全日病ニュース
次期改定に向け中医協分科会が入院の報告書まとめる
次期改定に向け中医協分科会が入院の報告書まとめる
【中医協・入院医療等分科会】急性期入院料や地ケア、回復リハ、療養病棟などを分析
中医協の入院医療等の調査・評価分科会(尾形裕也分科会長)は10月31日、2018年度診療報酬改定の影響調査を基にした入院医療に関する報告書をまとめた。総会に報告し、次期改定に向けた議論につなげる。以下で主に、急性期入院医療や地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟入院料、慢性期入院医療の内容を紹介する。
報告書では、「急性期入院医療」「地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料」「回復期リハビリテーション病棟入院料」「慢性期入院医療」「横断的事項(入退院支援や診療実績データの提出)」「医療資源の少ない地域」「入院医療機能の評価指標や測定方法」「DPC/ PDPS」を調査対象とした。
急性期入院医療については、2018年度改定で一般病棟入院基本料を急性期一般入院料1~7に再編するなど、評価体系を大きく変更した。しかし、改定前に7対1入院基本料を届け出ていた病棟のうち、2019年6月1日時点で93.5%が同じ評価である急性期一般入院料1を算定していた。理由では、「7対1相当の看護職員配置が必要な患者が多い」、「施設基準を満たしており、特に転換の必要がない」が多い。
「重症度、医療・看護必要度」は2018年度改定で従来の「1」とレセプト電算システムによる診療実績データを用いる「2」を導入した。2019年度調査では「1」と「2」の両方を用いる施設を含め、急性期一般入院料1の約3割が「2」を届け出ている。「2」は看護師の事務負担が軽減されるとの回答が多いが、記録時間は5分程度であり、効果は限定的との意見も付記した。
2018年度改定では「重症度、医療・看護必要度」の項目も見直し、基準値を25%以上から30%以上に引き上げた。その中で、新たに追加された「B項目のうち『診療・療養上の指示が通じる』または『危険行動』に該当し、A得点が1点以上かつB得点が3点以上」の基準(基準②)のみに該当する患者に焦点が当たった。
基準②のみに該当する患者は、年齢が高く、認知症やせん妄を有する割合が高く、要支援・要介護の割合が高く、自立の低い傾向にあった。該当患者割合が一般病棟よりも療養病棟での割合が高かったことから、急性期病棟を評価する指標としての適切性が議論になった。
しかし、基準②のみに該当する患者は、一般病棟では療養病棟に比べて「創傷処置」の割合が低く、「心電図モニターの管理」の割合が高いことなどを踏まえ、全日病副会長の神野正博委員が患者像の違いを強調。「基準②のみに該当する患者であっても、急性期病棟と療養病棟では日々の患者の状態の変化に差があると考えられることから、引き続き丁寧な分析を行うべき」との文言を加えた。
地ケア病棟とDPC、回復期リハ
地域包括ケア病棟入院料・入院医療管理料は、届け出病床数が増加傾向にあり、特に、入院料(管理料)1の届出の増加が顕著である。使い方をきくと、「自院の急性期病棟からの転棟先」が最も多く、次いで「在宅医療の後方支援として、急変時等の入院先」が多かった。
2018年度改定で導入した実績要件については、在宅患者訪問診療料の回数や介護保険サービスの提供で満たしている割合が高くなっている。分科会では、実績要件の見直しやACPの実施を入院料全体に広げることなどを求める意見が出た。
地ケア病棟に入院している患者のうち、いずれの疾患別リハビリテーションも実施していない患者が33%だったことから「少なすぎる」との意見が出た。実施している患者では、過去7日間で4回以下が25%、10単位以下が34%であった。ただ、「疾患別リハビリテーションができない患者には、それ以外の必要なケアを実施している」との神野委員の意見などを加えた。
同一医療機関で一般病棟(DPC)から地ケア病棟に移動する場合に、転棟時期がDPC/PDPSによる点数が地ケア病棟入院料の点数を下回るタイミングに偏っている事例がみられた。患者の状態に応じた転棟ではないため、分科会として、問題視する意見を明記した。また、地ケア病室に移動する場合は、DPC/PDPSによる点数を用いるなど不整合があることを指摘する意見もあった。
