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ホーム全日病ニュース(2019年)第954回/2019年12月15日号在宅歯科医療の体制構築の指標を第7次医療計画に追加

在宅歯科医療の体制構築の指標を第7次医療計画に追加

在宅歯科医療の体制構築の指標を第7次医療計画に追加

【厚労省・在宅医療WG】アウトカム指標は第8次計画に向け検討

 厚生労働省の在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(田中滋座長)は11月27日、2020年度に実施する第7次医療計画の見直しで指標例に追加する項目を議論した。厚労省は在宅歯科医療の体制構築を進めるための指標を追加する案を示し、WGは了承した。WGの結論は医療計画の見直し等に関する検討会に報告される。
 指標例に追加するのは、ストラクチャー指標の「在宅歯科診療に関する連携拠点数」「訪問口腔衛生指導を実施している診療所・病院数」「在宅で活躍する栄養サポートチーム(NCT)と連携する歯科医療機関数」の3点と、プロセス指標の「歯科衛生士を帯同した訪問歯科診療を受けた患者数」「訪問口腔衛生指導を受けた患者数」の2点の計5点。
 第7次医療計画では、訪問診療を実施する診療所・病院数について、都道府県は原則として数値目標を設定することになっている。全日病副会長の織田正道委員は、「医療機関数だけでなく、訪問診療を受けた患者数についても原則、数値目標を設定すべき」と主張。アウトカム指標の設定についても、例示するよう求めた。厚労省は、「第8次医療計画に向けて検討する」と回答するにとどめた。
 厚労省は、第8次医療計画に向けて、都道府県が具体的な数値目標を記載すべき項目に、訪問看護に関わる項目を加える方向を示した。日本看護協会常任理事の吉川久美子委員は、「2025年に訪問看護師を12万人にまで増やすには、第8次医療計画では遅い」として、第7次医療計画の中間見直しに反映するよう求めた。機能強化型訪問看護ステーション数を指標に追加することも要請した。これに対し、厚労省は、第7次医療計画の見直しでの反映は難しいとして、今後の課題と位置付けた。
 日本慢性期医療協会副会長の池端幸彦委員は、指標・目標の追加を提案する委員らに対して、「第8次医療計画での検討課題」と回答し続ける厚労省の姿勢に「ここまで10回も議論してきたのに、最後のまとめがこれでは残念」と苦言を呈した。
 厚労省は「KDBのデータを集計中で、年度内に都道府県に示す。KDBデータを使った指標を今設定してもらうことが、必ずしも在宅医療の提供体制の推進につながるとはいえない。まずは、データの使い方を都道府県に考えてもらう。国は丁寧に都道府県をサポートしていく」と回答した。
 一方、今後の在宅医療提供体制について、全国有床診療所連絡協議会常任理事の猿木和久委員が災害時に支援が必要な患者リストを地域の医師会・看護協会に提供する必要があることを指摘し、金沢市保健局担当局長の越田理恵委員が、「必要な情報を提供することについて国が指針を出せば地方自治体は動きやすい」と同調した。織田委員は、「個人情報保護法により情報共有ができないことが多く、医療現場は困っている。本人の了解が得られ、こうすればいいという方法があれば、ぜひ教えてほしい」と要望した。

 

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