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ホーム全日病ニュース(2019年)第954回/2019年12月15日号機能が偏る大病院の地ケア病棟は適正化

機能が偏る大病院の地ケア病棟は適正化

機能が偏る大病院の地ケア病棟は適正化

【中医協総会】DPC/PDPSからの転棟での算定は統一

 中医協総会(田辺国昭会長)は11月29日、ポスト・アキュートの機能に偏る大病院の地域包括ケア病棟を適正化するとの認識で一致した。自院の一般病床から転棟した割合や病床規模で地域包括ケア病棟入院料に新たな基準を設ける方向だ。DPC/PDPSで一定の入院期間が過ぎて、点数が下がると、地ケア病棟に転棟させる問題に対しては、DPC/PDPSでの算定に統一することで概ね了解が得られた。
 地ケア病棟の役割は、①急性期からの受入れ②在宅療養患者の受入れ③在宅復帰支援がある。しかし、入棟前の場所が「自院または他院の一般病床」の患者が100%の病院が割合別で最も多く、このうち「自院の一般病床」の占める割合が100%の病院が最も多い。特に、400床以上の病院でその傾向がある。また、DPC/PDPSで入院期間が「Ⅱ」になると、多くの診断群分類で、地ケア病棟入院料のほうが点数が高くなる。患者の状態ではなく、点数の差で転棟を決めていると想定される事例がある。これらの問題に対し、次期診療報酬改定で適正化の対応を図る。
 地ケア病棟の要件で、実績部分の「在宅医療等の提供」の要件を満たす項目が偏っていることや疾患別リハビリテーションの実施割合が低い病院があること、在宅復帰率7割以上の妥当性に対しては、支払側から厳格化を求める意見が出た。しかし、全日病会長の猪口雄二委員らは、現場の実態を説明し、基本的には現行通りとすることに理解を求めた。看取りに対する指針の策定を求める要件の拡大では賛否があった。
 回復期リハビリテーション病棟入院料で実績指数が要件の日常生活動作の指標であるFIM得点については、発症から入棟までの日数によらず、入棟時FIMが低下傾向であることなどが問題視されている。経営的な観点で人為的に、入棟時FIMが調整されることを防ぐため、患者・家族にFIMの記載内容を説明する方向になった。
 回復期リハ病棟を退棟した患者の約6割が外来でのリハビリが必要であることを踏まえ、回復期リハ病棟に外来リハビリテーションの要件を設ける論点も示された。猪口委員は、「遠い場所に通院するよりも、身近でリハビリが実施できる環境が重要」と指摘した。
 2018年度診療報酬改定で新設した入院時支援加算については、「退院先の見通しが立てやすくなった」などの効果が確認され、さらに充実した評価を設ける方向になった。猪口委員は、同加算や入退院支援加算で配置を求める専従要件の考え方の緩和を要望した。一方、高齢者の退院後の生活を念頭に置いた取組みを評価する総合評価加算は、入院時支援加算と類似の評価を行っているため、統合を示唆する論点が示された。ただ、猪口委員は、「総合評価加算の算定は増えており、対象も異なるので、統合は難しい」と指摘した。

 

全日病ニュース2019年12月15日号 HTML版

 

 

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  • [1] 地域包括ケア病棟や回復期リハ病棟の次期改定への課題を議論|第 ...

    https://www.ajha.or.jp/news/pickup/20190815/news01.html

    2019年8月15日 ... 地域包括ケア病棟の機能はポストアキュート以外を重視 地域包括ケア病棟入院料は、
    ①急性期治療を経過した患者の受入れ②在宅で療養を行っ ... FIMは全入院料で改善と
    のデータ 回復期リハビリテーション病棟入院料については、算定病院のうち最も点数が
    高く、 ... 現在、DPC /PDPS等作業グループが分析を続けている。

  • [2] 全日病ニュース・紙面PDF(2019年8月15日号)

    https://www.ajha.or.jp/news/backnumber/pdf/2019/190815.pdf

    2019年8月15日 ...アキュートでの活用が最も多い。 しかし、地域包括ケアシステムを推. 進する中 ... 改善
    度を示す実績指数(FIM)が「37」. 以上を求める入院料1(2,085点)が半 ... 現在、DPC
    PDPS等作業グループが. 分析を続けている。 2018年度改定では ...

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