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DPCの意義はデータの経営分析や医療計画への応用にある

DPCの意義はデータの経営分析や医療計画への応用にある

 2016年改定で調整部分の75%が機能評価係数Ⅱに置きかえられた結果、自院の医療機関別係数における係数Ⅱの割合は9%となった。ただし、基礎係数の割合は74%と圧倒的に大きい。
 今改定に向けたDPC評価分科会の議論で、私は、基礎係数と機能評価係数Ⅱの重みづけを見直して、係数Ⅱの比重を高めるよう求めてきたが、実現しなかった。
 この議論の関連で係数Ⅱの係数間の重みづけを検討することになったが、これも実現しなかった。いずれも努力した病院が報われる評価方法を求めるものであった。
 その係数Ⅱには重症度指数が加えられて8指数となった。「診断群分類点数表で表現しきれない、患者の重症度の乖離率を評価する」ために試行的に導入されるもので、包括範囲出来高点数/診断群分類点数表に基づく包括点数で得られる指数を係数化する。
 ところで、2017年度より保険診療指数の中で「病院情報の公表」が評価され、0.05の加点になる。今から準備をして、ホームページに掲載していただきたい。
 算定ルールの見直しに関しては「第Ⅲ日(包括算定の終了日)を入院日から30の整数倍とし、入院期間Ⅲの点数の調整を行なう」点の影響が一番ではないか。入院期間の長い病院はこのルールで大きな減収になる可能性がある。
 なお、様式1の見直しで、併存症・続発症の記入可能数が4から10に増えた。したがって、コーディングをするときに主病名だけでなく、副傷病名もしっかり書くようにすべきと申し上げたい。
 診断群分類ごとの1日当たり点数や1入院当たり累積点数をみていくと、実は改定ごとにDPCの点数が低下してきていることが分かる。今改定では「薬価の市場拡大再算定分」のマイナスがあるため、従来以上に点数が下がる可能性が大きいので、十分留意してほしい。
 さて、私は、DPCで一番重要なのは、データの病院管理手法や医療計画への応用だと思っている。データはDPC以外の病院も使えるし、データの活用方法を学ぶ場はいくらでもある。
 そして、データを病院の経営分析・管理に活用するだけでなく、データから病院が地域の中で生き残るための戦略を考えなければならない。
 将来的には効率性係数と複雑性係数のみが病院機能のパフォーマンスに大きく影響するという意見があるが、では、これをどういうふうにしていったらいいのか。
 効率性に関しては、単に平均在院日数を短くするのではなくて、DPC単位の診療プロセスの最適化と回転率をあげるための後方連携が、複雑性に関しては前方連携、すなわち入院患者構成に適した形で最適化する必要がある。こうして効率性が向上し、病床回転率が上がっても複雑性を維持できる病院が理想の高機能病院ではないか。

全日病ニュース2016年3月1日号 HTML版

 

 

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