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ホーム全日病ニュース(2019年)第952回/2019年11月15日号病院ブランディングと街づくり(省略)...

病院ブランディングと街づくり

病院ブランディングと街づくり

【広報委員会】広報委員会委員長 高橋 肇

 病院のあり方は、医療・介護の連携の枠を超え「街づくり」にまで視野を広げることが必要な時代となってきた。各病院が地域のニーズや特性を活かし、自院の固有の価値を創出していくことがブランディングにつながっていく。広報活動を通じ、様々な地域でのイベントや社会貢献事業、地域コミュニティの活性化、ボランティアの育成など地域に根差した活動を実践し、自発的に地域課題の解決に取り組んでいる3病院にご講演頂いた。発表されたご本人からの講演要旨を掲載するので参考にされたい。

医療法人社団おると会 浜脇整形外科病院 理事長 浜脇澄伊
「整形外科単科病院としての生き残り」
 当法人は広島市の中心にある整形外科単科病院である。ブランディングを考えるに当たり、健全な経営が出来ていることが前提で色々な取り組みが出来る。この20年で事務方の強化を中心に組織化してきた。これからの医療経営において、得意分野を極め、人を育成し、病院経営資源の全体最適化をはかり、保険に依存しない医療が出来たらと思っている。
 そうする中で院内外への当院におけるいい面を伝えていくために、いくつかの取り組みを試みた。マスコットキャラクター「豆はま」やタグラインを作り、HPをリニューアルした。
 地域につながるために「からだの音プロジェクト」を6年前にスタートした。こどもを中心に3世代にわたる人をターゲットに整形外科だからこそできる活動を始めた。年に一度冊子を55,000部作製し、広島市内の幼稚園、保育園、小学校、小児科などのクリニックにスタッフが直接100か所以上に無料配布もしている。今まで「浜脇」を知らなかった方々にも知っていただくきっかけの一つになっている。外部からの講師依頼も増えている。
 今後も「浜脇」のブランド価値を訴求して、地域の方々のためになくてはならない病院でありつづけたい。

社会医療法人社団宏潤会 大同病院 理事長 宇野雄祐
「病院が考える Creating SharedValue」
 当法人は、高度急性期医療と地域包括ケアマネジメントの2軸で地域に貢献しようと尽力している。創立80年を迎え、改めて「ブランディング」を整理した。ブランドを、人々との関係性そのものと定義した。法人の理念を具現化し、これを伝えるための施策を継続し、ブランドを育てることをブランディングと考える。まずブランド価値の言語化が大切である。これには、ブランドコア(ブランド価値のエッセンス)、ブランドパーソナリティ(ブランド価値の擬人化)、ブランドポジショニング・ステートメント(ブランドへのイメージが湧いてくる文章)がある。
 患者・利用者とその家族を含む地域のステークホルダーにブランド価値を認識してもらい、動いてもらってはじめて街づくりが始まる。そのためには、コミュニケーションを意識したブランド価値の発信が重要である。ステークホルダーとの接点は少なく、ブランディングではメッセージの配信に全力を尽くす必要がある。ただし、施策を実行しても、ステークホルダーがブランド価値を正確に認識してくれているとは限らない。ブランド価値の現状を把握する指標を設定し、確認し続けなければならない。

医療法人社団医仁会 ふくやま病院理事長 譜久山 剛
「まちづくりについて弱小病院がお手伝いできること」
 1974年に開業した譜久山外科から3期に増改築を繰り返したふくやま病院。当然の如く発生した動線の複雑化と1995年の阪神・淡路大震災に追い討ちをかけられた感のあるジョイント部分の雨漏りに悩んでいた。そんな中で、創業者の譜久山當悦が1997年、脳出血で倒れた。
 建て直すか、病院運営を諦めるか。長男の譜久山剛と次男の譜久山仁は二択で考えざるを得ない状況で新築移転を選択した。
 新しい地域でどのような機能が求められるか。自分たちのやりたいこと(=地域のかかりつけ医と緩和ケア)と地域に求められていることを両立するために、地域に入り込んでニーズを掘り起こす試みをstudio-Lの山崎亮さんと行なった。ワークショップを繰り返し、『また来てねといえる病院』のコンセプトを立てた。地域からは『災害時にも頼れる場』というお題をいただいた。安心して住み続けられるまちを作るため、地元新聞と組んで、地域への情報発信を行なっている。移転から3年。地域に必要な病院であるため、これからも精進していく。

 

全日病ニュース2019年11月15日号 HTML版

 

 

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    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20190801/news07.html

    2019年8月1日 ... 広報委員会「病院ブランディングと街づくり」 座 長:高橋(広報委員会)、小森直之(
    広報委員会) 浜脇澄伊(浜脇整形外科病院) 宇野雄祐(大同病院) 譜久山剛(ふくやま
    病院). 医療保険・診療報酬委員会「将来に向けた診療報酬の在り方( ...

  • [2] 2019.8.1 No.945 - 全日本病院協会

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2019/190801.pdf

    2019年8月1日 ... 全日病2,551の会員病院中DPC対象. 病院は617、準備病院 ...... 病院ブランディング
    街づくり」. 座 長:高橋(広報委員会)、小森直. 之(広報委員会). 浜 脇澄伊(浜脇整形
    外科病院). 宇 野雄祐(大同病院). 譜 久山剛(ふくやま病院).

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