全日病ニュース

医師偏在対策、地域医療構想・在宅医療の整理を報告

【厚労省・医療計画等見直し検討会】年内に中間見直しをまとめる

　厚生労働省は３月29日の医療計画の見直し等に関する検討会（遠藤久夫座長）に、医師偏在対策の「第４次中間取りまとめ」、地域医療構想の進め方と在宅医療の充実に向けた「議論の整理」の３つを報告した。医療計画は2020年度に現行計画の中間見直しを行うことになっており、これらを反映させた見直し内容を年内にまとめる必要がある。さらに、５疾病・５事業に関する記載も充実させていく方向だ。
　都道府県が策定する医療計画は、2018年度に５年計画から６年計画となり、４年目以降となる中間で見直しが行われる。とりわけ、今回の中間見直しは、重要な節目になる。
　まず、地域医療構想が2018年度から第７次医療計画に加わり、進捗状況がチェックされる。
　在宅医療との関連では、医療計画を６年計画としたのは、介護保険事業（支援）計画が３年であり、介護との連携が重要視されたからである。医療・介護連携と関連性の深い在宅医療の充実が記載される予定であったが、療養病床再編が途上であったこともあり、2018年度時点では、各地域が在宅医療の需要と供給を見込むことができなかった経緯がある。
　そして、第４次中間取りまとめに基づく医師偏在対策については、地域で確保すべき目標医師数などを盛り込んだ医師確保計画を都道府県が医療計画に記載する。医師偏在対策の緊急性の高さから医師確保計画は、2020年度から開始することになっており、開始時は2020年度から2023年度までの４年計画。2024年度からは他の計画と歩調を合わせ、３年計画で、2036年度までの５回のサイクルを回し、どの地域でも医療需要を満たす医師を確保することを目標としている。
　今後の医療計画に反映させる◇第４次中間取りまとめ（医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会）◇地域医療構想の進め方に関する具体的対応方針の検証に向けた議論の整理（地域医療構想に関するワーキンググループ（WG））◇在宅医療の充実に向けた議論の整理（在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ（WG））に対して、委員から様々な意見が出た。
　地域医療構想の進め方では、同WG委員で全日病副会長の織田正道委員が、公立・公的病院が機能の重点化を図るために、代表的な手術など診療実績を分析し、一定の基準に合致した公立・公的病院を「代替可能性がある」と位置づけることについて、「今回、かなり踏み込んだ結論になった。まずは、これを都道府県がきちんと理解することが大事だ」と、議論の整理に示された方針が周知されることを求めた。
　また、日本医療法人協会会長の加納繁照委員は、公立・公的病院の重点化の議論をする上で、地域医療構想調整会議に公立・公的病院にどれだけの補助金等が投入されているかを示すよう、厚労省に要請した。
　在宅医療の充実では、高齢化による自然増とは別に、療養病床の再編などで在宅医療、介護需要の増加が見込まれる30万人程度のいわゆる「追加的需要」を、市町村が把握していないことの懸念が示された。「大都市に慢性期で介護・在宅医療を必要とする高齢者があふれ、行き場がなくなる可能性がある」との意見が出た。織田委員は、「市町村で多職種が集まる地域ケア会議を有効に活用して、ボトムアップで在宅医療と医療・介護連携が進む体制を強化すべき」と述べた。
　医師偏在対策の第４次中間取りまとめに対しては、加納委員が2022年度以降の医学部入学定員の臨時増員の取扱いを質問した。第４次中間取りまとめでは、医師少数区域のない都道府県は地域枠・地元出身者枠を要請できないと整理している。このため大都市でも病院の医師不足は深刻になる可能性があるとしたが、厚労省は第４次中間取りまとめの考え方に従い、今後、医学部の恒久定員と臨時増員の取扱いを検討すると答えるにとどめた。