全日病ニュース

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直ちに療養病床を削減したり、退院を強制するものではない

直ちに療養病床を削減したり、退院を強制するものではない

分化した病床機能にふわさしい設備人員体制を患者の状態像に応じて定める必要

(4面から続く)
度」情報を対象病棟で毎日測定している。例えば、この情報をより一般化することで、医療の実態に即した分析に活用できるようになる可能性がある。
○療養病床については、例えば、回復期リハ病棟で実施されている日常生活機能評価なども参考に、患者像をより明らかにする取組を行うなど、適切なエビデンス蓄積のための基盤整備等について検討していく必要がある。
○今回の推計については、今後、地域医療構想を踏まえた医療提供体制改革や地域包括ケアシステム構築の各地域における進捗状況なども踏まえながら、新しい人口推計も取り入れた形で3年後の2018年度を目途に見直しを検討すべきである。医療資源投入量等についても定期的に検証し、必要に応じて見直すことが必要である。適正な指標の設定等を行い、地域医療介護総合確保基金が病床機能の分化・連携に有効に活用されているかの検証を行うべきである。
○国や地域で我が国の優れた医療・介護情報を分析・活用できるシステムを構築することにより、地域連携パスの構築や医療費適正化対策の取組などを病床数の見直しなどに反映していくことも可能となる。特に、NDBのレセプトデータ等の利活用を促進するための方策を検討すべきである。
○病床の機能分化に当たっては「機能分化した病床機能にふわさしい設備人員体制を確保することが大切」(国民会議報告書)である。施設基準などの構造面を患者の状態像に合ったものとするよう見直していく必要があるとともに、その病床に求められる医療が提供されているのかの評価も併せて進めていくことが重要であり、適切な診療報酬体系の構築に加え、アウトカム評価を含めた診療プロセス等の分析・評価や臨床指標の策定などが課題となる。
○今後、上記のような医療機能に応じた体制の整備をまず進めていくこととし、その上で、患者の状態像に応じて人員配置を傾斜させ、平均在院日数の短縮も図るなど、より質が高く効率的な医療提供体制の構築に向けた検討を進めていくことが考えられる。また、さらに医療提供体制の改革を進めるためには、医療制度及び医療保険制度の中に、在宅復帰率の向上など医療の質の向上につながる仕組みを組み込んでいくことも検討する必要がある。
(今後の専門調査会における検討の方向性)
○医療費適正化計画の見直しについては、「都道府県が地域医療構想と整合的な目標(医療費の水準、医療の効率的な提供の推進)を計画の中に設定」(15年1月の「医療保険制度改革骨子」)することとされている。地域医療構想の策定にあわせて、これと整合的な医療費適正化計画を策定していく必要があるが、本調査会も、その策定に資するよう、医療費水準のあり方や医療費適正化対策のあり方も含め、医療・介護情報の活用方策の一環として検討を進めていく。
○医療提供体制改革を円滑に進めていくためには、病床の機能分化・連携の推進や療養病床の入院受療率の地域差の縮小等の改革も踏まえ、地域医療における在宅医療機能や外来医療機能でどう対応していくかに加え、医療と介護の連携をいかに深めていくか、さらには、今回の改革と一体となって取り組むべき地域包括ケアシステムをいかに構築していくかが重要になってくる。本調査会も、今後は、介護情報も活用して、医療・介護の両分野一体的にエビデンスベースの検討を進めていく必要がある。
□2025年の医療機能別必要病床数の推計結果
●都道府県別・医療機関所在地ベース
・一般病床と療養病床の合計値で既存の病床数と比較すると、現在の稼働の状況や今後の高齢化等の状況等により、2025年に向けて、不足する地域と過剰となる地域がある。
・概ね、大都市部では不足する地域が多く、それ以外の地域では過剰となる地域が多い。
・将来、介護施設や高齢者住宅を含めた在宅医療等で追加的に対応する患者数も、大都市部を中心に多くなっている。
●都道府県別、医療機関所在地ベース・患者住所地ベース・医療機関所在地ベースと患者住所地ベースを比較すると、都道府県単位で見ても患者の流出入が発生している。
・大都市部など、一部の地域では、患者の流出入が大きくなっている。
・医療機能ごとに流出入の状況が異なる地域がある。