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新施設類型 介護療養型は案1、医療療養25対1は案2への転換を想定か

新施設類型
介護療養型は案1、医療療養25対1は案2への転換を想定か

「慢性期・在宅について」(要旨) 安藤高朗副会長

 療養病棟入院基本料2は医療区分2と3の患者割合5割以上が要件となる。ただし、この要件または25対1のみを満たさない病棟は、30対1等を満たしていれば、2018年3月31日まで95%を算定できる。
 つまり、新たに看護配置が30対1以上という基準が新設されたわけで、これは、新類型への移行を考慮したものではないかと思われる。
 医療区分の見直しは、酸素療法については区分3の要件をより厳しくした。
 次に、医療区分2の「頻回の血糖検査」と「うつ症状」にそれぞれ要件を追加した。
 この3項目の患者がすべて区分を下げたとするとどうなるか。中医協データから試算すると、年間で5,580万円の減収となる。福祉医療機構の調査によると、療養病床の1病床あたり経常利益は年間5,826万円。それがほとんど吹き飛んでしまう。
 これをなんとか防がなくてはならない。そのためには、医師を初めとする意識改革を進め、急性期病院との連携を強めて、重症患者を積極的に受けていかなければならない。
 在宅復帰機能強化加算に関しては、分母となる退院患者の定義から、自院他病棟からの転棟患者を除いて「入院期間が1ヵ月以上」という条件が外された。また、急性期から受けて在宅に退院した患者の平均入院患者に占める割合を1割以上とする要件が加わり、病床回転率は要件から削除された。
 例えば、50床の病棟で稼働率が90%、年間の在宅復帰患者が5人の場合には、50床×0.9=45 5÷45=1.1となってクリアできる。
 障害者施設・特殊疾患病棟に入院する意識障害のある脳卒中患者について、医療区分1・2の場合は、療養病棟と同じ範囲の包括となった上で、点数が引き下げられた。これも中医協のデータから計算すると月に210万円、年間2,520万円の減収となる。さて、今後の慢性期医療がどうなるかであるが、2025年の必要病床数の推計によると、慢性期の病床から約30万人が介護施設と在宅に移行するとみられる。そうした将来に向けて、「療養病床の在り方等に関する検討会」は、高齢者に医療と介護を提供していく3タイプの施設類型の検討を提案している。
 このうち「医療の必要性が比較的高く、容体が急変するリスクがある者」を受け入れる施設(案1-1)は療養機能強化型A・Bに似ている。医療機能を内包したもう1つの施設(案1-2)は療養機能強化型A・B以外の介護療養型に相当するのではないか。
 案2の「医療を外から提供する、居住スペースと医療機関の併設」は、既存病棟を20対1や有床診に転換して、残ったスペースを軽度な高齢者を受け入れる居住施設とし、そこに既存病棟の医師が医療を提供していくというイメージではないか。
 この3案は確定したものではなく、人によっても解釈が異なる上、これからの議論によって様々なパターンが考えられるが、療養機能強化型A・B は「案1-1」への転換が、介護療養型医療施設の「その他」は「案1-2」への転換が考えられるが、老健や特養との棲み分けをどうするかなど、現時点では内容に不明瞭な点もある。
 一方、医療療養25対1は案2への転換が考えられるが、仮に100床とすると、(1)医療療養20対1病棟50床+住まい(介護付)50人(2)医療療養20対1病棟50床+住まい(介護無)50人(3)有床診19床+住まい80人など、比較的自由な組み合わせが可能となる。
 新類型を活かした病床転換策のみそは「病院に固執するか、医療にこだわるか」ということではないか。そこで、私なりに、医療療養25対1と介護療養病床は今後の転換策をどう考えたらよいか、フロ-チャートをつくってみたので、参考にしていただきたい。

全日病ニュース2016年3月1日号 HTML版

 

 

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