全日病ニュース
人生の最終段階の医療の普及・啓発で報告書
人生の最終段階の医療の普及・啓発で報告書
【厚労省・人生の最終段階の医療に関する検討会】医療・ケアチームの対応示す
厚生労働省の「人生の最終段階における医療の普及・啓発の在り方に関する検討会」(樋口範雄座長)は3月23日、報告書を大筋でまとめた。ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の考え方を取り入れて改訂した厚労省のガイドラインを踏まえ、国民レベルで人生の最終段階の医療を考える機会を設けるべく、普及・啓発策を盛り込んでいる。
同検討会は、昨年8月から6回の会合を重ね、報告書をまとめた。3月17日には、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を改訂。1月17日には、「人生の最終段階における医療に関する意識調査」の結果を公表した。
ガイドラインは、富山県射水市民病院で、医師が末期がんの患者の人工呼吸器を取り外し逮捕された事件などをきっかけとして2007年に作成された。人生の最終段階の医療は、医師の独断ではなく、医療・ケアチームで判断すべきことを示した。
ガイドライン作成から10年が経過。厚労省や地方自治体、医療団体の取組みにより、人生の最終段階の医療に関する理解は一定程度広がった。ただ、1月に公表された意識調査の結果をみると、人生の最終段階の医療について家族等と話しあったことがある人は4割にとどまるなど、十分とはいえない状況にある。
一方で、高齢化の進展により在宅医療や介護の現場でのガイドラインの活用が求められていることを踏まえ、今回改訂することになった。
ACP の取組みを促す
報告書は、ガイドライン改訂に至った背景を整理している。◇高齢化率が高まり、高齢単身世帯が増加。2040年には死亡者数は年間167万に達するなど死亡者増が見込まれる◇どこで最期を迎えたいかの質問では「自宅」が55%で最も高く、「病院など医療施設」は28%にとどまる◇人生の最終段階で本人の望まない救急搬送が行われている─などの課題を指摘した。
また報告書は、欧米で広まっているACP の考え方を紹介している。事前に本人の意思を示す方法として、リビング・ウィル(生前意思)があるが、本人の意思が文書で残されていても、家族や医療・ケアチームと共有されていないと実際の医療やケアに反映されない場合がある。
このため欧米諸国では、本人が家族や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセスを重視するACP の取組みが普及してきた。あらかじめ話し合うことで、本人の価値観に対する理解が進み、本人が自らの意思を伝えられない状態になった場合にも、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針決定につながるとされている。
普及・啓発の方策を示す
報告書は、人生の最終段階の医療・ケアのあり方について、普及・啓発が必要とし、そのための方策を整理している。
医療・介護従事者に対しては、本人や家族等に、医療・ケアの方法(点滴や胃ろうなどの栄養・水分補給、疼痛緩和の方法、人工呼吸器の使用、心肺蘇生処置等)や療養場所(医療機関、介護施設、在宅等における療養上の特徴など)を説明する必要があるとした。
本人や家族等に説明するに当たっての留意事項としては、◇本人が考えたくない、話したくないということを含めて本人の意思を汲み取る◇本人の意思や気持ちは常に揺れ動いていることを理解する─を明記した。
なお、家族等の「等」は、高齢者単身者が増加していることを踏まえ、法的な意味での親族関係ではなく、友人や身近で世話になっている人などが含まれる。本人が意思を表明できなくなることに備え、本人の意思を推定できる者として、家族等を特定しておくことがACP の一つのプロセスになる。
国が行う普及・啓発の取組みでは、◇記念日の制定やその日に合わせたイベント開催◇情報のポータルサイトやeラーニングなどの学習サイトを開設◇ ACP の国民に馴染みやすい名称の検討やメディアを意識した広報の実施─などをあげた。
全日病ニュース2018年4月15日号 HTML版
[1] 人生の最終段階の医療ガイドラインを改訂|第910回/2018年2月1日 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180201/news05.html
2018年2月1日 ... 高齢者の医療はこうでなければいけないという風潮を作らないよう気をつけるべき。
ACPなど本人がしっかりと考えられる取り組みが大事だ」と指摘した。 厚労省は
ガイドライン改訂と人生最終段階の医療の普及・啓発のあり方の報告書を ...[2] 人生の最終段階の医療ガイドライン改訂を了承|第913回/2018年3月 ...
https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20180315/news03.html
2018年3月15日 ... 人生の最終段階の医療ガイドライン改訂を了承|第913回/2018年3月15日号 HTML
版。21世紀の医療を考える「全日病 ... ガイドラインや人生の最終段階の医療に関する
普及・啓発が課題であり、同検討会は近く報告書をまとめる。[3] 全日病ニュース・紙面PDF(2018年3月15日号)
https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2018/180315.pdf
2018年3月15日 ... るガイドライン」は2007年に作成され. た。 ... を報告した。調査は、1992年以降5年. ごと
に実施。今回は2017年度調査の結. 果をまとめた。 人生の最終段階の医療・療養の
方針. に関する患者・家族等と ... く報告書をまとめる。同日は、報告書.
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