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ホーム全日病ニュース(2019年)第954回/2019年12月15日号次期診療報酬改定で4項目の緊急要望書を提出

次期診療報酬改定で4項目の緊急要望書を提出

次期診療報酬改定で4項目の緊急要望書を提出

【日病協】働き方改革への対応で基本診療料の増額求める

 日本病院団体協議会は11月22日、次期診療報酬改定の緊急要望書を厚生労働省の濱谷浩樹保険局長に提出した。次期診療報酬改定に対する要望書は今回で3回目だが、中医協で次期改定に向けた本格的な議論が進んでいることを踏まえ、緊急要望として、4項目をまとめた。特に、医療従事者の働き方改革への対応で入院基本料の増額を「強く要望する」と強調した。
 同日の日病協の代表者会議で要望書の内容を了承した。①医師をはじめとする医療従事者の働き方改革推進支援のための入院基本料の増額②医師事務作業補助体制加算の対象拡大、看護補助加算および病棟薬剤師業務のさらなる評価③地域包括ケア病棟(病床)は、本来の目的である地域包括ケアを支えるために、「急性期後の加療」「在宅等の患者の増悪への対応」「在宅療養の支援」がバランスよく機能することへの評価④急性期の重症度、医療・看護必要度については、認知症、せん妄、問題行動等への対応の評価の継続─の4項目とした。
 医療従事者の働き方改革に対応するための評価は次期改定の重要事項となっている。ただ、入院基本料の増額に対しては、中医協の支払側委員が明確に反対を唱えており、実現は難しい。なお、厚労省は、入院基本料等加算での対応を論点として示している。
 医師事務作業補助体制加算などの評価も、医療従事者の働き方改革への対応だ。医師から他業種へのタスク・シフトを行う場合の支援を求める。医師事務作業補助体制加算や病棟薬剤業務実施加算は中小病院が算定しにくい要件となっていることから、改善を求めており、その方向での議論が中医協で行われている。
 地域包括ケア病棟(病床)については、地域包括ケア病棟を備える大病院で、3つの機能のうち、「急性期後の加療」としての活用の仕方に偏りがあるとのデータが、中医協の入院医療等の調査・評価分科会が行った調査などから得られている。要望書では、地域包括ケアを支えるという本来の趣旨を踏まえ、3つの機能が「バランスよく機能すること」の評価を求めた。
 一般病棟の「重症度、医療・看護必要度」における該当患者の基準の一つである、いわゆる基準②「B項目のうちB14またはB15に該当し、A得点が1点以上かつB得点が3点以上」は、認知症、せん妄、問題行動等への対応を評価したもの。中医協の議論では、支払側の委員が、急性期入院医療を評価する基準として、基準②の妥当性を疑問視している。日病協としては、重要な指標であり、継続して評価すべきであることを主張した。

 

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