全日病ニュース

災害医療コーディネーターの活動要領を了承

【厚労省・災害医療検討会】必要に応じて市町村にも配置

　厚生労働省の「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」（遠藤久夫座長）は２月６日、災害医療コーディネーターと災害時小児周産期リエゾンの活動要領を、大筋で了承した。厚労省は近く通知として活動要領を公表する。
　厚労省は2014年から、災害医療コーディネーター等を養成する研修を実施している。災害医療コーディネーター等の任命状況や運用は、都道府県により差がある。100名を超えるコーディネーターを任命する県もあれば、0名の県もある。
　厚労省が活動要領を作成し、コーディネーター等の役割や運用を明確にすることで、都道府県による任命が進むとの意見も出ている。
　厚労省が提示した活動要領案によると、災害医療コーディネーターは、災害時に、都道府県の保健医療調整本部または保健所・市町村の対策本部において、被災地の保健医療ニーズの把握、保健医療活動チームの派遣調整等に関する助言や支援を行うために、都道府県が任命する者。
　災害医療コーディネーターが所属する施設は、平常時に都道府県と協定を締結する。所属施設は、コーディネーターが研修や訓練に参加できるように協力する。災害時には、協定に基づきコーディネーターを派遣する。
　都道府県は、市町村と協議をして、必要があれば、市町村の災害対策本部にコーディネーターを配置できる。
　全日病常任理事の猪口正孝委員は、「東京のような人口集中部では市町村の（本部で活動する）コーディネーターが重要なので、活動要領にその位置づけを記載してもらうのはありがたい。市町村のコーディネーターも都道府県が任命するということだが、それで市町村は納得するのか」と質問。厚労省は、「市町村と都道府県が協議し、個別に検討してもらうのが適切だ」と回答した。
　災害時小児周産期リエゾンとは、小児・周産期医療に関する保健医療活動の調整について、災害医療コーディネーターをサポートする役割をもつ者で、都道府県が任命する。厚労省は同日の検討会に、災害時小児周産期リエゾンの活動要領案も示し、了承された。
　厚労省は、災害医療コーディネーターと災害時小児周産期リエゾンの活動要領を、災害対策基本法に基づく防災基本計画に反映する考え。
　今後のコーディネーター養成研修等においては、活動要領に合うようカリキュラムを更新する。
　一方、同日の検討会では、災害時に精神科医療の提供において中心的な役割を担う「災害拠点精神科病院」の指定要件案と整備方針案を厚労省が示した。
　整備方針案では、災害拠点精神科病院を「DPAT先遣隊を派遣できる医療機関」とした。2018年10月時点で、DPAT先遣隊を整備しているのは42自治体。医療機関数は64で、公立病院や大学附属病院が多い。
　災害拠点精神科病院を「都道府県内に１カ所を原則」とする案に対し、日本精神科病院協会会長の山崎學委員は「１カ所しかない災害拠点精神科病院が被災することもある」と懸念を示した。同検討会は災害拠点精神科病院についての議論を今後も続ける。