な削減を行ったり、現在入院中の患者を追い出したりすることを強制するものではない。
Ⅳ. 今後の課題
○今回は現段階で活用可能なデータ等を基に、病床数の推計方法とその結果等についてとりまとめを行ったが、今回の推計作業で明らかになった課題も踏まえ、今後とも、更なるデータの収集・可視化・活用や推計方法の精緻化等に取り組み、エビデンスベースの改革を推進していく必要がある。
○今後、構想区域の見直しを検討したり、どの地域の患者がどの地域の医療機関にかかっているかなどを詳細に分析したりするためには、医療情報に患者の住所地情報も備わっていることが重要である。すでにDPCデータには郵便番号情報が備わっているが、、NDBデータにおいて住所地情報を盛り込む方策を検討すべきである。
○医療機関では入院患者の「重症度、医療・看護必要
(5面へ続く)