回復期リハビリテーション病棟入院料については、患者のADLを評価するFIM得点の変化を詳しく分析した。FIM得点は入院料1で37以上、入院料3・5で30以上を課している。FIM得点の変化は、発症から入棟までの期間が短いほど、得点の変化が大きく、早期の集中的なリハビリが効果を上げていることが確認された。
入棟時FIMと発症から入棟までの日数の関係を経年的にみると、発症から入棟までの日数によらず、入棟時FIMが低下傾向にある。一方、入棟時FIMとFIM得点の変化は、入棟時FIMの値によらず、FIM得点の変化が増加傾向であった。これらの関係性は、疾患区分ごとまたは入院料ごとにみても、同様の傾向であった。このため、「FIM測定の精度の担保等を含め、適切な運用を促す仕組みが必要ではないか」との意見があった。
慢性期入院医療については、2018年度改定で療養病棟入院基本料1、2が看護職員配置20対1に統一され、25対1は「経過措置1」(「2」の10%減算)、30対1は「経過措置2」(「2」の20%減算)として残った。療養病棟入院基本料の届出病床数は近年増加傾向だが、療養病棟入院基本料(20対1)の割合が増加している。
一方、改定前に経過措置(25対1を満たさない、または医療区分2・3患者割合50%を満たさない)を届け出ていた病棟のうち、2019年6月1日時点で経過措置1を届け出ていた病棟は約6割だった。理由では「医療区分2・3の該当患者割合を満たすことが困難」が最も多くなっている。
経過措置1を届け出ている病棟に今後の意向をきくと、「一部または全部を他の病棟等に転換」と回答した病棟は2019年度調査で48%だったが、「現状維持」と回答した病棟は53%で、「現状維持」との回答の方が多い。
入院患者の状態では、医療区分3で該当患者割合が最も高いのは「中心静脈栄養」(入棟時17%)、医療区分2では「1日8回以上の喀痰吸引」(入棟時25%)となっている。
「中心静脈栄養」に対しては、入棟時および調査基準日に「中心静脈栄養」に該当していた患者の在院期間が、約半数で半年以上となっており、感染症のリスクを含め、不適切との意見が出た。栄養の投与方法として、「中心静脈栄養」に代わる手段がない患者も多く入院していることに留意しつつ、「患者・家族への丁寧な説明や、長期に留置する場合の適切な管理を推進する必要があるのではないか」との神野委員の意見を明記した。
全日病ニュース2019年11月15日号 HTML版
[1] 亜急性期入院医療管理料を算定した患者の診療内容に関する研究
https://www.ajha.or.jp/about_us/thinktank/pdf/150817.pdf
... 10 月分の医科入院と DPC. のレセプトサンプリングデータセットを用いて、同月内に
亜急性期入院医療管理料 1 もし .... おける DPC レセプトは、同月内に DPC/PDPS に
基づいて支払いをした患者の全データを ... レセプト電算コード(診療行為). 手術(技術度
).[2] 疑義解釈資料の送付について
https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2018/180402_11.pdf
2018年3月30日 ... 場合、内服薬について、レセプト電算処理システム用コードとして該当する薬. 剤が入力
され ... の対象から「DPC対象病院において短期滞在手術等基本料2又は3の対象と
...... 答) DPC対象病院においては、DPC/PDPSによる算定を行う.[3] DPC制度への参加等の手続きについて(通知)
https://www.ajha.or.jp/topics/admininfo/pdf/2013/130830_6.pdf
2013年8月26日 ... 平成25年8月21日に開催された中央社会保険医療協議会において、参考資料「DPC/
PDPSの. 対象病院と準備病院の ... ③ 標準レセプト電算処理マスターに対応したデータ
の提出を含め厚生労働省が毎年実施す. る「DPC導入の影響評価に ..... ロ データ作成
のためのシステムの構築が困難だったため。 ロ DPC制度への参加を ...
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