全日病ニュース

全日病ニュース

弾道ミサイルに備える救護体制を議論

弾道ミサイルに備える救護体制を議論

【地域防災緊急ネットワーク・フォーラム】

 第19回地域防災緊急ネットワーク・フォーラムが「弾道ミサイル発射への対応を考える」をテーマに全日病の主催で3月10日に開かれ、北朝鮮によるミサイル発射に備えた危機管理のあり方をめぐって議論した。
 冒頭に挨拶した全日病の猪口雄二会長は、「自然災害以外にテロや外国からの武力攻撃、弾道ミサイルによる被害が現実的に起こり得る危機として報じられている。そうした事態に遭遇した場合にどう対応したらいいのかを考えておく必要がある。フォーラムを通じて、災害発生時における研修・訓練の重要性を再認識してほしい」と呼びかけた。
 防衛医科大学校・防衛医学研究センターの齋藤大蔵教授は、「わが国の災害対策は災害対策基本法に基づいているが、テロに対応するには限界がある」と指摘。全日病や日本医師会などが合同で内閣府に提出した「災害医療を国家として統合するための提言」(2016年11月)の内容を説明し、CBRNE 等のテロには国がトップダウンで対応するのが望まれると述べた。
 内閣官房で国民保護法の制定やJアラートの仕組みづくりにかかわった大庭誠司氏(あいおいニッセイ同和損保株式会社顧問)は、北朝鮮のミサイル発射に備えた政府の危機管理体制について説明した。
 米軍のレーダー等によりミサイル発射を感知すると、Jアラートが作動する仕組み。過去の例ではミサイルが日本に飛んでくるまでに約10分。Jアラートは3~4分で送信されるが、防災無線を整備していない市町村もある。
 大地震などの大規模災害では、行政や消防などの公的機関は、必ずしも多くの人を助けることはできず、地域の防災力の向上が必須であると大庭氏は強調する。
 「いざというときに動ける体制をつくるためには、危機管理を担う人を明らかにして、その人が命令できる体制が必要になる。マニュアルをつくって毎年見直し、訓練を繰り返すことが大切だ」と述べた。
 軍事アナリストの小川和久氏(静岡県立大学特任教授)は、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮の意図を解説しながら、わが国の危機管理体制の問題点を指摘。昨年は8月と9月に2回、Jアラートが作動したが、多くの人はどうしてよいかわからず、8割以上の人が避難しなかった。
 小川氏は、「現状では訓練も備えも不備がある」と述べた。危機管理の考え方として、「相手がどうであれ、やるべきことやって備える必要がある」と呼びかけた。
 最後に、救急・防災委員会特別委員の山本保博氏が統括発言を行い、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、テロの発生に備えた災害の体制整備が喫緊の課題であると訴えた。

 

全日病ニュース2018年4月1日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 「弾道ミサイル発射への対応を考える」

    https://www.ajha.or.jp/seminar/netf/pdf/180118_1.pdf

    2018年1月17日 ... 3 16:35~17:20. 【講 演①】テーマ調整中. 齋藤 大蔵 防衛医科大学校 防衛医学研究
    センター 教授. 4 17:20~18:05. 【講 演②】テーマ調整中. 大庭 誠司 あいおいニッセイ
    同和損保株式会社 顧問. 総務省消防庁消防大学校 客員教授. 埼玉県 県政
    アドバイザー. 一般社団法人ドローン操縦士協会(DPA) 理事. 5 18:05~18:10 【休 憩】
    . 6 18:10~18:55. 【講 演③】テーマ調整中. 小川 和久. 静岡県立大学 特任教授. 7 18:
    55~19:15. 【統括発言】山本 保博 全日本病院協会 救急・防災委員会 特別委員.

本コンテンツに関連するキーワードはこちら。
以下のキーワードをクリックすることで、全日病サイト内から関連する記事を検索することができます。