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外部監査義務化の医療法人 負債50億円以上または収益70億円以上が対象。意見募集へ

外部監査義務化の医療法人
負債50億円以上または収益70億円以上が対象。意見募集へ

【全国医政関係主管課長会】
16年度の基金は3月にも都道府県ヒアリング、5月頃に内示を予定

 厚生労働省は2月26日に2015年度全国医政関係主管課長会議を開き、都道府県の医政担当者に16年度の医政関係施策について説明した。
 冒頭の挨拶で、神田裕二医政局長は、16年度を「2025年に向けた医療提供体制の構築ということできわめて重要な年」と位置づけ、同省と各都道府県が一体となった取り組みにまい進する必要を訴えた。
 同局長は、地域医療構想に関して「一部に『病床を削減する計画』という誤解がある」と述べ、病床削減という目的を否定してみせた。その上で「地域の課題について関係者の共通認識をつくっていただく必要がある」と指摘、関係者の共通認識に欠けたかたちだけの構想をつくるという拙速を戒めた。
 現に15年度内に策定される構想の原案に目を通した同局長は、その内容に「かなり差がある」として、「地域医療構想は都道府県の力量が問われる」ことを訴え、都道府県の奮起を求めた。
 地域医療構想については、迫井地域医療計画課長も「病床数に関する議論に終始するのではなく、様々な検討を行ないながら調整会議の議論をしていただきたい」と要請した。
 同課長は、地域医療構想策定ガイドライン等検討会(2月4日)に提示した資料について説明。「検討会の議論を踏まえて、(病床機能報告や地域医療構想に)関係する事項を見直していく」と言明。
 その中で、「地域医療構想で推計する必要病床数は、必ずしも、病床機能報告の病床数と数値として一致する性質のものではない」ことを指摘。「2つの数字は性質が違うのでそれを単純に同じように扱うことではない」と、都道府県担当者に説明した。
 新しい専門医制度に関して、神田医政局長は、「医師会や病院団体から『医師偏在を助長するのではないか』という強い懸念が表明されている」ことを明らかにした上で、各都道府県として、関係者を交えた場で、基幹施設による専門研修プログラムの配置と内容、施設群の構成等をしっかりチェックするよう訴えた。
 地域医療介護総合確保基金に関しては、迫井課長が「15年度に引き続き、病床機能分化・連携の推進に重点的に配分する」方針を表明。併せて、「3月頃に各都道府県のヒアリング、5月頃に内示、6月以降に都道府県計画の提出・交付決定」という日程を明らかにした。
 一方、佐藤医療経営支援課長は、改正医療法における医療法人制度改革の施行見通しを説明。その中で、以下の内容で省令等の改正を行なう方針を固め、近々意見募集を始めることを明らかにした。
 ①公認会計士による外部監査は、医療法人は負債が50億円以上または収益が70億円以上を、社会医療法人は負債が20億円以上または収益が10億円以上を対象とする②MS法人との取引状況の都道府県知事への報告の義務化は、医療法人総事業費の10%かつ1,000万円を超える取り引き、または、医療法人総資産の1%かつ1,000万円を超える取り引き、などを対象とする同課長は、また、14年度税制改正で創設された、移行期間内に発生する相続税・贈与税について納税を猶予し、持分なし医療法人へ移行できた場合は猶予税額を免除するという特例措置(17年9月30日までの時限制度)が、この年2月1日現在で、31の医療法人に認定されたことを明らかにした。

□神田医政局長(写真)の挨拶から

 地域医療構想の策定、地域格差是正に向けた医療従事者需給の検討、新専門医制度の養成プログラム認定・募集開始など、2016年度は、2025年に向けた医療提供体制の構築ということできわめて重要な年である。
 まず地域医療構想だが、一部に「病床を削減する計画」という誤解があるようだが、これは、地域に質の高い効率的な医療提供体制を構築するための構想である。
 そのためには構想区域ごとにどのような課題があるかを構想に書き込むことが大切で、地域の課題について関係者の共通認識をつくっていただく必要がある。それが策定後の調整会議の出発点になる。
 地域医療構想との整合性と地域偏在の格差是正という観点から、医師、看護師、リハ職の需給の検討を行なう。医師の地域・診療科偏在等については、この機会にできる限りの対策を講じたい。
 新しい専門医制度は、早ければ6月にも養成プログラムが認定されるが、現在、医師会や病院団体から「医師偏在を助長するのではないか」という強い懸念が表明されている。
 医事課は、地域医療対策協議会等を活用して、きちんとした養成プログラムが都道府県の中で実施されるのか、本来養成プログラムに参加すべき医療機関がもれていないか、しっかりとチェックしてほしいとお願いしている。
 国としては社会保障審の医療部会の下に専門医に関する専門委員会を設置して、施行状況をしっかりウオッチしていきたいと考えているが、まずは都道府県がそうした会議を開催して必ずチェックをしていただくよう強く申し上げたい。養成プログラムが認定された後では遅い。今この時期を逃すと後々禍根を残すことになりかねない。
 看護師の特定行為研修制度については現時点で21の研修機関が指定されているが、空白の都道府県がたくさんある。このままでは研修を受けたい看護師は現場を離れざるを得ないということも出てくのではと、強く懸念している。
 まだ県内に研修機関がないところは研修機関を設けるようしっかりと検討していただきたい。
 2025年に向けてあるべき医療提供体制をつくりあげていく大事な時期にあたっている。私自身、今年度に策定される地域医療構想の原案をいくつか読んだが、率直にいってかなり差がある。地域医療構想については各都道府県の力量が問われている。
 我々も汗をかいていくが、皆さんと力を合わせて、ぜひよい医療提供体制をつくってまいりたい。

全日病ニュース2016年3月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 地域医療構想策定が施行。関係政省令、告示、GL示さる

    http://www.ajha.or.jp/news/pickup/20150415/news01.html

    2015年4月15日 ... 同日付で地域医療構想策定を含む推進法の一部施行を伝える医政局長通知(医政発
    0331第9号)を都道府県知事宛に発出し、関係政省令・告示の周知を求めた ... さらに、
    平成27年厚生労働省告示第194号(公表方法告示)は病床機能の報告事項を細かく
    定め、同告示第198号 ... したがって、同じデータから、都道府県と市区町村あるいは
    医療関係者等がどう課題と目標を共有していけるかが、研修会の主題となる ...

  • [2] 病床機能報告制度に関する電子レセプトへの病棟情報の記録について

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2016/160329_1.pdf

    2016年3月25日 ... 標記について、別添のとおり、 地方厚生(支)局医療課、都道府県民生主管部(局).
    国民健康保険 .... なお、電子レセプトへの病棟コード記録に係る「病床機能報告用
    マスターファイルJ. 及び「病床 ..... 負担区分は、算定する入院料等と同じ負. 8.

  • [3] 地域医療構想策定ガイドライン等について

    http://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2015/150402_20.pdf

    2015年3月31日 ... 厚生労働省医政局長. (公印省略). 地域医療 ... の施行に伴い、平成27年度以降、
    道府県は、医療計画において地域医療構想. に関する事項を .... 地域医療構想を策定
    する際に、一般病床及び療養病床に係る高度急. 性期、急性期、回復期 ...

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