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ホーム全日病ニュース(2019年)第954回/2019年12月15日号療養病棟入院基本料の「経過措置1」は延長

療養病棟入院基本料の「経過措置1」は延長

療養病棟入院基本料の「経過措置1」は延長

【中医協総会】データ提出加算の必須化の対象を拡大

 中医協総会(田辺国昭会長)は11月22日、入院医療に関し療養病棟入院基本料とデータ提出加算をテーマに議論を行った。療養病棟入院基本料の「経過措置1」は延長、「経過措置2」は廃止することで概ね合意を得た。データ提出加算は、出来高のレセプト情報などのデータ提出が必須の病院を拡大し、200床未満の療養病棟入院基本料と回復期リハビリテーション病棟入院料5・6も対象とする方向になった。
 療養病棟入院基本料は、2018年度診療報酬改定で、看護配置が20対1に統一され、入院料1は医療区分2・3の該当患者割合が8割、入院料2は5割になった。ただし、「看護配置20対1または医療区分2・3 の患者割合50%」が満たせず、入院料2が1割減算される「経過措置1」と、看護配置25対1が満たせず入院料2の点数が2割減算される「経過措置2」がある。
 経過措置は2019年度末までの2年間。「経過措置2」は、2018年度に介護医療院が創設されたことに伴い、それまでの経過措置がさらに2年間延長された。
 「経過措置1」の施設は2019年10月1日時点で173施設、8,631床。支払側は、転棟の意向に関する質問で「現状維持」と回答する施設が少なくないことを問題視しつつも、経過措置の延長に同意した。一方、「経過措置2」を届け出ている施設はわずか4施設、157床。診療側は、各施設の状況を把握した上で、経過措置の廃止を容認した。
 今回、入院医療等の調査・評価分科会で詳細な調査が実施されたのが、医療区分3に該当する「中心静脈栄養を実施している状態」だった。療養病棟入院基本料1を算定する病床の医療区分3の患者のうち、54%が該当。中心静脈栄養の実施を示す高カロリー輸液を投与した日数の平均をみると、30日未満が最も多かったが、90日以上の病院もあった。ガイドラインに中心静脈栄養の期間に定めはないが、長期であれば感染症のリスクが高まる。
 厚労省の示した論点では、医療区分の評価を行う際に、「必要性の確認」を行うことを要件に求めるとした。あわせて、胃瘻増設時に必要性や管理の方法を患者・家族に説明していることを踏まえ、中心静脈栄養についても、長期の栄養管理を目的に留置する場合は、「患者または家族等に説明」を行うとした。これらの論点を概ね了承した。
 膀胱留置カテーテルについても、中心静脈栄養と同様の問題が指摘された。療養病棟で24%の患者に留置されており、そのうち75%の患者が3カ月以上留置されていた。一方、排尿自立指導料を算定している患者は、算定していない病棟に比べ、留置中の患者が少なく、抜去後の患者が多かった。
 このため、排尿自立指導料の算定を増やす観点から、要件を見直す。入院医療等の調査・評価分科会の調査では、算定しない理由で「経験を有する医師の確保が困難」が4割で最も多く、これを踏まえた見直しを検討する方向だ。
 データ提出加算の届出の必須化は、2018年度改定で急性期以外の病棟にも拡大され、経過措置を除くと、200床未満の療養病棟入院基本料と、200床未満の回復期リハビリテーション病棟入院料5・6以外は対象となった。今回、厚労省はこの部分も必須化の対象とすることを提案した。
 ただし、電子カルテシステムが導入されていないなど正当な理由があれば、データが未提出でも、入院基本料を算定できる経過措置を設けるとした。あわせて、現行の経過措置は廃止を提案した。データ提出の必須化の拡大に対し、異論は出なかった。
 なお、入院医療等の調査・評価分科会では、療養病棟入院基本料、回復期リハビリテーション病棟入院料5・6ともに、50床で区切って必須化すれば、各病棟類型の9割を超えるため、50床以上が適当との意見が出ていた。
 また、作成するデータの質を評価するための現行の「提出データ評価加算」は、未コード化傷病名の割合が10%未満である場合を評価している。未コード化傷病名の割合が平均4%であるとの調査結果があり、それを踏まえた見直しを検討する。ただ、データ提出病棟の対象が拡大され、平均も下がることが想定される。このため、全日病会長の猪口雄二委員は、対象の拡大を見込んだ配慮を求めた。

 

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