全日病ニュース

全日病ニュース

ホーム全日病ニュース(2019年)第954回/2019年12月15日号病院機能評価受審支援相談事業(訪問アドバイス)を受けて

病院機能評価受審支援相談事業(訪問アドバイス)を受けて

病院機能評価受審支援相談事業(訪問アドバイス)を受けて

医療法人光仁会西田病院     
病院機能評価委員会(臨床検査科長) 重松 聡

 当院は、佐賀県伊万里市の西部に位置し、病床数118床の地域に根ざした病院です。急性期病棟、回復期リハビリテーション病棟、緩和ケア病棟および透析を有し、入院から在宅への支援を行っています。
 病院機能評価においては、過去3回の訪問審査を受け、マニュアル・手順の作成、見直しを行い、医療の質向上に向けて日々努力をしているところです。
 患者に対して提供する医療の質・内容・考え方等が、ここ15年で変化しています。この度、全職員の質向上を目指す目的で評価項目への取り組み姿勢も含め、アドバイスを頂きたいと思い応募をさせて頂きました。また、電子カルテになり初めての審査となりますので、我々が気付いていない点があればアドバイスを求める考えでもありました。
 【一般病院1】で受審する当院に対し、当日は診療、看護、事務管理分野3名のアドバイザーの先生方が来院され、約3時間の短い時間ではありましたが、とても有意義な時間でした。
 診療部門では、21項目の質問についてアドバイスを頂きました。特に診療記録の監査について、電子カルテ導入後は量的監査はできているものの質的監査がなかなかできていませんでした。また薬剤部門についても、根拠に基づくアドバイスを頂きました。
 診療カンファレンスなどは多職種カンファレンスでも良く、クリニカルパスは現在使用している種類の明確化と使用率が重要で、作成後はバリアンス分析が必要とのことでした。医師はICの記録は義務であるとはっきり言われました。外来での救急車来院時、CPAなどの場合、臓器提供のネットワークに連絡が可能か?などの指摘を頂きました。
 看護部門では、14項目の質問についてアドバイスを頂きました。入院診療計画書・看護計画などは、個別性が重要視され、同意を得た記録が必要となり、記録をすることの大切さを再認識しました。また診療計画書は、入院の患者に関わる多職種担当者の記名が必要であり、多職種がチームで関わっていることやケアプロセスにおいては典型的な症例を準備し、当院の取り組みを積極的にアピールすることも重要とのアドバイスを頂きました。
 事務管理部門では、9項目の質問についてアドバイスを頂きました。喫煙などの職員へのアンケートでは、『現状の把握なのか? 安全衛生面なのか?』など目的を明確にし実施する必要がある。ストレスチェックなどは産業医の関わりはどうなっているのか? また、病室に配置している温湿度計は、置いているだけでは意味を成さず、目的が重要とのことでした。

 次に病棟ラウンド、最後に今回の重要課題である『ケアプロセス調査』が電子カルテを閲覧しながら行われ、多くのアドバイスを頂きました。
 総合的には、『当院に適したマニュアルおよびフローチャートを作成し、それに従って業務が運用されている』ことがポイントになってきます。形骸化したマニュアルではなく、背伸びをせずに根拠に基づいた当院に適した活きたマニュアルを更新し、全職員が実践していくことが肝要であり、頭では解っていてもなかなかできなかったのがスッキリとなりました。
 医師・看護師の説明・指導などの内容が、患者・家族に対して理解度・反応までしっかりとした記録を残すことが肝要です。今後の課題は、委員会・会議・カンファレンス等での決定事項などを参加していないスタッフに対して情報共有をいかにして行うか? 工夫をいかにするか?だと思っています。
 今回訪問アドバイスを受けて、『目から鱗』の箇所があり、まだまだ取組みが甘いところがあり、改めて気を引き締めて取り組まなければと痛感しました。

 

全日病ニュース2019年12月15日号 HTML版