全日病ニュース

機能強化加算の趣旨を患者に説明

【中医協総会】支払側が算定の際の要件化求める

　中医協総会（田辺国昭会長）は10月30日、かかりつけ医機能などをテーマに議論した。初診料に加算できる機能強化加算（80点）について、加算の趣旨を患者に伝えることを要件化することをめぐり様々な意見が出た。小児かかりつけ診療料等では、対象患者を３歳未満から６歳未満に拡大することに賛意を示す意見が相次いだ。紹介状なしで受診した場合に、定額負担が義務化される病院の拡大も論点となった。
　2018年度診療報酬改定で新設した機能強化加算は、地域包括診療料・加算や在宅時医学総合管理料などを届け出ている200床未満の医療機関が算定できる。かかりつけ医機能を評価したものだが、支払側の委員からは漫然と算定されているとの不満が出ている。
　同日示されたデータでは、昨年７月１日時点の届出医療機関は診療所が１万1,793施設、病院が1,048施設。算定回数は６月審査分で178万3,064回となっている。算定された患者に、「かかりつけ医の役割に関する説明」の有無をきくと、35％が「受けた」と回答している。
　支払側からは、これまで対象患者を限定すべきとの意見も出ていたが、今回は医療機関がかかりつけ医を担う体制の評価との趣旨に理解を示し、加算の位置づけを認めた上で、加算の趣旨を患者に伝えることを要件化すべきと主張した。なお、現行ではかかりつけ医機能として実施している対応を院内掲示することが要件となっている。
　これに対し、日本医師会の松本吉郎委員は、「加算の趣旨を患者に説明することは大切だ。しかし、たくさんある基本診療料の加算の趣旨を患者一人ひとりに説明すれば、相当時間がかかる。機能強化加算だけを説明するのもそぐわない。それは、むしろ保険者側の仕事ではないか」と、医師が口頭で説明することには難色を示した。
　ただ、患者への調査では、「費用についての院内掲示」、「事務スタッフによる説明」などの要望の回答があり、文書での情報提供を含め、今後、具体的な論点が示される見込みだ。
　小児かかりつけ診療料等については、対象患者を３歳未満から６歳未満に拡大することが論点になった。厚生労働省は、特にアレルギーなどで乳幼児期から幼児・学童期に至るまでの継続的な管理が必要との資料を示した。論点に対し、賛意を示す意見が相次いだ。「学童期の対応はどうするのか」との意見も出た。小児かかりつけ診療料等の加算である小児抗菌薬適正使用支援加算（60点）も、３歳未満から６歳未満に拡大する方向になっている。
　紹介状なしの大病院受診時の定額負担は、2018年度改定で対象病院を特定機能病院と許可病床400床以上の地域医療支援病院に拡大した。定額負担の最低金額は初診が5,000円、再診が2,500円となっている。2018年度改定で新たに定額負担が導入された病院の紹介状なしの患者は2017年10月と2018年10月を比較し、47.1％から42.7％まで下がった。委員からは、次回改定で、200床以上の地域医療支援病院まで拡大すべきとの意見が出た。
　全日病会長の猪口雄二委員は、「2018年度改定で基準が一般病床から許可病床になった。許可病床であることにより、対象になった病院の定額負担の状況を把握したい」と要望した。また、「近くに定額負担の対象になる病院しかない地域もある。定額負担を求めないことができる患者の状況を整理し、仕組みを設けるべき」と述べた。厚労省は実態を把握する仕組みを設けるとの考えを示した。