全日病ニュース

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豪雨災害の被災地にAMATを派遣

豪雨災害の被災地にAMATを派遣

DMATと連携し機動的な支援活動を展開。AMATの存在意義を示す

 西日本を中心に記録的な豪雨被害をもたらした「平成30年7月豪雨」の被災地に対し、全日病は、AMAT(災害時医療支援活動班、All JapanHospital Medical Assistance Team)を派遣し、岡山県を中心にDMATとの連携の下で支援活動を展開した。
 台風7号が九州に接近した7月3日以降に梅雨前線が活発化し、西日本各地で記録的な豪雨となった。消防庁のまとめによると、今回の豪雨災害による死者は全国で219人に及び、広島県で109人、岡山県で61人、愛媛県で26人となっている(7月24日現在)。また、床上浸水した住宅は1万4,441棟、床下浸水は2万225棟となった。厚生労働省によると、23日の時点で水道が復旧せず断水している世帯は1万3,241戸に及ぶ。連日酷暑が続き、被災地では避難所や復興に当たるボランティアなどから、熱中症で救急搬送される人が相次いだ。

対策本部で連絡調整に当たる猪口正孝全日病災対本部副本部長(AMAT本部統括)(左から2人目)

 

 情報を収集し迅速に出動
 全日病は、7 月7 日の段階でAMAT本部を立ち上げるとともに、EMIS等の情報から広島、岡山、愛媛、岐阜の被害が大きいと予想して、情報収集を開始。このうち広島県については、種村支部長より、AMATの出動を要する状況ではないと判断が伝えられた。岐阜県については、日本医療法人協会の伊藤副会長から支援の必要性はないとの情報を得た。
 岡山県からは、佐能支部長より県内の状況が把握できないとして支援の要請があった。愛媛県では、EMISの情報から大洲記念病院が浸水していることを把握したが、詳細な情報が確認できなかった。このため、対策本部は、岡山県と愛媛県にAMAT派遣の方針を決めた。
 先遣隊に登録している病院に打診し、8日の段階で、筑波記念病院と南多摩病院が出動した。両病院は、大阪の加納総合病院に一泊した後、翌9日から岡山に向かった。加納総合病院は愛媛に向かって出発した。
 筑波記念病院は、岡山県庁の災害対策本部にAMATの連絡担当として入り、南多摩病院は、避難所を巡回し、医療ニーズを調査した。
 大洲記念病院に向かった加納総合病院は、すでに病院が復旧作業中であることを確認した後に、松山経由で10日から岡山県に移動し、倉敷市に支援に入った。

 DMATと連携して支援を展開
 AMATは、被害が大きかった倉敷市を中心に活動し、10日から16日にかけて、最大6隊のAMATが被災地に滞在する形で支援活動を継続した。
 現地では、県の災害対策本部の下でDMATと協働して、DMATの手が及ばない避難所の支援を担当し、AMATの特徴である病院救急車の機動力を生かして真備を中心に避難所巡回診療を行った。また地元の消防力を補完する形で、医療が必要な傷病者を病院救急車を活用して医療搬送を行った。
 14日からは日本医師会のJMATが被災地に入ったが、AMATはDMATとJMATの間をつなぐ役割をはたした。一連の活動を通じ、AMATは機動力と展開力を示し、JMATとの違いも明らかとなった。
 猪口正孝全日病災対本部副本部長(AMAT 本部統括)は、今回のAMATの活動について、「会員病院の直接的な支援のニーズはなかったが、災害対策本部に入り、DMATと協力してDMATができない支援を担い、AMATの有用性を示すことができた」と述べ、AMAT 活動の意義を強調した。
 全日病事務局によると、今回の支援活動に参加したAMATは、7月8日~ 16日にかけて延べ13班・52名となった。AMATとして出動した病院は次の通り。
【AMAT出動病院】
筑波記念病院
南多摩病院
永生病院
松波総合病院
平成立石病院
花と森の東京病院
加納総合病院
京都きづ川病院
大阪暁明館病院
福岡新水巻病院
織田病院
赤穂中央病院
【全日病災害時医療支援活動班】
光生病院

岡山県庁内の災害対策本部

 被災者支援連絡協議会でAMATの活動を報告
 被災者健康支援連絡協議会(会長=横倉義武日本医師会会長)が7月13日に開かれ、今回の豪雨災害に際し、広島県、岡山県、愛媛県などの被災地で支援を行った行政や関係団体が情報交換を行った。
 同協議会には、日本医師会や全日本病院協会をはじめ医療・介護関係の21組織・40団体が加入している。会合には、厚労省や内閣府、総務省の行政も参加し、広島、岡山、愛媛の3県の医師会はテレビ会議で参加した。
 全日病は美原副会長が出席し、13班のAMATを派遣し、日本医療法人協会と協働で活動したことを報告した。また、全日病のAMAT活動について紹介し、AMAT病院として128病院、AMAT隊員として770名が登録していることを説明した。

 

全日病ニュース2018年8月1日号 HTML版

 

 

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  • [1] 平成29年度 第3回 AMAT 隊員養成研修(東京会場)開催のご案内

    https://www.ajha.or.jp/seminar/amat/pdf/171204_3.pdf

    2017年12月4日 ... 医療支援活動班を「All Japan Hospital Medical Assistance Team」略して「AMAT」と.
    定め、会員病院を始めとする民間病院や避難所の巡回診療、患者の病院間搬送、多様
    な医療. チーム等との連携を含めた災害医療活動が可能な体制を ...

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2016年5月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2016/160501.pdf

    2018年5月1日 ... 時医療支援活動班、All Japan Hospital. Association Medical Assistance Team). の
    派遣調整や支援 ... 医療機関も被災 全日病AMATが出動し支援活動を展開. ◇保険証
    なしで ...... 岡山県 中島病院 理事長 中島壮太. 高知県 朝倉病院 ...

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2015年6月1日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2015/150601.pdf

    2015年6月1日 ... ALL JAPAN HOSPITAL ASSOCIATION. N0.848 2015/6 /1 .... 最小規模は鳥取県の
    2.0億円で、以下、. 香川県(3.7億円)、 ... 岡山県(4.8億円)、青森県(4.9億円)、. 山梨
    県(4.9億円) ...... れた災害時医療支援活動班(AMAT=. All Japan Hospital
    Association Medical. Assistance Team)を配備する制度をも. ち、AMATを ...

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