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ホーム全日病ニュース(2018年)第931回/2018年12月15日号ICERによる価格調整は段階的な方式に...

ICERによる価格調整は段階的な方式に

ICERによる価格調整は段階的な方式に

【中医協・費用対効果評価専門部会合同会議】3段階で価格引下げの方向

 中医協の費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会(荒井耕分科会長)は12月5日、医薬品などへの費用対効果評価の本格導入の仕組みにおけるICER(増分費用効果比)を用いた価格調整は、連続的ではなく、段階的な数値とすることで概ね合意を得た。
 イメージ案では、ICER( 万円/QALY)が500~ 750万円、750~ 1,000万円、1,000万円超の3段階で価格を引き下げる。試行的導入では、1,000万円以上で加算部分に関し、9割を減額対象とした。
 ICER は、既存薬と比べて、QALY(質調整生存年)を1年延ばすという効果に対する追加的な費用を計算するもの。ICERの値に応じて、価格調整の割合を決定する。ICERの値が一つの値に定まれば、それに応じた価格調整の割合も定まる。しかし、ICERが一つに値に定まらず、一定の幅の複数の値になる場合、価格調整の調整率も一定幅になってしまう。
 今年度実施した試行的導入においても、ICERが一つの値に定まらなかった。厚生労働省の専門組織と企業の分析に違いが生じたという理由もあるが、同じ分析主体であってもデータは複数あり、ICERが一定の幅になりやすいことが確認されている。
 価格調整の方法を段階的にすれば、一定の幅であっても、同じ価格調整の水準に収まり、価格調整の調整率を決定できる。国立保健医療科学院の福田敬研究代表者による「費用対効果評価における科学的な事項の検討」の報告では、オーストラリアでは、各品目の評価結果を3万豪ドル(約245万円)の幅で公表しているという。
 ただし、段階的な方法を用いても、一定の幅が階段の段差の部分を超えて、跨いでしまう形になる場合は、調整率を決定できなくなるので、その取扱いは、今後の課題とした。その上で、これらの提案について、委員から概ね合意を得た。

 

全日病ニュース2018年12月15日号 HTML版

 

 

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