全日病ニュース

災害拠点病院等の燃料と水の確保の要件を議論

【厚労省・災害医療提供体制等検討会】相次ぐ災害に対応し診療継続を保障

　厚生労働省の救急・災害医療提供体制等のあり方に関する検討会（遠藤久夫座長）は３月29日、災害拠点病院などの燃料と水の確保に関して議論した。近年の相次ぐ災害を踏まえ、厚労省は、災害拠点病院や救命救急センター、周産期母子医療センターなど最後の砦となる病院の診療継続の保障を求めている。
　現行の災害拠点病院の指定要件では、通常時の６割程度の発電容量のある自家発電機等を保有し、３日分程度の燃料を確保するよう定めている。
　厚労省は、要件を明確にするため、「６割程度」を「６割以上」、「３日程度」を「３日以上」とすることの必要性で議論を促した。これに対し、全日病常任理事の猪口正孝委員は、「検査機器などの電力消費量は増加している」と指摘。「６割程度の発電容量」は変化し一定ではないため、「あまり数字を厳密にすべきでない」と主張した。
　水の確保については、病院が自ら水を確保する必要があることを明確化し、外部の支援を受ける給水協定の締結は、あくまで「必要に応じて」にとどめることを厚労省が提案した。猪口委員は、「水の確保に関しては、地震対策で地域差がある」と述べ、基準を設ける上で、慎重な対応を求めた。
　また、これまでは飲料水の備蓄を想定していたが、診療に用いる水の確保でも、定量的な要件を定める方針が示されている。
　そのほか、災害拠点精神科病院の要件と整備方針を概ね了承した。「24時間緊急対応し、災害発生時に被災地内の精神科医療の必要な患者の受入れおよび搬出を行うことが可能な体制を有する」ことをはじめ、詳細な要件を定めている。