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ホーム全日病ニュース(2019年)第954回/2019年12月15日号計画作成前の疾患別リハ料の算定を可能に

計画作成前の疾患別リハ料の算定を可能に

計画作成前の疾患別リハ料の算定を可能に

【中医協総会】事務負担の軽減で様式の簡略化も図る

 中医協総会(田辺国昭会長)は11月27日、疾患別リハビリテーション料などを議論し、専門職種の配置に関する評価や一定の要件緩和で合意を得た。有床診療所は、地域に密着した機能に対する評価を議論したが、支払側が慎重な姿勢を示した。また、支払側の委員が義肢装具の技術料について、「診療報酬と療養費の二重取りがある」と主張。全日病会長の猪口雄二委員をはじめ診療側の委員は、「技術料の趣旨が理解されていない」と反発した。
 脳血管疾患リハビリテーション料や呼吸器リハビリテーション料において、言語聴覚士(ST)の配置に関する規定はないが、脳卒中患者の言語障害や発声発語器官の機能低下に対するSTの介入による効果が確認されている。このためSTの配置の評価を検討する。
 がん患者リハビリテーション料は、例えば、乳がんの場合は「リンパ節郭清を伴う乳房切除術」が行われた患者など対象が明確に規定されている。しかし、がんの罹患率が高まり、治療選択肢も多様化していることを踏まえ、要件の緩和を行う。摂食機能療法については、摂食・嚥下障害看護認定看護師を含む摂食・嚥下チームの介入が肺炎発症の低下に効果があることから、経口摂取回復促進加算の多職種によるカンファレンス等の要件を見直す。これらの論点について、概ね合意を得た。
 疾患別リハビリテーション料を算定するタイミングに配慮した要件緩和も概ね了承された。疾患別リハビリテーション料は基本的に、実施計画を定め、内容を患者に説明し、診療録に記載するまで算定できない。しかし、実施計画を定めるのに時間がかかり、リハビリの開始時期が遅れることがある。このため、計画作成前でも医師の具体的な指示に基づき提供する場合には、疾患別リハビリテーション料の算定を認める。また、リハビリテーション実施計画書とリハビリテーション総合実施計画書を同一の様式に整理し、重複部分をなくすなど、書類作成業務の簡略化・効率化を図る。
 猪口委員は、「現場の実態に合わせて、要件緩和など負担軽減につながる見直しが必要だ」と歓迎した。
 有床診療所については、◇医師や看護師を現行の各加算の配置基準より多く配置した場合の評価◇急性期病棟からの患者を受け入れる場合に加算できる有床診療所一般病床初期加算の算定も14日まで認める◇他の医療機関と連携した管理栄養士による栄養食事指導の評価を病床の有無によらず評価─が論点になった。診療側からは賛意が示されたが、支払側からは慎重な対応を求める意見が出た。
 義肢装具の技術料については、医療機関と義肢装具業者の連携の実態を踏まえた評価体系の見直しと、「採型」に関する処置料の見直しを論点とした。健康保険組合連合会理事の幸野庄司委員は、「要件を満たさない処置料の算定が野放しになっている」と主張。猪口委員は「一部の不正事例は残念だが、通常は医師の指示の下に、様々な調整を経て製作される。いい加減なものは作れない」と反論した。

 

全日病ニュース2019年12月15日号 HTML版

 

 

全日病サイト内の関連情報
  • [1] 中医協・退院患者調査> DPC病院で在院日数短縮進む

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20190301/news11.html

    2019年3月1日 ... 厚生労働省は2月13日の中医協の基本問題小委員会(田辺国昭小委員長)に、DPC
    制度導入の影響を評価するための2017年度「退院患者調査」の結果を報告した。特に
    大部分を占めるⅢ群のDPC対象病院で、在院日数の短縮や病床利用率の上昇が続い
    ていることが確認できた。 ... DPC 準備病院は267病院、DPCデータを提出する出来高
    算定病院は1,771病院となっている。 ... 中医協(田辺国昭会長)は3

  • [2] 患者の状態に応じた病棟の評価などを検討|第891回/2017年4月1日 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20170401/news03.html

    2017年4月1日 ... 中医協(田辺国昭会長)は3月15日に総会を開き、入院医療の評価をめぐり議論した。
    厚生労働省は一般病棟入院基本 ... 医師以外の職員数を1病床当たりでみると、約95
    %で看護職員以外の職員を配置、職員数全体の約2割となっている。全日病副会長の
    猪口雄二 ... DPC 対象病院で、1日当たり包括範囲出来高点数や効率性指数、複雑性
    指数は7対1と10対1で重複する範囲が広い。平均在院日数短縮を評価 ...

  • [3] 全日病ニュース・紙面PDF(2017年10月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2017/171015.pdf

    2017年12月13日 ... 会(田辺国昭会長)に、診療報酬の算. 定における事務の効率化・合理化策や ... 336
    区域で病床不足(病床機能報告<病. 床の必要量)である一方、急性期では ... 急性期
    DPC にて出来高算定できる薬. 剤との統一的な扱いにして欲しい等が.

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